リムルの気配が増し、動き出すのを感じたエリアは、すぐさまリムルの元へと向かう。
「おはよう。随分と長く眠ってたね」
「ああ、3日も動けないとは思わなかったよ」
以外に元気なリムルの様子を見て、安心するエリア。どうやら危惧していたことは一切起きず、逆に何故か魔素量が増えるという謎現象が起きていた。
そんな時だった。一人の大男が家へ押し入って来たのは
「リムル様!お目覚めになられましたか!」
「おお、リグルド。すまんな3日も……」
元気よく大男がリムルに話しかけ、それに反応してリムルが大男を確認するや、すぐさま固まる。
「お前誰だよ!?」
「まぁ、そうなるよね」
そしてあまりの変容ぶりに驚き、大声を出していた。
「リグルドです!」
「この3日でなにが!?」
そう、3日でああなったのだ。これはエリアもビックリで、一瞬誰か思いつかなかった程である。
「名を頂いたからです!名持ちの魔物になると、魔物としての格を上げ、進化をもたらすのです!」
「な、なるほど。それであんなに喜んでいたのか……」
にこやかに進化した姿を見せ、心の底から喜ぶリグルド。それを見た二人は、ここまで進化するなら当然か……と思うのであった。
「取り敢えずみんなの様子も見よう」
「そうね。確認は大事よ」
「そうですな!皆もお喜びになることでしょう!」
そうしてテントのような家から出る三人。
「おお!軒並み進化してるな!」
より人間に近しい姿へと進化したゴブリンたちを見て、興奮気味に驚くリムル。
雄のゴブリンは、"ホブ・ゴブリン"に。
雌のゴブリンは、"ゴブリナ"に。
それぞれ進化していた。
そこまで見回して、周囲がリムルの存在に気づく。
「リムル様だ!リムル様が目覚めたぞ!」
勢いよくゴブリンたちが殺到し、胴上げのように持ち上げられるリムル。
(みんなデカくなってる……ん?あんまり変わってないやつもいるぞ?)
(みんながみんな、進化が見た目に出るなんて限らないんだから当然なんじゃない?そうなりやすいってだけの話かもね)
思念でそう話し合う。そうして一通り喜ばれた後、次は牙狼族の方へ行く事にしたリムル。
「ゴブリンはわかるが、なんで牙狼族たちが全員進化してるんだ?ランガにしか名付けはしてないハズだが……」
「我が主よ!我らは"全にして個"なのです。故に、我が名は種族名となったのです!」
どうやらみんな繋がっているから、トップに名を付けられれば、それに引っ張られ他の牙狼族も進化するらしかった。
(だから魔素の流入が多かったのか)
ゴブリンたちと違い、一気に魔素を持っていかれていたリムルを見て納得するエリア。同時にこの世界の進化の仕組みについて、ある程度理解したのだった。
「嵐牙狼族か、随分とかっこよくなったじゃないか。良かったな」
「これも我が主様のおかげです!心より感謝致します!」
エリアが考え事をしている間にも話は続き、力を確かめるために手合わせをしたり、全体の確認などで一日が過ぎて次の日になっていた。
そして……
「よし、みんな集まったな」
朝っぱらから集められているのに、文句の一つも言わない魔物たちは、リムルの言葉に耳を傾ける。
「これからこの村はより大きくなっていくだろう。その上で、まず守ってもらいたいルールがある」
固唾を呑んでそのルールを聞こうと静まり返る魔物たち。そこでリムルは、考えたルールを発表した。
一つ、仲間内で争わない。
二つ、他種族を見下さない。
三つ、人間を襲わない。
なんてことない3つのルール。
一つ目は、組織が内部崩壊しないように。
二つ目は、傲慢にならないように。
そして三つ目は、人間を敵に回すと厄介だからと言う理由だった。
(これぐらいなら問題ないでしょ。流石に命に関わる事になったら、各自で判断できると思うし)
(そうだよな。絶対なんてないんだから、流石にな)
あくまで大まかなもので、襲われたときは例外だとか、命を守ることを優先してくれと補足をしておく。
そうしてルールの説明も終わり、警備隊や各自の枠割などの話も着け、最後には衣食住の話になっていた。
「まとめ上げるのも上手く言ったし、戦力強化もできた。だがまだ衣服と住の問題が残ってる」
「そうね。食料はまぁ大丈夫にしても、家に関しては殆ど壊しちゃったし、衣類に関しても今のままじゃ心もとないね」
強くなり知性も大幅に上昇し、更には嵐牙狼族と組んだことにより、行動範囲を大幅に増やしせた為、事食料事情に関しては大きな問題はなかった。だが家や衣類に関してはどうしようもない。なぜなら技術がないからだ。
「わたしの知識は、あくまでもある程度文明の基盤があるって事が前提だからね。今の状態じゃ話にならないわよ」
「わかってるよ。俺も能力使って確かめてみたが、流石になにもないところからじゃ、無理だって」
流石に二人も、前提が揃わなければ何も出来ない。
そうと決まればやることは一つである。
「技術者確保のために、町に行かなきゃね」
「そうなるだろうな」
そうして二人はリグルドから聞いた、何度か取引をした事のあると言う、ドワーフ族の国に行くことにするのであった。