俺は絵描きに恋をする   作:アッシュクフォルダー

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第二十八話 宍戸真二の故郷

 

宍戸真二は日本人の父親と中国人の母親の間に生まれた、日中ハーフ。

真二が4歳の時に中国人の母親が亡くなっている。

そこから先は、父子家庭で育っていった。

生まれは亜細亜街という、アジア系の民族のコミュニティ。

今は近辺のアパートで暮らしている。

 

こじんまりとした食堂。(故郷)亜細亜街にある、

昔ながらの中華料理の店で、真二の父の勤め先である。

 

真二の父が電話をしていた。

 

(そうか。父親が韓国に強制送還か。

それに、その子どもは、まだ7つだ。

仕方ない。ここで俺等で面倒を見るしかない)

 

と、誰かと電話をしていた。

 

「親父」

 

と、真二がやって来た。

 

「おう、真二か。今帰りか?」

 

そんな、宍戸真二は父親の宍戸信一郎と会話をしていた。

 

「真二。また、知り合いの刑事さんが、またギャンブルしたり、

違法風俗店脅して、金を巻き上げていたよ」

 

「アイツの事か…谷村さんも、えげつないな…」

 

谷村さんとは、谷村正義という刑事の名前。

彼は身寄りの無い子どもや、貧困層の子の為に、

違法な店を脅しては、賄賂として受け取っては、

その子達の支援金に当てている。

 

「まぁ、金が手に入るのは良いとして、

その入手方法がいつもね…」

 

「まぁ、わからなくもないけどな…」

 

「そうそう、谷村さんが、真二を呼んでいたよ」

 

「どこにいるんだ?」

 

すると、タイミングよく、谷村正義という刑事がやって来た。

 

「よぉ、信一郎さん。真二」

 

「おぉ、丁度いいところに来た」

 

「何かあったの?」

 

「最近、壁に落書きする奴がいるんだよ」

 

「落書きなんて、今までも何度も、見かけているだろ?」

 

「今までの落書きとは違うの」

 

「何?」

 

「中国語と韓国語で書かれていた落書きが目立っていて」

 

「それだっていつも通りじゃないか。

亜細亜街は、日本語が外国語になるだろ?」

 

「そりゃ、そうだけど…」

 

なお、真二は亜細亜街で生まれただけで

育ったのは、そこから離れている為、

中国語や韓国語を、よく知っていない。

 

信一郎が既に目星を付けていたようであり…

 

「書いた人間は既に分かっているんだ」

 

「目星がついているのか?」

 

「あぁ、犯人は子どもなんだ。実際、この目で確かめたよ」

 

「どうしてわかるんだ?」

 

「書いていある事が、

(お父さんを故郷に帰した日本が嫌いだ)とか、

(お母さんと一緒に暮らしたかった!)とか、

そういうものなんだ」

 

「まさか、亜細亜街の子が?」

 

「こう言うのを書くのは、親がいない子だと思う」

 

「そうか。わかった。真二。俺と一緒に行くぞ」

 

「えっ?俺も?」

 

「まぁ、真二。暇だろ?お父さんは店番をしないといけないから」

 

「わかったよ…」

 

宍戸真二は谷村正義と一緒に、その子達を探す事になった。

 

「落書きの場所は?」

 

「亜細亜街の北の出入り口と、東の出入り口、

故郷の向かいにある建物だ。

落書きをするのは、だいたい、店の準備や仕事で忙しい最中だ」

 

「じゃあ、俺は北の出入り口を見るから、

真二は東の出入り口を見て来て」

 

「わかった」

 

「他の人達の目についたら、まずいからな…」

 

「そうだな。西公園に連れて来てくれ。私は店番した後に、

そこで待っている」

 

「わかった」

 

真二は東の出入り口で、落書きしそうになった、子どもを偶然見かける。

 

「よ、チャン」

 

「あっ!」

 

と、チャンが逃げた。

 

「待ってくれ!」

 

と、チャンを追いかける、真二。

 

「落書きしそうになってただろ?」

 

「う、うん…」

 

「話を聞かせて欲しい」

 

と、真二は何故かチャンに悲願する。

 

「わかった」

 

「今は話さなくてもいいから、西公園で待ってて欲しい」

 

「わかった」

 

 

そして、子ども達を、西公園に連れて来た。

 

信一郎は顔こそ怒ってなかったが、若干険しく、叱っていた。

 

「みんなの落書きで、大勢の人が困っているんだぞ!」

 

「にしても、何でこんなことをやったんだ?」

 

「俺のお父さんが、無理矢理、韓国に帰したのは、

日本じゃないか!」

 

「だから、俺達、ひとりぼっちになったじゃないか!」

 

「だから、落書きしたんだ!とても、言えたことじゃないから…」

 

「わからなくもない…」

 

「真二もか?」

 

「あぁ。俺も小さい頃はそうだった。お袋が亡くなって、

似たような感じだったかもな…

みんなの親は悪くはない」

 

「じゃあ、誰が悪い?」

 

「誰も悪くない。本来はそのはずだが…あくまで俺らは一人の人間のはずだ。

頑張れば幸せになれる。きっと…」

 

「うん」

 

「真二。よく言った」

 

「じゃあ、これで解決ってことで」

 

「あぁ」

 

「はい」

 

何かを感じる、宍戸真二だった。

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