氷のオークキングの前へ現れたのは、サキハだった。
「その力、あなたは氷河族を食ったの?」
「む?なんだ小娘?」
水剣族の少女の後ろから現れた、サキハに警戒するオークキング。
「貴方は!?ダメです逃げてください!こいつは強いですッ!!」
「気をそらしていいのか?」
サキハに気づいた少女は、逃げるように声を荒げた。そこにオークキングが長剣を振り、氷刃が襲いくる。
「大丈夫。貴方こそ下がってて」
「ぬ?やるではないか」
氷の壁が出来上がり、すべての攻撃を防ぐ。だが同時に壁は崩れ去った。その間に少女を後ろへ逃し、氷で保護する。
「もう一度聞く。あなたは氷河族を食ったの?」
「いいだろう、冥土の土産に教えておいてやろう。食ったぞ。お前らの里を滅ぼした、氷河族の生き残りをな!」
氷河族の里は、2つあった。そのうち1つは、ゲルミュッドの話をのみ、名付けを受けていたのだ。そしてゲルミュッドの指示通り、名付けを断ったサキハの里を襲い、その後にオークたちに敗れ喰わてしまったのだ。
「そう、残念。私が潰すはずだったのに」
「残念だったな。そしてお前も俺に喰われるのだ!」
地が凍り付き、滑るように高速移動で接近するオーク。どうやら弓持ちであるサキハに対し、距離を潰しにかかったようだ。
「む!?だがムダだ!!」
氷の柱を生やし、上へと逃れオークキングとの距離を取る。だがオークキングは柱を破壊し、上空に放り出されたサキハを狙い氷刃を飛ばした。
「これで終わり」
この戦いのために腕によりをかけて作ってくれた弓を、全力で引き、矢を撃ち放つ。
「その程度ッ!?」
放たれた矢は、回避しようとするオークキングを許さず、砕け大量の矢の雨へと変わり、オークキングを串刺しにした。
「さよなら」
内部まで凍り付き、降りてきたサキハに木っ端微塵に砕かれ、オークキングは倒されたのだった。
火のオークキングの前へ現れたのは、ホムラだった。
「久々ね。あの時はよくもやってくれたわね」
「あの時の小娘か。そのまま逃げておけばいいものを」
風槍族の少女の後ろから現れた、ホムラに警戒するオークキング。
「あの時の!?なんで!?」
「そいつ譲ってもらうわよ」
刀に炎を纏わせ、構えるホムラ。それに答えるように、大剣に炎を纏わせるオークキング。
「さっきから炎攻撃が頻繁に行われていると思ったら、貴様らが原因だったか」
「そうよ。貴方も含めて、すべて灰に変えてあげるわ。こんな感じにね!」
刀を振り、解き放たれた炎が広範囲を焼き尽くす。
「ほざけっ!!」
だがオークキングの大剣に振り払われ、炎刃とともに接近を許してしまった。
「ふんっ!なかなかの腕前だが!そんな細い腕で俺に勝てるとでも!!」
大剣の一撃は、地を焼き大気を吹き飛ばす。しかしホムラは、それを平然と受け流していた。
「デカイだけのお前なんかに負けるか!」
「反撃も出来ぬ奴が、ほざくわ!」
純粋な力ではオークキングのほうが上だろう。だがエリアとハクロウに鍛えられたホムラにとって、この程度の連撃はそよ風同然であった。しかし反撃を返せていないのは事実。
「多少強くなって舞い上がったか?この程度で?」
「勘違いしているようだけど、別に返せないわけじゃないよ」
防戦一方の攻防が繰り返される中、ホムラはそう言い、刀に溜め込んだ炎をチラ見させる。
「ま、まさか!?貴様っ!!?」
「もう遅い!消え失せろ!!」
溜まりきった炎を一気に開放させ、耐性を貫きオークキングを焼き尽くすホムラ。それだけではなく、解き放たれた炎は、直線上のすべてを焼き払っていた。
「仇は取ったよ。みんな」
光のオークキングの前へ現れたのは、カグヤだった。
「よくも私の里を襲ってくれたね。覚悟しなさい」
「逃げたお前らが今更何ができる?」
得意の格闘術でオークの群れを蹴散らしてきたカグヤに警戒するオークキング。
