夜が明け、リムルの指示でみんなは広場に集まっていた。
「え~と、みんなには今から二人一組のペアを組んで、一緒に過ごしてもらおうと思う」
そう言ったリムルはみんなの様子を伺うが、誰も嫌がっているようには見えず一先ず安心する。
(上手く言ったね)
(ああ、これで取り敢えず、こいつらの面倒は楽になるだろうな)
リムルへの信頼度が高いことと、牙狼族が配下についたことで、どうにか作戦がうまく言った事を喜ぶ二人。なぜこんな事をするのかというと、配下が多すぎて把握しきれないので、こうやって自分たちで支えやって生きていけるようにしたのだ。
「でなんだが村長、お前らを呼ぶのに不便だ。名前を付けようと思うが、いいか?」
何気なくそう言ったリムルに、魔物たちが驚きの表情を浮かべ、ザワめきだす周囲の視線がリムルにへと集中した。
「よ、宜しいの…ですか?」
おそるおそる、といった感じで村長が問いかけてくる。
「お、おう。問題ないなら、名前をつけようと思う」
それをリムルが言い終えた瞬間に、歓声が巻き起こり、呆然とする二人。
(名ぐらい自分たちで付け合えばいいのに……)
(魔素を分け与えるって言うのは、そんなに危険な行為なの?)
リムルの名付けを見ていた身からすれば、確かに魔素の流入は多かったが、あくまで存在相応の範疇だった。よって、五人十人ならまだしも、一対一や自分の子供などの少人数なら問題ないと考えていた。
「まぁ取り敢えず。まずは村長からだな」
リムルはそう言い、村長から息子に付けられた名前を尋ねた。どうやら"リグル"という名前だったらしい。それを聞いたリムルは、少し考えたのち、リグルドと名をつけた。
それを聞いた村長リグルドは、リムルから流入した魔素を受け存在感が増す。だがリムルはそれをあまり気にしておらず、感激するリグルドを見て驚きつつ次のゴブリンへと名付けしていく。
(ん?少し多かった?)
存在相応というよりも、それよりも若干多い量の魔素が流れたのを感じ、不思議に思うエリア。そしてそれを確かめるために、リムルの名付けを注意深く観察する。
(なんか若干多い感じ?でも大した事なさそうだけど)
確かに少し多いのだが、なんか余裕そうに名付けを行い続けるリムルを見て、再度最初の事を疑問に思っていた。
(確かに同格以上なら大変だろうけど、生まれたばかりの同族の存在には問題なさげだけど、どうなんだろ?)
名付けによる強化は周知の事実らしいし、その危険性も分かりきっているのだろう。だったらその隙きを突いて、名付けをしたほうが効率的だ。なのにしないのはなぜだろうと、より疑問に感じるエリア。
(文化がない?中途半端だから?ん~、わからない)
エリアが考えた範囲では、解決策も中長期的な面で見た有用性もいくらでも出てきていた。だがそれは全体、又は未来の種の繁栄の為であり、個人を度返している。
(ん~、やっぱ余裕の無さとか中途半端さ、あとアイデア不足かな~)
情報不足とは言え、結局そこに行き着いてしまう。だがエリアはあることを考慮していなかった。それは、ここはエリアのいた世界のように過酷ではない、ということだ。
力を持っていなければ蹂躙され、賢くなければ陥れられる。弱者であればあるほどそれが色濃く、強者であっても足元をすくわれる事も珍しくない。そんな、個人であれ組織であれ戦力増強のために奔走し続けなければいけない世界、ではないのだ。
(なんか表世界みたい。評価するにはまだ早いかもだけど)
そうしなくても生きていける世界を知って入るものの、理解しているわけではないエリアはそう思いながら、リムルの名付けを眺めていた。
そうして周囲から心配されながら、ゴブリンの名付けが終わる。
「次は牙狼族だな。ん~とお前は、ランガだ!」
いい名前を思いついたのか、牙狼族のリーダーみたいなやつにランガと名付けるリムル。それを受けたランガは嬉しそうに尻尾を振り、礼を言おうとした。
だが……
「うっ……」
その前にリムルの魔素が底を尽き、ドロリと溶けてしまう。
「リムル様!」
「リムル様っ!!お気を確かに!」
それを見ていた周囲が慌ててリムルに駆け寄っていく。
「流石にやりすぎね」
そう思いながら後ろに下がっていたエリアも近づき、死んでないことを伝えみんなを安心させるのであった。