四人を保護したエリアたちは、即刻町へ戻ってリムルの元へと向かっていた。
(ゲルミュッドがこんなところにまで来ているなんてな。しかもめっちゃ強くなってるし)
(オークロードだけじゃなかったね。多分、才能ありそうな奴に名付けしまくって、最後に生き残った奴を傀儡にするんだろうね)
原作では、ゴブリンのリグル。リザードマンのガビル。オークのゲルドにだけ名付けを行い、魔王を作ろうとしていたゲルミュッド。だがこの世界では、魔素に余裕があるのか、ユニークスキルでも持っているのか、名付けの数を増やしているようだった。
(原作じゃ魔王との約束もあって、直接手出し出来なかったはずなんだけど、やっぱ変わってるな)
(そうね。あの様子だと、魔王たちを楽しませる為にやってるのはおまけみたいなものね。それともうまく丸め込めてるのかしら?背後関係が変わってるのかも)
なんであれ、これは看過しえないことだ。敵の戦力が大幅に強化されている。
(しかもこの子たち、ゲルミュッドとオークロード関係にやられたって話よね。ってことは……)
(ああ、そいつらがオークロードに喰われてたら、相当厄介なことになる)
こちらとしても戦力を増やすことは出来ていた。だがその分だけ、オークロードが強化される可能性が上がる。
「あ、そういや……ちょっと待て!エリ……」
「リムル、ちょっと話が……」
リムルの気配を感じ、とある家へ入ろうとするエリア。だが扉を開けた瞬間に、異様な匂いが漂い、皆一斉に顔をしかめる。
「これは……」
(言ってなかったな。シオンの料理だ)
説明不要。というか、言いたくないと皆視線をそらす。
「シオンさん?これは一体……」
「あっ!エリア様、クロノ様!無事だったのですね!やはりリムル様の言う通りでしたね!」
謎の料理?を持った状態で元気よく振り向き、嫌な匂いが鼻につく。
「それに貴方たちは、火炎族と氷河族の……」
「久しぶりね」
「すごく変わってる」
二人も嫌なのだろうが、傷つけないようにと笑顔を絶やさない。
「この御方。リムル様に名付けをしていただいて、進化したのです!オークに里をやられて行く先のない私たちに場所をくださり、名まで付けてくださったんです!貴方たちも同じでしょう。共にオークロードを討伐いたしましょう!」
シオンのリムル自慢と、これまでの経緯が語られる。もちろんその間も、皆んなは異臭に当てられ続けていた。
「わかったから。今は食事中みたいだから、また時間を……」
「そうする。じゃあ後で……」
「あ!そうでした!皆さんも一緒にどうです?私の手料理ですよ」
二人が逃げようとするが、料理の事を思い出したシオンが、料理を前へ突き出してくる。
「ここまで来てお腹も空いているでしょう。さあ遠慮なくどうぞ!」
そうして皆んなはシオンの料理を食べ、耐性取得と必死のポーカーフェイスのおかげで事なきを得るのだった。
「なるほどな。ゲルミュッドってやつが暗躍してると」
「この町を手に入れようとしていたわね。魔王がどうたらってのも」
「他の種族も被害がデカイらしい。これでもまだマシな方なんだろうがな」
あれから火炎族と氷河族の少女に名付けをし、配下に加えたりしてすべてを終わらせた後、改めてリムルとエリア、クロノの三人で考える。
「火炎族、水剣族、風槍族、土糸族、雷電族、氷河族、陽光族、黒竜族。大鬼族と蜥蜴人族含めて、ぱっと聞いただけでもこれだけの種族が関わってるのか。こりゃ戦後処理も面倒だな」
「もう勝った気?感心しないわね」
リムルの言葉に、エリアが指摘する。
「相手は強いわ。オークも最低でも十万単位で、その頭に関しては魔王になりかけかもしれない……いえ、もうなってるかもね。それに背後には本物の魔王たちもいる。これがもし無事に乗り越えられても、そいつらを相手しなきゃいけないわよ」
問題は山積みである。それどころか、組織や国が大きくなれば、衝突はより明確なものとなり、敵が居なくなるまで問題は発生し続ける。
「いやでも、いざとなったらエリアがどうにかしてくれるだろ?」
「そうだけど、わたしに頼り過ぎてもダメでしょ?正直、わたしなんていなくても解決してもらわないと、実力も付かないし」
エリアがいる限り、リムルたちに敗北はない。少しだが力が戻ってきた今のエリアでさえ、覚醒魔王レベルではければ追い詰められないほど強いからだ。しかしエリアは、ギリギリまでリムルたちに手を貸す気はなかった。
「まあそうだろうな。エリアはいずれ元の世界に帰るんだから」
「正確な時期はまだわからないけど、どれだけ遅くても三年もかからないわよ。それにわたしの力もそれぐらいすれば大半は戻ってるし」
クロノに続き、エリアがそう言う。
エリアの回復と転移結晶に魔力が貯まるのにそれぐらいかかるのだ。そっからきりが良いところで帰ろうかと考えていたエリア。なぜならその頃にはリムルは魔王になり、十分実力も付けているだろうと考えているからだ。
「そうか。じゃあそれまでに俺たちも強くならなきゃな」
「そうしてくれると嬉しいわ」
町を発展させ、防衛力を高める。まずその足がかりとして、オークロード討伐をやり遂げようと決意するのであった。