会議が終わり、リザードマンたちとの同盟の為にソウエイを送り込んだリムルたちは、来たるべき戦いに向けて修行をしていた。
「これぐらいね。じゃ、始めましょうか」
リムルとクロノ以外の前線組全員を集め、エリアはそう言った。
「エリア様。修行をつけるとのことですが、どうやって……」
「リムルとクロノは基礎の特訓中。それに比べ、お前らはそこら辺は問題ないと聞いてる」
リムルとクロノはハクロウに基礎を叩き込まれている。だがここにいる全員は、最低限のことができる者たちだった。
「そうですが?」
「だから今から実戦だ」
「「「これは!?」」」
そう言い、異界を展開させるエリア。それに皆が驚き、唖然とする。
「今回の相手は強そうだかららね。数多くの種族を食ってきたオークが相手なんだから、こっちが中途半端な強さじゃ糧にされかねないわ。だから、実戦ってわけ」
説明しながら、オークの大群を作り出す。
「エリア様。この大群は……」
「それっぽく作ってるだけだよ。オークとはかけ離れた存在だから気にしないで」
エリアが真似て作り出したのは、元の世界のオークたちだ。見た目はこの世界とあまり変わりないが、気配が違いすぎるせいか、皆警戒している。
「さ、始めようか。手加減はいらないからさ」
その瞬間、各自別々の場所に転移させられ、オークたちが一斉に襲いかかった。
「苦戦してるね。オークたちの実力がわからないあから、クロノから聞いた話から推察して作ったけど、強くしすぎたかな?」
各自千体ずつ、集団戦を想定した群れをぶつけていた。その実力は、進化したベニマルたちを苦戦させるには十分すぎるほどの戦力だ。
「まぁいっか。一応強めに設定しといたってことで」
おそらくここまで強くはないだろう。特に連携など細かい動きは、今回のオークたちには不可能だ。だがそれを考慮していないエリアは、個々の戦闘能力だけを合わせて作っていた。この事により、作りだされたオークたちは、実力以上の戦力と化していた。
「火炎の範囲攻撃か。でも、耐性は高めに設定してるんだよね」
ベニマルとホムラは火炎による範囲攻撃を放つ。だが効き目は薄く、装備と耐性で防がれてしまう。同時に、オークたちは距離を取ると範囲攻撃を撃たれると学び、適度に距離を取らせないように戦い始めた。
「暗黒かな?でも相手も使えるぞ。なんせお前の種族、喰われてるんだから」
リュウヤが剣でオークたちを斬り裂きながら、暗黒を操作してオークたちを蹴ち散らしていく。差が流石に量が多いのか空へ逃れた瞬間、オークたちの撃った魔法にぶち当たり、体勢を崩した。そこへ撃ち落とそうと集中砲火を浴びせるオークたち。
「ゴーレムとかもね。流石にオークは作れんだろうけどさ」
キリンが地を操りながらゴーレムを作り、応戦しようとする。だがオークたちも同じく地を操り、地盤を不安定にしてきていた。そこへいくつもの柱が生えてきて、ゴーレムを破壊し、接近戦を仕掛けに行くオークたち。
「光線ね。考えたみたいだけど」
カグヤは光線を放ち、オークを焼き切ろうとする。更には格闘術で接近戦もばっちしだ。だが耐性持ちのオークたちには効き目が薄く、複数人がかりの火炎攻撃で逃げ場を失いあっという間に火の海になる。
「氷の剣術かな?」
サヨは氷の魔剣で周囲とオークたちを氷つかせ斬り裂きながら、着実に数を減らしていく。だが数の暴力で対応が間に合わなくなり、押されていた。
「あっちは、ゴリ押し?」
シュンカやシオンは、その圧倒的力でオークたちを蹴散らしていた。それは相手に陣形を組ませないほどの圧倒的暴力であり、特にシュンカは風での補助をしながら能力で徐々にだが力が上がり続けている。
「ミユヒがいな……ああ、そういう事ね」
なにもない空間で、オークたちが倒れていく。どうやら姿を誤魔化しながら、一方的に攻撃を加え続けているようだ。だがオークたちも黙ってやられているわけではなく、数を利用し強引にミユヒの場所を特定する。だがその瞬間、凄まじいい覇気と力強い斬撃で斬り裂かれていく。
「まぁ、こんなものよね。もう少しかかりそうだから、ちょっとあっち見に行こ」
一旦異界から出て、鍛冶場に行く事にしたエリア。
「あの子達が言ってた武器は出来たのかしらね?」
今回の戦いにて、ヒナやカイジン、クロベイが腕によりをかけて武器を作ると言っていたのを思い出し、見に行くことにしたようだ。
「失礼するわ。進行具合はどうかしら?」
「お、エリア様か。出来上がってるぜ」
鍛冶場に入り、三人に話しかけるエリア。するともう出来上がっているのか、机の上に並べられた武器たちを見る。
「なかなかのモノね。流石だわ三人とも」
「当然よ。私たちが作ったものだもの」
「んだ。傑作になっただ」
これならわたしが武器を出さなくても済みそうだと、安心するエリア。そこでよく見ようと武器を持ちあげる。
「……確かに、強そうね」
だがそこでエリアは少し、いやかなり違和感を覚えていた。だが三人は、それに気づかず武器の説明を始める。
「属性ごとの魔剣に妖刀、勿論素の性能もばっちしよ」
「耐久面も斬れ味も最高級だ」
「妖気を浴び続ければ、より強くなるんだよ」
千鳥や蜻蛉切、天羽々斬とかの名前が出てきて、エリアを置いて次々に話が盛り上がっていく。
(ま、まぁ、こっちの世界はこれでいいのかな?わたしが口出しすることではないし……)
変に口出しして、場の空気を崩さないように、褒めるエリア。実際武器自体はよくできたもので、エリアの世界で見ても、市場で出回っている最上品質レベルのものだ。しかし、元いた世界とは違う仕組みと目的で作られている武器や防具に、性能ほどの魅力を感じていなかった。
「……あっ、ゴメンだけど、もういかなきゃいけないから失礼するわ」
「そうか?まぁ、武器ができたって他の奴らに伝えといてくれないか?」
最後にカイジンとそう話、了承してベニマルたちの様子を確認しに行く。
「ほぼ全滅ね」
エリアの出したオークの群れは、ほぼ全滅していた。
「一応話に聞いてたオークロード級のやつも出しといたんだけど、こっちも倒してるわね」
魔王種を得る前のオークロードと同じレベルのオークを出していたようだが、皆そいつらをも倒し勝利をおさめてる。ただ疲労は大きいようで、戦況からするに魔王種持ちには時間稼ぎがせいぜいだろう。
「皆お疲れ、以外にできるのね」
疲れ切っている皆の前へ降り立つエリア。
「流石に厳しすぎますよ。エリア様」
「何いってんの?本物はこの何十倍もいるのよ。この程度でへばってたら勝てないわよ」
活を入れるためにそういうエリアだが、流石にキツかったのか表情は良くならない。
「そういやクロベイたちが武器出来上がったって言ってたよ。休みがてら行ってくれば?」
「ふっ、私にふさわしい武器があればいいわね」
「ヒナの作る武器は凄いから、期待してもいいと思うよ」
「クロベイが関わってるなら完璧ね」
そこで武器の話を出し、異界を閉じる。心なしか元気になった皆は、各々そのようなことを言って、武器を受け取りに行くのであった。