異世界に落ちたら弱体化してた件   作:バトルマニア(作者)

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夜明け頃の厄介事

 あれからエリアは、冒険者たちが帰ってから話そうと、一旦別のことを考えていた。

 

(転生者に召喚者。厄介なやつしかいないわね)

 

 こちらでもあちらでもそれは変わらず、やはり強力な力を身に着けた者たち。幾度となくぶつかり合い、時には始末してきたエリアからすれば、あまりいい印象はない。特にあちらの世界では、あの神が関わっているのだから当然だ。それがいないだけこちらは良心的とさえエリアは考えていた。

 

 

「ん?……これは……」

 

 そんな事を考えていると、遠くの方でなにかの気配を感じ、嫌な顔をする。

 

「転生者ね。こっちだと、こんな感じに生まれるんだ」

 

 突如として現れた転生者に、エリアは仕方がなく立ち上がる。

 

「行くしかないわね」

 

 そう言い、近くの者に少し出かけると伝えて町を出るエリア。

 

 

 

 

「戦ってる?」

 

 転生者がいるであろう場所へ向かうエリアだったが、その先で戦闘の気配を感じていた。

 

「転生早々なにを……」

 

 呆れたようにため息を吐くエリアは、遠くからそれを観察する。

 

「って、負けてるじゃない!そりゃそうだけどさ!」

 

 だが逃げ回った挙げ句、肉体を破壊され簡単に死にかけている転生者を見て、急いでそこへ飛び込む。

 

「この怪しい奴め!いきなり現れやがって!」

 

 そう叫び、止めをさそうと斧を振り落とそうとする角の生えた女性。それを受け止め、保護した転生者を異界へ放り込むエリア。

 

 

「なんだ貴様!邪魔をするッ!?」

「ちょっと黙ろうね」

 

 ほんの少しだけ威嚇した瞬間、女性は一気にその場から飛び退いた。

 

「な、何だその気配!まさかあいつらの仲間か!」

「いや誰?そういうのはちゃんと伝えないと」

 

 だが話が伝わらないのか、女性は一気に距離を詰め斧を振るう。無論そんな大雑把なものが当たるはずなく、軽く回避されていた。

 

「問答無用!仲間の敵!死ね!」

「ちょっと!」

 

 特にかく激しい攻撃に、避けるだけでは対処しきれなくなったエリアは、女性を吹き飛ばす。だがキレイに着地され、手元にあった石を投げつけてくる。

 

「はぁー!!」

「次は何っ!?」

 

 石ころを避けた先へ、風刃を飛ばす女性。それを簡単にはたき落としたエリアは

 

「落ち着け!」

「ガァ!?」

 

 急加速からの拳が胸に入り、女性は息を詰まらせながらうずくまる。

 

「敵じゃない。戦い止め。分かった?」

「うゥ、この……」

 

 なお抵抗を試みようとする女性。それを見たエリアは、少し苛つき、その抵抗すら削ぎ落とす。

 

 

 

「これ以上するのなら、命の保証は出来ないよ。その覚悟があるんなら……」

「ちょっとまってくれ!」

 

 恐怖と気味の悪さから抵抗力がなくなった女性は、そのまま意識を落としてしまう。そこでなにか勘違いしたのか、何故か転生者がエリアを止める。

 

「何、転生者?」

「そいつは殺さないでくれ!物語が……じゃなくて、殺すと後で面倒だからだ!」

 

 何なら変なことを言い出した転生者に、そこまでする気はないと伝える。

 

「良かった」

「いやよくないでしょ、あなた転生早々死にかけてるのよ?」

 

 なぜかそれで安心するおかしな転生者に、エリアはツッコミを入れた。

 

「それはヤバいけど、そうじゃなくてだな」

「物語?って言ってたわね。まさか外から来たの?」

 

 転生者の言葉を聞き逃さなかったエリアは、これじゃないの?と聞き返す。すると転生者はお前もか!っと驚き戸惑っていた。

 

「いや違うわよ。わたしはただの精霊。あなた達のことは知ってるけど、それだけよ」

「そ、そうか。ってことは、お前はこの世界が物語だって知らないんだな?」

 

 確認してくる転生者に、そう返すエリア。エリアは元の世界でも、この世界は創作物だと主張する転生者を見たことがあった。事実、本人にしか知り得ない情報や、未来でも見てるんじゃないかという事も沢山経験している。

 

