リムルが目覚め、再度ベニマル一行と正式な誓いを立て、ミユヒもユニークスキルを手に入れたと喜んで事なきをえていた。
「オークロードねぇ」
「はい、数百年に一度、オークの中に生まれくると言われている。ユニークモンスターです」
鬼人へと進化したベニマルから、オークロードについて聞く三人。因みにミユヒは、狐人へと進化を果たしたようだ。
「ユニーク、特別って奴か」
「俺達みたいなもんだな」
何でもそうだが、上位種になればなるほど数は減り、特殊個体が出やすくなる。リムルもクロノもエリアも、主体自体は何処にでいるスライムと精霊だったのだ。そっから環境や偶然で、特異個体になっていた。
「味方の恐怖の感情すら喰らい、非常に高い統率能力を持つんだとか」
「怯みすらしないと、それは厄介だな」
「脅しが効かないとなると面倒だな……」
リムルとクロノがそう呟き、エリアも心のなかで同意する。
「ええ、俺達の里を襲ってきた時も、仲間の死に怯む事はありませんでした。あるいは、と思いまして……」
「伝説相手か。しかも凶悪と名高いと」
「戦い方によっては面倒ね」
リムルに続き、エリアはそのようなことを言う。周囲もそれに同意しているようだった。
「私達なら問題ないわね!だって、こんな凄い戦力が揃ってるんだから!」
「おっ、そうだな」
ミユヒは堂々とそう言い、クロノも同意する。各々の思惑はさて置き、それに元気づけられ、場が少し和んでいた。
「そういや、里が襲われた心当たりとかないか?」
「そうね。誰かに恨みを買ったとか?」
少しして、リムルとエリアがベニマルにそう聞く。後ろに構える敵の正体を探ろうとしているようだ。
「そうですね。関係あるかわかりませんが、襲撃の少し前に、ある魔人が里にやってきて『名をやろう』と言ってきたんですよ」
「そうね。傲慢なやつだったわ。上位魔人とか言ってたわね。まぁ、私の相手にはならなかったけどね!」
どうやらとある魔人が里にやってきて、名付けを申し出たようだ。
「まぁ、あまりに胡散臭かったので、追い返しましたところ、悪態をついて帰っていきましたね。確か名は……」
だが、怪しさ満点のその魔人をすぐに追い出したようだ。
「ゲルミュッドだ」
「そうだ、そのゲルミュッドとかいうやつです」
何処からかソウエイが現れ、名を告げる。
「そいつから恨みを買ってるかもしれないわけか」
「仕方がありませんよ。主に見合わなけりゃ、こっちだってごめんだ。名をつけてもらうのだって、誰でもいいってわけじゃありませんからね」
それを言われて照れるリムル。どうやら認められた事が嬉しかったようだ。
「そう言えばソウエイ、何かあったのか?」
「はい。この町へ向けて、リザードマンが向かって来ています」
どうやらリザードマンとやらが、この町へ向けて大勢で向かって来ているようだ。
「リザードマン?オークじゃなくて?」
「はい。湿地帯を拠点とする彼らがこんな所まで出向くのは異常ですので、取り急ぎ連絡をと」
拠点を離れている。しかもそれなりの人数を揃えて。これは非常事態であった。
「仲間でも集めてるのかね?オークが来るし」
「その可能性は高いかと。なにやら近くのゴブリン村で交渉に及んでいるようでした。ここにもいずれ、来るかもしれません」
来たるべきオーク戦に備え、戦力を整えているようだ。その証拠に森中を移動し、各地で交渉をしている様子であった。
「リザードマンか。どんな連中だろう?」
「さぁね。ただ、強いからって傲慢に出てこないか心配ね」
リザードマンも一応は強者と位置づけられている魔物。しかも数もいるともなれば、格下や少人数になんていい出すか分かったものではない。勘違いなどされていたらより事態は悪化するだろう。
「あと一つ、人間二人と火炎族、氷河族らしき者が一人づつ。この町の周囲に向かって来ています」
「そんな種族もいるのか」
「なに?詳しく頼む」
それを聞いたベニマルは少し反応し、ソウエイに聞き返す。
「どうしたベニマル?勢い付いて」
「リムル様。火炎族と氷河族は我が里と関係があった種族。もしや俺たちと同じで、オークロードに襲撃されたのかもしれません」
ベニマルたちオーガの里は、少ないが周辺の種族とも関係があったそうだ。その中の一つが火炎族と氷河族らしかった。
「それは大変だ。今すぐ向かおう」
「いや待てリムル。トップのお前が今町を離れてどうする?ここは俺たちとベニマルが行くほうがいい」
「そうね。いつリザードマンが来るかわからないから、そうした方がいいわ」
そうして少々話し合った結果、リムルはいざという時のリザードマンたちの対応の為に町に残り、エリアとクロノ、そしてベニマルが事情の確認に向かうのであった。