リムルの案で、上位精霊を子どもたちに憑依させるために、その居場所を探しだしてから約一ヶ月……晴天の青空の元、戦闘訓練を終えた子どもたちは、リムルの出した漫画に夢中になっていた。
「教師らしくなってきたわね」
「ありがとう、エリア。だがまぁ上位精霊の居場所がな……」
「まぁそんな簡単には見つからんさ」
リムルは教師らしくなってきて、子どもたちとの関係も良好。エリアとクロノも同じく慕われるほどまでに仲良くなっていた。
だがリムルが探す上位精霊の居場所は未だに見つけられていない。
「どうしてもダメそうなら、わたしが異界から適当な奴連れてくるわよ」
「いやそれはいい。と言うかダメだろ」
一応精霊の類であるエリアは、普通の精霊らしい事もできる。その上、異界の中に色々と飼っている奴を使う事により、上位精霊の代わりをさせられるのだが……
「ああ、エリアの異界の中は危険すぎる。エリアが従えられたとしても、制御から離れたら何を仕出かすかわからない」
「別にずっとってわけじゃないんだけどね。応急措置みたいなものよ」
「それでもダメだ。弱体化してて、俺とリムル二人がかりでギリギリなんだから」
異界の中の存在は、外に出ると弱体化する。それでやっと、リムルとクロノ二人がかりで倒せるレベルになるのだ。だから、いくらエリアがいると言っても、一瞬でも目を離した瞬間にヤバいことになるのは誰にでも予想はつく。
「あっ。忘れてた……」
「何がだ?」
そう言って、エリアは異界に手を突っ込み、しばらくしたあと何かを取り出す。
「キュ……」
「ごめん。忘れてた」
そこから、疲れ切った様子のカイコが出てきて、エリアの頭の上に乗る。
「この子も修行させるために放り込んでいたんだけど、回収するの忘れてたの」
「よく生き残れたな。そいつ……」
いくら覚醒魔王級の強さを持っているとは言え、それを遥かに上回るバケモノたちが蠢く異界の中で生き残れたのは奇跡だろう。まぁ、ホントに危なくなったらエリアが気づくので死にはしないが。
「エリア先生。その子は?」
「カイコよ。触ってみる?」
「何この子!かわいい!」
クロエとアリスが近づいてきて、カイコに気がつく。そして気に入ったのか、出てきてそうそう遊ばれるカイコ。
「カイコも大変ね」
「お前が渡したんだろ」
そんな話をしながらのんびりしていると……
「先生?」
「何だ、このプレッシャーは……?」
「天空竜?」
どんどん近づいてくる天空竜。そしてリムルたちを通り越して町へと直行する。
「なんだ?はぐれドラゴンか?」
「そうじゃないか?こんなところにわざわざ来るなんてな」
リムルとクロノがそう考察し、天空竜をみやる。
「王都が――」
「しょうがない、助けに行ってくる」
「頑張ってね」
そう言うリムルに子どもたちは……
「だ、大丈夫なのかよ!先生は強いだろうけど、相手はドラゴンなんだぞ!」
「騎士様たちが来るのを待ったほうが……」
「アンタが死んじゃったら、誰が私たちを助けてくれるっていうのよ!勝手に死ぬなんて許さないんだからね!」
「先生……」
どうやらリムルのことを心配しているようだ。
「大丈夫だって、勝てない相手に向かって行くほど、俺は馬鹿じゃねーよ!」
「そうだぞ貴様たち。我が主は無敵よ。まあ、勝てない相手もいるにはいるがな……」
「勝てる勝てないの見極めは、一番最初に覚えるべき基本事項だからね。それぐらいリムルはできるから、心配しないでね」
そして最後に仮面を投げ、クロエに渡ったところでリムルは翼を生やして飛んでいくのだった。