町へ戻ったエリアたちは、各々やることを済ませている内に日が暮れ、宴会の用意が整った広場へ向かう。
そこは、食欲のそそるいい匂いが漂い、皆が笑って仲良く楽しんでいる宴会になっていた。そこで串焼きを方張りながら、クロノと話すエリア。
「いや~、ベニマルにシュナ以外の妹がいたなんてな。予想外過ぎて呆気に取られたぜ。平然を保つのがあんなに大変だったとはな」
「ええ、こうも色々変わっていると、逆に次は何処が変わっているか気になるわね」
大筋は同じだが、細かいところに差異が多い。今回のミユヒにしかり、ベニマルの妹にしかりだ。
「お前はなにか関わるの?」
「ん?関わるに決まってるだろ。そっちの方が面白そうだし」
エリアは基本リムルに任せっきりだ。今回のオーガにしても、その後の話し合いについても、全てリムルが主軸で事は進む。エリアはただ、大人しく頼られた時に力を貸せばいいと思っていた。
しかしクロノは違った。これから起こるイベントを知っている彼は、そこに関わってやろうと考えているらしい。とは言え、大きくズレるようなことはしないだろうが、修正可能な範囲で自由にするらしい。
「顔も広めなきゃいけないし、信頼も勝ち取らなきゃいけない。そんでもって、リムルの活躍を間近で見るんだよ。一緒にいたほうが絶対楽しいしな」
何処までもリムルについていく気のようだ。
「そうね。それがいいわ。でも、いざって時はちゃんと助けてあげるのよ」
「分かってる、分かってる。ってことで俺は、親交を深めるために皆んなと話してきますかね」
そういうクロノを送り出したエリアは、取り出したお酒をちょびちょび飲みながら、端っこで周囲を見渡していると、ベニマルがエリアの保護した妹を連れてこっちへやって来ていた。
「なんの用かしら?」
「この度の一件、すまなかった。そして、我が妹を保護してくれてありがとうございます」
「あの時は、本当にすみませんでした」
目の前で立ち止まり、深々と頭を下げてくる二人。
「別にいいわよ。仕方がなかったことだしね。リムルにちゃんと通せばそれでいいから」
「そうかも知れないが、こちらとしては収まりがつかない。謝罪と、そして礼をさせてくれ」
真面目だな~と思いながら、どうしたものかと考えるエリア。
(わたしの下に付くとか言い出しそうだね。こっちで部下を作る気はないから断るけど。てか部下はあいつらだけで十分だしね)
元の世界での自身の腹心と愉快な仲間たちを思い出すエリア。だがすぐに目の前の事に意識を戻す。
「じゃあさ、リムルの部下になってあげてよ。あいつ結構甘い所あるから心配なんだよね。君たちみたいな奴らがいてくれたら、安心だからさ」
謝罪を受け入れると同時に、厄介事をリムルに押し付けるエリア。そもそもベニマルたちは、リムルの下につくのだから、今言っても問題ないだろうと考えてもいた。
「ああ、わかった。ありがとう」
そう言い立ち去ろうとするベニマルたち。だがエリアは、ふと気になっていた事を思い出し、引き止めて尋ねる。
「ちょっといいかしら?そう言えばあの化狐はなんなの?」
「笠狐のことですか?実はよく分かっていないんです。突然現れて、なんだかんだで一緒に暮らしていたとしか」
「そうですね。最初にミユヒと名乗って、名持ちと思っていたんですが、その割にはあまり……」
態度が尊大で、堂々と集落に居座って暮らしていたらしい。関係も良好で、特に子どもたちからは人気が高く、ガキ大将的なポジションだったそうだ。
「そう言えば戦っているところを見たことないな」
「戦うまでもないって、いつも言ってたね」
だが気配的に名乗ったほどではなかったり、勝負を挑まれてはなんだかんだでやり過ごし、ハクロウの修行も遠目から見ているだけであったそうだ。
「そう、ありがと」
「いえ、どうってことありませんよ」
そう言い別れ、その後も宴会を楽しむのだった。