2月14日。今日はバレンタインデー。
当然、絵名ちゃんからチョコレートは貰った。
「真二くん。これ」
「マジで?」
「だって、恋人だし?当然じゃん?」
「まぁ…な」
「嬉しくないの?」
「すっげぇ、嬉しい!」
「それなら、良し」
と、絵名ちゃんとの他愛無い会話が続いていた。
すると、絵名ちゃんは!
「義理じゃないし、本命だし」
「おう、ありがとよ」
「真二くんは私の真二くんだよね?」
「あぁ」
「なら、よかった」
「おう」
俺は家で、絵名ちゃんの作った、バレンタインチョコレートを食べていた。
(にしても、美味いな…)
それが、俺にとって正直な感想だった。
「俺、生まれて初めて、女子からチョコレート貰ったよ」
「えっ、ホントに?」
「うん。今まで、友達に恵まれてなくて、
それに、俺の事を大切に思ってくれる奴なんて、滅多にいなかったからな…
この両手が物語っているよ」
「あー包帯の事?」
「あぁ。怪我しても誰も治してくれないから、
自分でやってる内に得意になった。この包帯は、その名残だ」
宍戸真二の包帯。右手は中二病の過去、左手はイジメの過去を象徴している。
それを、シルバーリングで、誤魔化している。
「これって、最初はオシャレでやっていると思っていたよ…」
「あぁ、むしろ、そう思われたら嬉しいが、
俺は…ずっと、自分の為に治療をやっていた。でも…ある時、気付いた。
病気や怪我をした人は…俺より弱いって。病気や怪我の人って、
放っておいたら痛みに耐えられなくなって…下手すれば死ぬ。
だから、適切な処置を知ってる人間の言う事は絶対。と言う事は…つまりだな。
この、俺が誰かに必要とされるんです。俺に全幅の信頼を寄せてくれるんです。
だから…怪我や病気の人を見ると放っておけない」
「真二くん。妙に医療に詳しいと思っていたけど、そうだったんだ…」
「あぁ。怪我を自分で治していくうちに詳しくなっただけだ。
医療の本やネットで調べる事もあった。怪我の治療はそこで実践して学んだ」
「真二は何になりたいの?」
「特にないな。頭も対して良くない俺が医療関係の仕事に就けるとは思えない」
「そんなこと無いと思う」
「えっ?」
「真二くんは、謙虚だと思うから、そんなことが言えれる」
「そうかもな。でも、俺は今は幸せだ。
絵名がいて、みんながいて、他の奴等もだが、
俺を受け入れてくれた。俺に価値を与えてくれた。俺を普通に向かい入れてくれた」
「よっぽど、友達に恵まれていないんだね」
と、絵名が難しそうな顔をして、そう言い放った。
「俺は果たして、生きられるかな?」
「馬鹿にしやがって」
「ごめんね…絵名ちゃん。言葉が上手に言えなくて」
と、真二の謙虚さは、何を招くのか?