俺は絵描きに恋をする   作:アッシュクフォルダー

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第二十六話 ハッピーバレンタイン

2月14日。今日はバレンタインデー。

当然、絵名ちゃんからチョコレートは貰った。

 

「真二くん。これ」

 

「マジで?」

 

「だって、恋人だし?当然じゃん?」

 

「まぁ…な」

 

「嬉しくないの?」

 

「すっげぇ、嬉しい!」

 

「それなら、良し」

 

と、絵名ちゃんとの他愛無い会話が続いていた。

すると、絵名ちゃんは!

 

「義理じゃないし、本命だし」

 

「おう、ありがとよ」

 

「真二くんは私の真二くんだよね?」

 

「あぁ」

 

「なら、よかった」

 

「おう」

 

 

俺は家で、絵名ちゃんの作った、バレンタインチョコレートを食べていた。

 

(にしても、美味いな…)

 

それが、俺にとって正直な感想だった。

 

「俺、生まれて初めて、女子からチョコレート貰ったよ」

 

「えっ、ホントに?」

 

「うん。今まで、友達に恵まれてなくて、

それに、俺の事を大切に思ってくれる奴なんて、滅多にいなかったからな…

この両手が物語っているよ」

 

「あー包帯の事?」

 

「あぁ。怪我しても誰も治してくれないから、

自分でやってる内に得意になった。この包帯は、その名残だ」

 

宍戸真二の包帯。右手は中二病の過去、左手はイジメの過去を象徴している。

それを、シルバーリングで、誤魔化している。

 

「これって、最初はオシャレでやっていると思っていたよ…」

 

「あぁ、むしろ、そう思われたら嬉しいが、

俺は…ずっと、自分の為に治療をやっていた。でも…ある時、気付いた。

病気や怪我をした人は…俺より弱いって。病気や怪我の人って、

放っておいたら痛みに耐えられなくなって…下手すれば死ぬ。

だから、適切な処置を知ってる人間の言う事は絶対。と言う事は…つまりだな。

 

この、俺が誰かに必要とされるんです。俺に全幅の信頼を寄せてくれるんです。

だから…怪我や病気の人を見ると放っておけない」

 

「真二くん。妙に医療に詳しいと思っていたけど、そうだったんだ…」

 

「あぁ。怪我を自分で治していくうちに詳しくなっただけだ。

医療の本やネットで調べる事もあった。怪我の治療はそこで実践して学んだ」

 

「真二は何になりたいの?」

 

「特にないな。頭も対して良くない俺が医療関係の仕事に就けるとは思えない」

 

「そんなこと無いと思う」

 

「えっ?」

 

「真二くんは、謙虚だと思うから、そんなことが言えれる」

 

「そうかもな。でも、俺は今は幸せだ。

絵名がいて、みんながいて、他の奴等もだが、

俺を受け入れてくれた。俺に価値を与えてくれた。俺を普通に向かい入れてくれた」

 

「よっぽど、友達に恵まれていないんだね」

 

と、絵名が難しそうな顔をして、そう言い放った。

 

「俺は果たして、生きられるかな?」

 

「馬鹿にしやがって」

 

「ごめんね…絵名ちゃん。言葉が上手に言えなくて」

 

と、真二の謙虚さは、何を招くのか?

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