「そうね。でもあの時とは今は違う。ここで仕留めてあげる」
「できるものならやってみろ!」
光の双剣を作りだし、巨大な光刃が高速でカグヤに迫る。だがその一撃を片手ではたき落とすカグヤ。
「確かに強くなっているようだな。だが我らには敵うまい!」
斬撃に隠れ接近していたオークキングが、斬撃を伸ばし斬り裂きにかかる。それを避けるカグヤだったが……
「避けてばかりだな!強くなったのはそこだけか?」
鞭のように高速で叩き出される斬撃に、接近できずに避け続けるだけだ。
「そんな使い方があったのね。でも私には出来なさそう。これぐらいしかね!」
「なにっ!?」
手のひらに溜めていた光を、一筋の光線のように解き放つ。それをギリギリで避けたオークキングだったが、有無を言わさず接近され、格闘戦が勃発した。
「舐めるなっ!!」
素の力量ではオークキングの上。だがカグヤには高い技量がある。それにより優勢を保っていたはずのオークキングはすぐに窮地へと立たされ
「グッ!?」
「こういう使い方もあるのよ」
光を利用し、超加速を付与するカグヤ。それにより速度でオークキングを上回り、その破壊力は最高潮に達し……
「ば、バカなッ!!?」
「はぁ――!!」
耐えきれなくなったオークキングは、一瞬にして消し炭になるのだった。
闇のオークキングの前へ現れたのは、リュウヤだった。
「ケリをつけに来たぞ。オークキング」
「随分と力が増したようだな。食ってやろうぞ」
雷電族の少女の後ろから現れた、リュウヤに警戒するオークキング。
「っ!?これは私の獲物だ!邪魔をするな!」
「そんなボロボロで何を言ってるんだ?それにこいつに目をつけたのは俺が先だ」
そう言い雷電族を放置して前へ出る。
「勝てるとでも?ただの餌の分際で」
「そうなのかは自分で確かめてみろよ」
両者戦闘態勢になり、闇を広げる。オークキングは纏うよううに、リュウヤは地を這うように着実に広がっていく。
「ダークイーター!」
オークキングが闇を伸ばし、リュウヤを食らいつくさんとばかりに攻撃を仕掛けた。だがその攻撃は、持っていた剣でたやすく振り払れ、崩れ去る。
「な、なに!?」
「クロノ様には足元にも及ばんが、貴様を殺すには十分すぎるな」
一気に広がった闇がオークキングに纏わりつき、縛り付ける。それを振り払おうとするオークキングだったが、しっかりと固められており、抜け出せない。
「黒龍ごときが!」
再度隙間からダークイーターを出し、纏わりついている闇をくらおうとした。
次の瞬間
「串刺しだ。死ね」
「ガハッ!?」
闇に串刺しに合い、全身から針が生える。それによりオークキングは項垂れ、即死したのだった。
地のオークキングの前へ現れたのは、キリンだった。
「仲間の仇」
「ムダだ。貴様ごとき、我らには敵わぬわ」
巨大ゴーレムで、オークたちを潰しながら進んできたキリンに警戒するオークキング。
「殺す!」
ゴーレムが腕を振り落とす。だが動きが遅かったせいか避けられ、地柱でゴーレムが押された。
「む!」
「デカブツのノロマが!いくら力が強くても、当たらねば意味はないぞ!」
次々に地形を操り、大きな攻撃を撃ってくるオークキング。それにより倒されたゴーレムの上にオークキングが飛び乗り、地を固めながら歩み寄る。
「所詮はこの程度。戦いも知らぬ小娘が……」
キリンが作り出した人形のゴーレムを、大きな金槌で破壊しながら止めを刺しに来る。
「引っかかった」
だが仕掛けていた糸が覆いかぶさり、オークキングの動きが止まった。
「な!?こ、これしき!」
「切れない。頑丈だから」
逆に体に食い込み、絡まり続ける糸。
「わたしは弱い。分かってる。だから確実で、正確な方法で……」
「ぐぬぬッ!?」
動けないオークキングに地が迫り、挟み込むように、取り込むように覆いかぶさり
「ッッ!!?」
「殺す」
静かに押しつぶしたのだった。