あれからリムルに速く力を取り戻したいと事情を話し、クロノの中で休むようになったエリア。
そっから時が経ち、町の発展も進み、たまに出て手伝いながらもリムルたちがイングラシア王国に行くことになっていた。
その間エリアは……
「……やっぱまだまだね」
転がる死体、消えゆく残骸。混沌とした異界の中で唯一人、本調子に戻るために修行していた。ザコとして襲いかかってくる一体一体は、魔王種を軽く越えており、中にはカリュブディスにさえ届く怪物たちである。そんな魔物?たちが蠢く異界の中で長い期間修行したエリアは、やっと半分ほどまで力を回復させていた。
「制御出来ないのがね。嫌になるわ」
異界自体はまだ本調子とは程遠い。完全体になれば、エリアでさえ超えるバケモノが蔓延る、まさに異界とかしてしまう。なぜそんなものが生まれるのかというと、そもそもこの世界にあるものは、エリアの実力ではなく経験や知識などが元になっているからだ。それに加え、生まれた怪物が内部で勝手に争い合い、どんどん進化していくからだ。
それがエリアの世界の、世界系能力の本質である。
「わたしも総大将から生まれたからね。きっとわたしの中にも、わたしを超える存在が生まれるのか」
エリアの言う総大将とは、エリアの生みの親のような存在である。その能力は、幻界という世界系能力であり、エリアはその中で生まれた存在なのだ。だからエリアの通常状態は、幻想的な世界が広がっている。
「……もうそろそろ来るとは思ってたけど、ちょっと厳しいかな」
世界の色が抜け、周囲が崩壊し、虚空が広がり先が見える。そしてその先から、人形で触手を生やした異型の怪物がこちらに向かって迫ってきていた。
「む~、500万……いや、そんなの役に立たないわね」
腕を伸ばし、音速を越えた速度で薙ぎ払いをする怪物。その一撃により、空間ごと地形が削れ、体勢を維持できなくなるエリア。
「変な癖がついたわね」
存在値を知ってから、相手のエネルギー量を見るようになったエリア。だがそれはただの悪癖でしかないと思い直していた。なぜなら本命は技量であり、存在値など目安でしかないからだ。
「三匹か」
何処からか飛んできた光線を回避し、その先に構えていた剣を持った怪人の斬撃を防ぎ吹き飛ばされる。
「めんどい……」
触手の怪物と、剣の怪人、そして頭に目がたくさんある細長いタコのようなやつに囲まれるエリア。
「わたしを餌だとでも思ってるのかな?甘いよ」
異粒子を漂わせ、向かってくる怪物たちの攻撃を完全に防ぎ切る。
「「「ッ!?」」」
防がれるとは思っていなかったのか、驚き神速に届く連撃を放つ三匹だったが、それでも突破できずに一旦距離を取っていた。
「生意気なヤツらね。まだ獲物の取り合いかしら?」
三体はいまだに、目の前の獲物を奪い合っている。そのせいで牽制しあってホンキが出せずにいた。
「三匹共一気にかかって来なさい。その程度じゃわたしに届かないから」
「「「――!!」」」
それを挑発と捉えた三匹は、一斉にエリアに襲いかかる。
「もっとホンキ出して」
「ギッッ!!?」
まず最初に攻撃の届いた怪物は、完全に触手と化した腕を振るい、知覚出来ないほどの速度で斬撃や刺突を放ちまくる。だがどれも軌道をズラされ、掠りすらしない。それどころかエリアの軽く振った腕から放たれた斬撃に斬り裂かれ肉塊と化す。
「あなたもよ」
「ッ――!!」
次に怪人の斬撃が届き、速く重く靭やかな斬撃を、一瞬にして無限に思えるほど放ち続ける。しかし、神話級にも届いているであろうその剣は、今にも崩れそうなほどボロボロになっており動揺する怪人。そこにエリアが、手刀で胸を貫き絶命させる。
「論外ね」
「――」
大量の光線を放ち続けるタコだったが、どれも届いてすらいない。そこで攻撃を変え、重力嵐を発生させ全てをズタボロにしながら、崩壊させようとしてくる。だが法則系攻撃が通じないエリアにはそよ風のようなもので軽く流され、拳から放たれた衝撃波によってタコは弾け飛んだ。
「こんなものね」
そう言い周囲を安定化させ、元に戻す。これをあと半年も続ければ、本調子に戻れるだろうと確信している時のことだった。
「エリア、ギルドのグランドマスターのユウキと顔合わせしたいから出てきてくれないか?」
「ん?ええ、別にいいわよ。それぐらいしとかないとね」
そうクロノから言われ、出る準備をする。
「久々ね、外は。身分証取った時以来かしら?」
リムルと共に一応身分証は必要だろうと冒険者になったエリア。その時、リムルに混じって速攻で手続きを終わらせて、さっさと異界の中へ戻っていた。無論目立たないように動いていたので、エリアを覚えているものなど一人もいないだろう。と言うよりも、リムルとクロノが目立ちすぎていたとも言う。
「ま、出るとするかな。ギルドのグランドマスター、どんなやつだろうか」
随分と原作とかけ離れた為、なにか変わっているのだろうと思いつつ、エリアは外に出たのだった。