あれから作戦が決まり、反撃が開始した。
「俺はファルムスの王がいる方を叩く」
「じゃ、俺はその逆の軍勢を潰すわ」
「わたしは町に残るね。いざって時に守れるように」
リムルとクロノは、挟み撃ちかのように攻めて来る軍勢を相手する事になり、エリアは町を守ること専念するようだ。
「では我らは、町に結界を張っている者たちを排除してきます」
ベニマルたちや、後に連絡が取れた町の外にいた他種族の仲間たちは、町を取り囲む結界を壊すために動くようだ。
「気おつけてね。敵は多いし手練だろうから」
「そうだぞベニマル。危なくなったらエリアを呼ぶんだぞ」
「問題ありません。さっと片付けてみせますよ」
ベニマルのその言葉に安心したエリアとリムルは、ベニマルたちを送り出し、リムルもその後に出陣する。
「大丈夫よね。流石に……」
数も強さも倍になってるとは言え、こちらもそれは同じ。いざとなったら自分が出れば全て解決だと、エリアはそう思うのだった。
「誰だ!?貴様ら!?」
「誰だって?自分たちの敵すら覚えていないの?」
「そうだな。だがいい、知る必要はない」
「なんだと!?ほざけッ!!」
ベニマルとホムラの言葉に、逆上し騎士とは思えぬ返答を返した者たちは、一斉にベニマルたちへと襲いかかる。それを二人は一瞬にして見切り、炎を纏わせた刀で次々にぶった切り、骨も残さず焼き尽くす。
「なっ、なんだこの化け物どもっ!?神により祝福された我らを、こんなの聞いてなッッ!!?」
「うるさい」
最後の一人がそう叫ぼうとした瞬間、ホムラの刀により真っ二つにされ、火柱と共に消滅する。
「任務完了だな」
「大して強くなかったわ」
そう言い合い、ベニマルたちは残り方面の様子を窺うのだった。
「奇襲! 奇襲! 上空からの攻撃に備え対空防御陣形を取り、魔法衝撃に備えよ!相手はドラゴニュートだ!!」
叫び陣形を整える騎士たちにリュウヤとフウカ、ガビル率いる、ドラゴニュート達が上空から一斉に、各種属性のブレスを降り注がせていた。それに対し、崩御を固めつつ魔法で反撃をするが
「なに!?かき消されるだと!?」
フウカの張った風の結界によって全てが弾かれかきけされる。
「手慣れている。面倒だ」
「そうね。だったら、突っ込むまで!」
「そうであるな!」
三人が同時に地上に攻撃し降り立ち、衝撃波とクレーターが発生した。それにより陣営が崩れている隙に、ブレスと間を縫って騎士たちを屠っていく。
「き、貴様らッ!!」
そこで一人の指揮官っぽい騎士が、リュウヤに襲いかかるが
「遅いな」
剣に纏わせた闇で斬撃を撃ち、接近すら許さずに斬り裂かれた。
「グワハハハハ!やりますなリュウヤ殿!!」
「やるね。私も負けてられない!」
「ああ、そうだな」
そうして騎士団の抵抗虚しく、総崩れとなり壊滅したのだった。
「なっ!?足がッ!?」
何かが近づいている事に気がついた騎士は、それに備え万全の態勢を整えていた。だがそれは、地表面を伝ってやってきた氷によって、呆気なく崩される。
「大したことない」
「まぁ、こうなっちゃえばね」
「確かに」
サキハとソード姉妹の魔法によって、足ごと氷付けにになった騎士たち。
「魔物に人間だと!?なぜだ!なぜ魔物なんぞにッ!?」
「会話で解除の時間稼ぎ?無駄」
一生懸命氷を解除しようとしていたようだが、そもそも強力な力に、ヒナの作った武具の力が上乗せされた氷をどうにもできずに徐々に凍っていき
「えげつないね」
「出番なかった」
騎士団は何もできずに息絶えるのであった。
「てめぇら、引導を渡しにきてやったぞ」
「よくも町を襲ってくれたわね」
「覚悟しろよ!」
ライカとカグヤ、シュンカが堂々と騎士団の前へと姿を表し、準備をさせる暇もなく襲いかかる。
「ぐわっ――!なんだこいつらはッ!?」
シュンカの力強い斧捌きに簡単に斬り裂かれ、カグヤとライカの高速移動からの手刀や打撃、光線に鎌などで斬り吹き飛ばされていく騎士団たち。
「くそっ!結界を――」
「させないぞ!」
結界を張ろうとした指揮官の騎士が殺され、更に混乱する騎士たち。その結果騎士団は、一方的に蹂躙されて全滅させられるのであった。
「なんだこの巨大なゴーレムは!?」
「あ、足元が……!?」
キリンの作り出したゴーレムに驚く騎士たち。それを迎え撃とうと動き出そうとしたが、泥濘になった地面に足を取られ、何人かがゴーレムに叩き潰される。
「こんなものなの?」
「身動きが取れないとこんなものよ」
キリンとミズハは、そう話しながら淡々と敵を屠っていく。
「卑怯なマネをしやがって!」
「それは貴方たちの方」
そこでゴーレムに飛び乗った騎士がキリンにそう言い、斬りかかる。だが動きが止まり……
「う、動けんだと!なにをッ!?」
絡まった糸に粉微塵にされた。
「敵の上に乗ってくるって、バカ?」
「普通わからないでしょ」
そうして二人は、難なく敵を全滅させたのだった。
