あれから村へ返ったエリアを待ち構えていたのは、大量のゴブリンたちであった。どうやらそいつらは、リムルの庇護下に入って配下になりたいという者たちだった。
正直エリアからしたらいい迷惑で、面倒極まりない相手だが、ヴェルドラ消失の件で周囲の魔物が活発化し、生活が難しくなったと聞きただで返すわけにはいけなくなったのだ。
後々敵対されても面倒だし、村作りの人手が足りていないというのも相まって、リムルが帰ってきたらと話を先送りにしようとしていた時
「リムル様がお帰りになったぞ!」
リムルがちょうど、技術者であるドワーフたちを連れて、ドワルゴンから返って来た。
「返ったぞ、エリアぁ……何だそいつら?」
「いい反応ありがと。で、こいつらなんだが……」
事情を説明し、どうするかとリムルと相談する。
「配下ねぇ。確かにこのまま見捨てるのはちょっとな」
「いきなり来て配下にして、忠誠が低いから反乱とか裏切りされても困るしね」
身勝手でバカな行動を取る者たちが出ないとも限らない。秩序を乱されては、こっちとしてもたまったものではないので慎重になっていた。
「あ!でも名付けすれば勝手に好感度上がるんじゃない?リグルドたちもそうだったしさ」
「確かに、それはいい考えだ。いきなりのことで忘れてたな」
帰ってきて早々に厄介事が舞い込んで来た事により、疲れと面倒から一部フリーズしていたところがあったようだ。
「よし、そうと決まれば、来たいやつだけ来いってことで話を進めよう」
「そうね」
そうしてゴブリンたちへその事を伝え、やってきたのがおよそ500名。それが一気に新しく配下になっていた。
「多すぎだろ……」
「まぁこんなものね。4つの村から来てんだから」
エリアは相変わらず名付けできないので、必然的にすべてリムルがする羽目になっていた。
そして四人の元村長たちに、ルグルド、レグルド、ログルド、リリナと名前をつけ、あとお付きとして近くにいた数人もちゃんとしたっぽい名前だったが、数が多すぎるのか途中からネーミングセンスがおかしくなっていく。
(明らかに変な名前つけられてんのに喜んでる。理解してないってのもあるんだろうけど、やっぱ名付け自体に意味あるんだね、この世界)
勿論ちゃんとした名前をつけてもらいたいんだろうが、それを差し引いても名付けされたという事実が勝ってしまうようだ。
「まぁ、あんなに進化すれば当然か……」
妙に納得しながら名付けが終え、前のようにリムルが溶ける。それに慌てる周囲だったが、エリアが前に出て落ち着かせ、リムルが起きた後にまた次の話をする。
「住む場所が足りないな」
「じゃあ開拓すればいいんだよ。封印の洞窟近くとかでいいんじゃないかな?」
あまりにも一気に数が増えたため、今の村では全員が暮らすには狭すぎるという問題が出来ていた。そのため封印の洞窟近くの土地に引っ越し、そこに新たな町を作り上げるという提案がエリアから出る。
それを聞いたリムルは、少し考えた後に了承し、皆に伝え始めた。その結果、皆納得し、すぐさま準備を始める。
「はぁ~、せっかく土地を整えたのに、無駄になっちゃった」
広くはないが開拓した土地がもったいなく感じるエリア。だが目的の場所とは地味に距離がある為、どうしても手放さなければいけなかった。
「そうでもないぞ。一時的にとは言え快適に過ごせる環境ではあるし、技術と連帯感を学べただろうから、十分役に立ってる」
だが完全に役に立たないわけではない。リムルの言ったことも然り、リムルがドワルゴンから連れてきたドワーフの職人達、カイジンと、ガルム、ドルド、ミルドの三兄弟。そのうち三兄弟の三男ミルドと、エリアが指導した十数名のゴブリンと共に測量班として現地へ向かっていた。
この事により、通常より早く作業が進み、測量班から移住の準備が出来たとの知らせが来る。無論開拓準備の間に、エリアとドワーフの職人達がゴブリンたちへ技術指導したり、道具を作ったりしていた。
そしてお名残欲しくも今まで村のあった場所は跡地となり、皆がそれぞれ荷物を背負い、長い行列を作って新天地へと出発したのだった。