オークたちを退け、オーク・ディザスターを喰らったリムルは、戦後処理に追われていた。
「では、議長、リムル・テンペスト。始めてください」
(何が議長だ、勝手に決めてくくれちゃって……。戦後処理なんて、どうやって進めればいいかわかんねーよ。助けてくれー、二人共!)
嫌がる二人を無理やり連れてきたリムルは、早速二人へと視線を飛ばす。特にエリアはこういうのが得意そうだと踏んでいたのだが……
(リムルが大変そうだ。でも俺もわかんねえから無理だ)
(面倒事は全部リムルに任せれば解決。そもそもわたしは、マトモに戦後処理とかしたことないのに、なんで連れてきたの?あ~、あいつがいればな)
役に立たない二人。
クロノはリムル同様ただの一般人なので知らず。エリアは有無を言わさず殲滅ばかりしてきて、話し合いなどマトモにしたことがなかった。やっていても、自分の言い分を言うだけ言った後、腹心に丸投げしていたので、それらしい経験がない。
「えー……こういう会議は初めてで苦手なんだ。だから思ったことだけを言う。そのあと、皆で検討して欲しい」
頼れないと知ると、仕方がないと諦め、自分の思った事を言っていくリムル。
「最初に明言するが、俺はオークに罪を問う考えはない」
ざわめく周囲。原作どおりだと安心するクロノ。
「ああ、被害の大きい種族からしたら不服だろうが、聞いてくれ。侵略行為は悪であるが、そもそもの原因は、飢饉である飢餓だ。同じ立場であれば、他の種族の者であっても、同様の判断をしたかもしれない。……ってのは建前なんだけどな」
「では、本音を伺ってもよろしいかな?」
理解できる話だが、納得の行く話ではない。なぜなら、誰もそれを経験していないからだ。
「……オークの罪はすべて俺が引き受けた。文句があるならすべて俺に言え」
そこまで言って、とあるオークが声を上げる。
「お、お待ちいただきたい、いくらなんでもそれでは通理が――」
「それが魔王ゲルドとの約束だ」
リムルの言葉を聞いて押し黙るオーク。だがリザードマンの頭首が黙っていなかった。
「なるほど……しかし、それは少々ズルいお答えですな」
(まぁ、簡単には受け入れられないだろうな。……ん?)
(よし、ベニマルの出番だ)
(これ以上言い争っても何も生まれないのにね。どうせ、オークたちから取れるものなんて大してないのに……)
各々考えていると、ベニマルが立ち上がる。
「魔物に共通する唯一不変のルールがある。それは弱肉強食、立ち向かった時点で覚悟は出来ていたはずだ」
ベニマルの言葉に、他の種族が頷き同意する。
「お前たちも、里を滅ばされてるけど、文句はないのか?」
「ないと言えば嘘になりますが……次があれば、同じ無様は晒しませんよ」
思う所はいくらでもある。だが、その中には自己責任や自身の弱さが含まれているのだ。だからそれを飲み込んで先へ進まねばならない。皆そう思っていた。
「なるほど、正論ですな。ですが、一つ、どうしても確認させていただきたい」
「確認?」
リザードマンの頭首が確認したいことがあると、リムルに問いかける。
「オークをどうなさるおつもりですか?」
「……」
答えられないリムル。そこに続けて
「オークの罪を問わぬということは、生き残った彼ら、全てを受け入れるつもりですか?」
「それだ。数は減ったとは言え、15万のオークがいる。それでだ……夢物語のように聞こえるかもしれないが、皆で協力できればと考えている」
それを聞いたリザードマンの頭首は、考え込む。
「例えば、リザードマンからは良質な水源と魚を、ゴブリンたちからは住む場所を、俺達の町からは加工品を提供する。その他の種族にもやってもらいたい事があるが、多いから後で詳しく話す。そして肝心のオークについてだが、その見返りとして、労働力を提供してもらう」
リムルの考えに驚く皆。
「ジュラの大森林の各種族間での大同盟を結び、相互に協力関係を築く。多種族共栄国家なんて出来たら面白いと思うんだけどな!」
「わ、我々が……その同盟に……参加させてもらえる……と……?」
その中でも一番驚いていたのはオークだった。
「帰る場所も行くアテもないんだろ?居場所は用意してやるから、働けよ?勿論、サボることは許さんよ?」
「ハハッ!もちろん、もちろんですとも。命がけで働かさせていただきます!!」
「うむ、ぜひ協力させていただきたい」
喜びに満ち溢れた顔をして、感謝を伝えるオーク。リザードマンもそれに乗っかり、同盟になると言い出す。
「……トレイニーさんも、いいかな?」
「よろしいでしょう。わたくしの守護するトレントからも、森の実りを提供いたしましょう。当面、オークたちの飢えを癒やすことはできると思います」
トレイニーの賛同に、より一層沸き立つ皆。
「では、森の管理者として、私、トレイニーが宣誓します。
リムル様をジュラの大森林の新たなる盟主として認め――」
(盟主!?)
(リムルなら大丈夫だ!)
(出世したわねリムル)
称賛と祝福を送る二人。
「盟主リムル様の名のもとに『ジュラの森大同盟』を成立いたしました」
(あ、え、ちょ――。な、なんか俺が盟主にされちゃったけど……トレイニーさんじゃないの!?)
(辞退なんて出来ないぞ)
(そうよ。一番の功績者なんだから当然でしょ)
流れに乗っかり、リムルに厄介事を押し付ける二人。そもそもこのつもりだったのか、計画通りと言ったところだ。
「じゃあ、あの、そういうことなんで、みんな、よろしく頼む!」
こうしてリムルを、盟主に仕立て上げる事に成功したのだった。だがリムルの仕事はこれで終わりではない。むしろこれから始まるのだ。
「さぁリムル。名付けの時間だ。言っとくが、俺には魔素がないから無理だぞ」
「わたしも、この世界の住人じゃないから無理だからね」
「そ、そんな……」
こうしてリムルは、原作に加え、水剣族、風人族、雷人族、そして各自散り散りになっていた種族の生き残りたちに、名前をつけることになるのだった。
リムルの元へ来た種族たちの生き残りは、各地へ散っていただけって感じです。ですが被害は大きく、ベニマルたちより多少マシ程度の違いしかありません。
合流方法は、ソウエイに見つけてもっらたり、後から合流したりと言った感じです。