エリアたちが帰ったら、それはもう酷い有様で周囲が焼け野原のようになっていた。そしてシズさんは気を失っており、一瞬間が経とうとしていた頃のこと。
「やっとここまで復興した。やっぱ力強いオーガがいると捗るね」
「は、はい!」
オーガの女性もどうにか馴染ませ、復興の手伝いをさせたことにより、結構早く作業は進む。なんだか怖がられているのは気のせいだろう。
そこでまた何かを感じ、町の入口の方に意識を向けた。
「で、次は誰?」
そう思い町の入口付近へ行く。
「……アイリスね。よくここが分かったわね」
「大きな力を感じたから」
久々の再開だが、その顔色はあまりいいとは言えない。
「シズさんいる?」
「あなたの探し人って、シズさんだったのね。いるわよ」
そう言い、シズさんの眠っているテントまで案内する。
(この子も、この世界いない子だったわね)
(ああ、シズさんの教え子には、この人はいなかったな)
中にいる転生者と話し、アイリスを見る。金髪で髪は長いが今は結んでる。瞳の色は金色。身長165程度で、武術と炎魔法に精通している少女。
「ここよ。今は眠っているから静かにね」
「ええ、ありがとう」
そう言いテントに入っていく。同時に結界を張ってやって、出てくるのを待つ。因みに、いずれ来るだろうからとアイリスのことはリムルに伝えてある。その時は歓迎すると言っていたので、見つかっても問題ないだろう。
そしてしばらくして、少し目が赤いアイリスが出てきた。
「ありがとう。最後にシズさんに合わせてくれて」
「なに、気にすることはないよ。わたしにできることはこれぐらいしかないから」
そう微笑んで、アイリスの話を聞く。
この世界に迷い込んで、右も左もわからなかった時に拾われ助けてくれたこと。そこから色々なことを教えてくれて、生きる力をくれたこと。辛いときには支えてくれたこと。その他様々な思い出を、エリアに教えるアイリス。
そして後悔していることもあったという。
「ヒナタさんがシズさんのとこを去ってから、私も元の世界に帰る方法を探すために旅に出たの」
手紙でのやり取りはしていたようだが、それでも側を離れてしまった事を後悔していた。自分が近くにいたら、もっと早く異変に気がついてどうにか出来たかもしれないのにと……
「だからね。また会おうと思って、シズさんを探していたの。もう、手遅れだったみたいだけどね」
アイリスは、後悔している悲しそうな顔をする。
こんな世界だ。手紙もいつも届くわけではない。やり取りをしている間に手遅れになるのではないかと思い、探したが間に合わなかったと言う。
「……わたしはシズさんのことはあまり知らないし、助けられない。だけど、仲間を失う悲しさは知ってる」
そう言い背中を擦る。
「エリア、さん?」
「こう見えても結構長生きしててね。出会いも別れもたくさんしてきてるし、見てきたの。だから、別に我慢しなくていいと思うよ。人間そっちのほうが辛いだろうからさ」
数え切れないほどの別れを経験しているエリアは、もうそんな深い思いはなくなっていた。だが他人は別だと理解しているのか、アイリスに優しくする。
そしてエリアは結界を張り、だれも中を認識できなくした。
そうしてしばらく時間が経ち、結界が消える。
「ありがとう、エリアさん」
「お安い御用さ」
事が終わり、アイリスが帰ろうとしたその時だった。
「シズさんが、目覚めた?」
「え?」
エリアがシズさんの目覚めを感じ取り、突然のことに驚くアイリス。
「会いに行く?今なら伝えられるよ」
「う、うん。本当にありがとう」
そうしてアイリスを送り出すエリア。
(お前は行かないのか?)
(わたしは当事者じゃない。無関係だから手を出すべきじゃないの)
転生者にそう聞かれ、当然の回答を返すエリア。それに深い悲しみを捨ててしまったエリアには、何処まで行ってもそれは響かないものでしかないからでもある。
「さて、こっから忙しくなるね」
(ああ、どうなるかまったく想像つかんな)
これから起きる事はきっと何かしらズレている。そのズレは、きっと後に響いてくるだろう。
だがここにはエリアがいる。すべてを飲み込む異界であるエリアが……