騒がしい声が聞こえ、エリアの意識が浮上する。
「……おい!大丈夫か!?」
「……え、ええ。どうにかね。消されかけるところだったわ」
ヒナタたちから逃れたリムルたちは、異界から出てきたエリアにそう呼びかける。
「異界に隠れなきゃ消されてたかもね。とんでもない技ね、あれ……」
「ああ、そうだな。とりあえず速く町へ帰ろう!あっちもヤバくなってるかもしれない!」
焦る二人に、なにか忘れている気がしてならないエリアは、リムルにとある事を聞いた。
「……リムル。ちょっと聞きたいんだけど、わたしって何してた?」
「え?なにって、結界に囚われてから、消滅の寸前に異界に入ってやり過ごしたんだろ?」
「そうだな。その間に俺達がヒナタたちと戦って負けそうになったから、分体使ってやり過ごしたんだ」
エリアは異界に隠れ、リムルたちは分体を使ってやり過ごしていた。そして今に至ると聞いて、薄まった違和感を放置したエリアは、早速町の近くへと転移する。
「ッ!?嘘だろっ!聖浄化結界が張られてるぞ!」
「いや、よく見ろ。若干だが張りが弱い。不完全なものか下位互換だ」
「それでもヤバいわよ。幹部クラスならまだしも、一般市民の方は……」
聖浄化結界には及ばないが、原作のものより強力な結界が張られていることに驚くクロノ。だがリムルがそれを即座に解析し、エリアは住民の心配をした。
「──リムル様!御無事で何よりです」
「ソウエイ!」
リムルの気配を感じ取ったソウエイが、目の前に現れる。それに驚くリムル。
「無事でよかった、それでみんなは?」
「それが……」
リムルの催促により、ソウエイから町で起こったことが話される。どうやら西方聖教会の神殿騎士団によって密かに行われた首都リムルの包囲と、ファルムス王国がテンペスト相手に戦争準備を進めているという事実。
その事態を受け、リムルたちに帰還要請しようとしていた矢先の出来事だった。町全体に魔法結界が張られ、通信が繋がらなくなり、広場で何者かが騒ぎを起こしたのは。
「これだから権力者は……。どうせ自分たちの利権が脅かされたからってのが理由でしょうけど」
「ああ、よく考えてみると、俺達が発展すれば周辺諸国、特にファルムスはドワーフ王国の道としての役割が薄くなる。話によるとあの国、特に目立った産業見当たらんし」
そして相手は魔物。人類の敵として仕立て上げ、新参を潰してその全てを奪い取れば、新たなる利権確保もできて一石二鳥と言うわけだ。
「そんな理由で……わかってるならなんで教えてくれなかったんだッ!?」
「前にも話したわよ。それにこんな簡単なこと、気づいてると思ってたの」
リムルの言葉に、エリアはそう返す。
「そ、そうだったな。悪い、俺も考えが甘かった……」
「別にいいのよ。単純な話とは言え、思いつくのは別の話よ。そんなことより、町へ入って安否確認しなきゃダメじゃない。襲われたって話でしょ?」
リムルに対して、エリアは非常に冷静だった。聞いていたと言うのもあるが、エリアはリムルに比べそういう事に慣れきっているからだ。
「そうだな。被害の程が知りたい。ソウエイ、案内を頼む」
「はい、分かりました」
余程被害が大きいのか一瞬ためらう様子を見せたソウエイだが、そうも言ってられないとリムルたちを町の中へと案内するのであった。