夜になり、リムルは上位精霊のことを聞きにトレイニーのところに行っていた。そこでアイリスに呼び出されていたエリア。
「町の外まで来て、何をする気?」
「……再戦したい。あれから私も強くなったから」
どうやら初めて戦った時の再戦をしたいようだ。
「いいけど、ホンキは出せないよ」
「分かってる。今の私が、あなたにどれだけ通じるか試してみたい」
修行した、賢くもなった。だがそれでも、エリアには遠く及ばない。それを知っているからこそ、安心して全力をぶつけられると考えるアイリス。
「わかったわ。かかってきなさい」
そう言い離れた位置で広範囲結界を張り、アイリスを待ち構える。
「やっぱ凄いね。これだけで、勝ち目がないことが分かる」
「そう、じゃ始めましょうか。見てあげるわ。あなたの強さをね」
一刀を構え、爆発的な速度でエリアに接近するアイリス。それを片手で簡単に受け止めたエリア。
「動きが……ッ!?」
単調ね。と言おうとした瞬間に、剣が燃え上がり、爆炎がエリアを包み込む。
「驚いたけど、効かないわよ」
「っ!?ならッ!!」
もう一本刀を素早く抜き放ち、エリアが距離を取る。そこで隙かさず連撃を叩い込み、エリアは両手で対応する。
「炎は効かないの」
「炎だけじゃないでしょ!」
炎と爆炎が迸る連撃を高速で仕掛けてくるアイリスだったが、エリアはびくともしない。
「魔法じゃなくて、能力になったのね。わたしの世界じゃ考えられないわ。この世界でも楽じゃないだろうに、凄いね、アイリス」
「くうっ!?」
刀を払い除け、数発の殴打を叩き込む。それにより膝を着くアイリス。
「わたしも魔法……は苦手だから、魔術使いましょうか。高位魔術、日輪」
「っっッ!!!?」
エリアの手から、白い炎球が発生し、その光と熱波が瞬間的に周囲を問答無用で焼き払う。
「やっぱ高位なだけあって、コストが高いわね」
「な、なんなの……今の」
無効にまで届いているであろう耐性と全力の防御ですら、完全に防ぎきれなかった攻撃に驚愕する。
「魔術よ。魔法と違って誰でも使えるわたしの世界の技術よ。なんせ、予め組まれた回路とか動きとかをすればいいだけなんですもの。まぁ、調整出来ないから、性能は魔術ごとにピンキリだけどね」
簡単な説明をするエリア。
「こんな技が誰でも……」
「いや、そうでもないわよ。汎用性は高いけど、魔力用意できなきゃ不発するし、魔法や魔導に比べれば発動速度遅いし、そもそも事前準備で魔術を覚えたり、道具準備しなきゃいけなかったりって面倒だしね」
誰でも使えるが、それはあくまでも実用可能性を排した場合の話だ。だから、低位ならまだしも、高位ともなれば使い手が限られている。
「それ、私も使える?」
「覚えればね。欲しいなら、あとで教えてあげるわよ。じゃ続きをしましょうか、あなたの力を見せてね」
そこからなぜか修行のようになってしまった戦いは、日が登るまで続き……
「もうそろそろ……ん?」
「ええ、流石に……へ?」
なぜか結界が崩壊し、二人は構え直す。
「だれかしら?勝手にわたしの結界を壊したのは?」
「あれは…っ!?」
医療用のメスが高速で飛来し、アイリスが咄嗟に声を出そうとする。だがその前にエリアにメスを掴み取られ、二人の間に女性が割って入っていた。
「ドクター!これは……」
「下がって!」
そう言い放ち、アイリスを無理やり下がらせ、能力で武具を纏う。
「へ~、リュウと似たような能力だね」
「リュウ……いや、その前に貴方を無力化する!」
そうして、なぜか二戦目が始まったのだった。