「……あなた達からすればこの世界は物語でも、実際は存在してるものよ。貴方が来れてるのがそれを証明してる」

「いや、まぁそれは分かったんだが……」

 

 だから転生者が言いたいことは、エリアもなんとなく理解していた。その上でこれを言っているのだ。

 

「ならいい。だからこの世界は、貴方の知ってる物語じゃない」

「だろうな。困ったことに……。ベニマルが女体化してるなんて、おかしいと思ったんだ。なんかはぐれてるし」

 

 そうしてエリアは、転生者から話を聞き、この世界が“転生したらスライムだった件”と言う創作物の世界だと知った。

 

 だが……

 

「だから何?わたしや貴方が来てる時点で、その物語の大部分は破綻してる。世界観が同じでも、それだけ。こっから先は未知の世界よ」

 

 あくまで彼ら彼女らが、干渉しなければそうなるという話でしかない。だから、誰かが入って来た時点で、その事前知識は役に立たないどころか足を引っ張ることさえある。

 

「じゃあ、なん何だこの世界は……」

「あなた達から言わせれば、二次創作ってところかしらね。この世界があって、転スラっていう創作物が存在する世界と、しない世界があるだけよ。まぁ細かく話せば長くなるから割愛するわね。取り敢えず、世界は観測できないぐらい広いし、いくらでも枝分かれできるのだから、そんな世界があっても不思議じゃないわ」

 

 簡単に説明すると、枝の内側か外側かの違いでしかない。そして見ること自体は探し出せば誰でもできるが、行き来できるのは内側だけという話だ。そしてこの転生者は、転スラを知っている内側の存在ということになる。

 

「まぁ仕方がないわね。人にとって世界や物事は、確認や干渉の有無、行き来できるかが、その世界の存在立証になるんだから。有る無いは二の次なのよ」

 

 見えなければないも当然とは、まさにこのことである。

 

「なんてことだ……じゃああれもこれも、崩壊する可能性があるのか……」

「大まかなことならまだしも、細かいことは諦めたほうがいいよ。まぁ、貴方や他の誰かが大きく動くんなら話は変わるけど」

 

 大まかなストーリーを思い出し、大変なことになるとボヤく転生者。だが人の動きは変えがたいもので、極度に干渉しなければ大体は知っているとおりに事は進む。だから厄介なのだ。小さな段差に躓くのには十分すぎるから……

 

 

「で、どうする?わたしについてくる?それとも自由に動く?」

「お前に付いていくしかないだろ。こんな状態じゃ」

 

 忘れていたがこの転生者、依代を破壊されて今は精神生命体のようになっている。だからエリアの保護下から出ると、そのまま霧散してお陀仏になるのだ。

 

「さて、長く話しすぎたね。リムルたちのもとへ……」

「お前リムルのところにいるのか!?」

 

 オーバーリアクションにもほどが有ると思うエリア。確かに主人公の近くにいるが、それの何が問題有るのかと考え、面倒になってすぐに思考を放棄する。

 

「言ってなかった?まぁいいや、余計なことしなきゃわたしは何でもいいし」

「そ、そうか。じゃあ邪魔しないようにッ!?」

 

 その瞬間、町の方から火柱が上がり、大きな気配が発生する。

 

「何したんだか」

「イフリートだ!もうそこまで……」

 

 また厄介なと思い、町へ帰ろうとするが、転生者が引き止めてくる。

 

「ダメだ!頼むからあれが終わってからにしてくれ!」

「確かあれ、強化イベント?みたいになるんだったわね。シズさんとの別れも含めて大切なイベントだったけ?」

 

 どうやらこういう大事なことには干渉してほしくないらしい。エリアも話を聞いた限り、これからのことに関わりそうだと納得する。

 

「じゃあ、事が終わってから帰るとするわね。邪魔する気はないけど、面倒そうだし」

「そうしてくれ……」

 

 転生者も直でリムルの戦いやシズさんを見てみたかったらしいが、頑張って我慢しているようだ。それからしばらくたち、気配も消え、言い頃合いになった所で、女性を背負い町へと帰るのだった。

 

 




 今回は応募キャラを出してみました。
 風魔さん、キャラ応募ありがどうございます。

 こんな感じでオリキャラが増えていきます。原作知識を持っているのはこの転生者だけですが、記憶が曖昧になっており大まかなことしか知りません。

 そして敵陣営には、この作品で敵の強さが上がった原因になるとんでもないバグキャラみたいな存在がいます。だから回が進むごとに色々原作とはズレていくでしょう。
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