影移動により、一瞬で静かに騎士団を屠ったソウエイたちは、装置の前に立っていた。
「ソウエイ様。思ったよりこの者達は、弱かったです」
「ああ、よくこの程度で戦争を仕掛けるきになったものだ。それより、異世界人たちは、リムル様たちの読み通り、西、だな」
「ハッ! その通りかと」
それと同時に装置を破壊したソウエイたちは、影移動で偵察に戻るのだった。
最後の魔法装置設置場所。
「やるじゃねえか。結界外だと万全ですってか?」
「そうだね。あくまでも結界内だったから弱かっただけか」
「じゃあこちじゃもっと強いってこと?まぁそれでも勝つのはウチらなんだけどさ」
騎士団を蹴散らしたハクロウ、ゴブタ、ゲルド、ミユヒは、前に現れた三人をみやる。
「来たっすか。でも、お前の相手はオイラじゃないっすよ」
「安心するがいいぞ、ゴブタ殿。オレがあの者に鉄槌を下してやる」
「言ってろ、ちょっと強いだけの魔物風情が!」
そうしてゲルドとショウゴが戦い始める。
その頃、
「へえー君たち死ななかったんだ。せっかく助かったのに、逃げないの?」
「フォッホッホッ。なに、ワシは負けず嫌いでな。本気も見せておらぬのに、若造が天狗になっておるのは、ちと不愉快じゃし、のう」
「ああ、腕がそこそこでも、こうも精神が汚れきってる奴に負けっぱなしってのも気に食わないからな」
「――へえ。言うじゃん。二人がかりでかかって来るくせにさ。まぁ、問題ないけど……さっ!」
――刹那。
一瞬にして距離を詰めたキョウヤが剣で斬りかかるが、ハクロウにたやすく防がれる。
「ワシ一人で十分じゃがな。そっちも二人じゃから連れてきたんじゃよ」
「ッ!?ほざけッ!!キララ、強化を強めろ!」
「わかってるし!」
一旦離れ、キョウヤはキララに声をかける。するとキララの声に反応して、三人の存在感が跳ね上がった。
「強化スキルか。だったらあの女から先に仕留める」
そこにミユヒがキララに斬りかかり、そこに割って入ろうとするキョウヤをハクロウが止める。
「あっぶないわね!」
「チッ、外したか」
だがキララには避けられ、向かい合う両者。
「キョウヤ、ショウゴ!そっちは任せたし!ウチらはこんなところで死ぬわけには行かないんだから!」
「わかってらぁ!あいつらを叩き潰すまで死ねねえからな!」
「勿論だよ。だからこんなに強くなったんだからさ!」
キララの声に更に強化された二人は、押され気味だったのが嘘のように巻き返し始めていた。
「じゃ、アンタの相手はウチがやる」
「できるものならやってみろ!」
そう言うとキララは炎を浮かべ、一気にマシンガンのごとくミユヒに撃ち放つ。
「ッ!?止まれ!吹き飛べ!!」
「ッ!?」
しかしそれを容易に突破され、キララは咄嗟に能力を使う。するとミユヒは吹き飛び、そこへ氷槍が雨のように降り注いだ。
「しつこい!重くなれ!這いつくばれ!押し潰れろ!!」
「ぐうっ~!?」
それをかいくぐった先で、高重力がかけられる。だが咄嗟に放った飛ぶ斬撃で腕を負傷するキララ。
「ッ!?治れ!やってくれたし!ニュークリアキャノン!」
炎の光線がミユヒに迫る。そこで何もできないミユヒは飲み込まれ……
「ッ!?」
「よく避ける!」
能力によりギリギリで回避していたミユヒは、キララを斬り飛ばしていた。だが致命傷は避けられたようで、近くにいたショウゴに支えられる。
「だっ!?ウガッ!?」
「な、どうしたしッ!?」
苦しみだしたショウゴは、焦点の合わない目でキララの首を絞め……
「ちょ、やめ、なんで、く、ぐるヂィー……」
容赦なくその首をへし折った。
《確認しました。ユニークスキル『dぇじあ;m』をぇkfなかえあkm……エラースキル『殺戮者』を発現させられました》
「なにが……」
その瞬間、ショウゴの力が膨れ上がり、周囲が消し飛ぶ。
「ギャハハ!死ねっ!!雑魚どもッ!!!」
「んなっ!?」
世界の声が聞こえ、正気を失ったショウゴは、ゲルドを殴り飛ばす。そのままミユヒに襲いかかり一瞬の攻防のあと、ミユヒは紙切れのごとく吹き飛ばされた。
「しょ、ショウゴ……」
「いつまでそんな、ジジイの相手なんかしてんだ!さっさと始末しろよ!」
「なぬッ!?」
呆然とするキョウヤを置いて、目にも留まらぬ速さでハクロウを叩きのめすショウゴ。
「しぶとい野郎どもだ。さっさと殺して……」
そこまで言って、膝から崩れ落ちるショウゴ。
「大丈夫か!?何がッッ!!?」
そこでキョウヤも激しい頭痛と吐き気にうずくまる。
「「「エリア様!」」」
「やっぱ誰か干渉してたわね」
そこに異変を感じたエリアがやってきた。
「この者たちは……」
「もう助からないわよ。だからせめて、苦しまずにね」
苦しみ悶える二人に、エリアは異粒子を振りかける。すると苦しみから開放されたような顔になり、静かになった。
「あれは一体……」
「あとで話すわ。この戦いが終わった辺りでね」
そうして一旦、町へと帰るのであった。