リムルを見送るために、村の入口へと殺到する魔物たち。
「本当に行かないのか?エリア」
「ええ、わたしはこっちでしたいことがあるから。それといざという時の為にどっちかが村にいたほうがいいでしょ?」
戦力がマシになったとは言え、まだまだだと感じでいたエリアは、一応残ることにしたようだ。
「それにわたしは、この世界に馴染めない異物。力を制御しきれていない状態で国になんて入ったら、厄介事が起きかねないしね」
「そうか、それは仕方がないな」
エリアはそう言い、ドワーフの国に行くことをやめていた。そしてそれに納得したのか、リムルもそう返し、みんなに見送られ村を出発する。
「……リムルたちも行ったし」
そうして振り返り、みんなの前へ行く。
「改めましてね、みんな。リムルから言われてると思うけど、わたしもリムルと同格ってことになってるからよろしく」
リムルの紹介と、軽い関係でしかなかったゴブリンたちへ、今一度自己紹介をするエリア。
「そのとおり!エリア様はリムル様の信頼におけるご友人。今回は、リムル様がドワルゴンに行っておられる間、この村を守護してくれるお方である!」
リグルドが軽く紹介してくれたお陰で、周囲がそれに納得する。今まではリムルがいたからエリアはあまり前へは出なかった。勿論色々と自重していたということもあったが、大体は面倒を嫌ってのことだ。
「さて、みんなにはこれから、土地開発……まぁ、土地の整理だね。それをしてもらおうと思う」
しかし今はそうではない。必要に迫られればできるし、やる気を出せばこの通り指導者として、守護者としての責務も果たそうとする。それにざわつく周囲。それもそのはずで、あまり知らないやつが取り仕切り始めたからだ。更にはわからないことを言ってるのだから、意味を理解していない者もいた。
「これは非常に重要なことなの。リムルたちが帰ってきて、一から開発していくとなるとそれなりに時間がかかるわ。だったらその基盤だけでも先に作っとかないって話ね。勿論こっちも指導するわ」
なんとなくしか理解していない者たちも、その説明を聞き納得する。やはりリムルの為にと口実を付けて話すと効果的らしい。
「じゃあ早速始めましょうか。みんな付いてきて」
そう言いみんなを丸め込んだエリアは、早速事前に用意していた道具を渡して作業に取り掛かる。そっからは早いもので、エリアが指示を出し、ゴブリンたちがそれに合わせて作業を進めていた。
(よし、ちゃんと言うことも聞いてくれるし、道具も扱えてる。速攻で作ったやつだけど、案外ちゃんと使えるものね)
エリアと言えど、近代的な道具は作れない。だが、スコップや斧など単純な構造物であれば、異粒子を使って再現できていた。これで十分なのだが、強いて不安点を挙げるなら
(らくしすぎないように本物に寄せるの大変だったわね)
性能が良すぎても後に問題が起きるかもと、耐久性以外は普通の金属製の道具と同じ性能まで下げていたのだ。
(うん、みんなちゃんと動けてる。これなら早く終わりそう)
実経験を元に、足りない部分を補足し、組織としての動き方や道具や土地の扱い方などなど、様々なことを教え信頼を勝ち取っていく。同時に賢そうな奴を見つけ、徐々にそいつに仕事を教え込み、エリアのやることが少なくなっていった。
そして数日が経った頃には……
(よし、もうみんな自力で動けてるわね。これでわたしも自由に動ける)
完全に仕事を任せられるようになっており、エリアはそれを見計らって他にやることがあるからと現場を離れる。そして村からも離れ、誰もいないことを確認した。
(さて、この世界について大体わかったし、魔術も使えるようになった。試しに作ってみたあれでも試すかな)
解析と調整が完了した事により、ある程度自由が効くようになったエリアは、早速とある道具を取り出して起動させる。
「よし、ちゃんと使える。これで大分楽になった」
エリアが作った魔吸機は正常に起動し、周囲の魔素を取り込み始めた。
「これでエネルギーの補充が楽になる」
転移結晶に魔素が充填され、ほんの少しだが力が籠もる。
「でも……効率悪い」
転移結晶に合うエネルギーへ変換されて充填されていることもあり、その効率はお世辞にもいいとは言えない。だが手動で入れるよりかは何倍もマシになったほうなので、これから改良していけばいいかと道具を大切そうにしまう。
そこから生活に役に立てそうな程度の魔術を試したり、元の世界の魔術が有効かどうかを確かめたりしていると、何やら誰かが近づいてくる気配を感じ、気配を消すエリア。
(女性?冒険者か何かかしら?)
「貴方は、なに?」
そうしてエリアの姿を見た女性は、何かヤバいものを見るように目を細めたのだった。