クロノは、みんなが行ったことを確認して、目的の場所に行っていた。
「さて、みんな行ったな。……それにしても、報告通りだな。明らかに普通じゃない」
そしてクロノは上空から、挟み撃ちをするかのように反対側からやってくるファルムスの軍勢を見下ろしていた。その様子は明らかに普通の雰囲気とは違い、虚ろな目をしながら凶暴性の増したような雰囲気を漂わせている。
「進行速度が早すぎる。休むことなくここまでやってきたって感じか。多分操られてるんだろうな、そうにしか見えんし」
回り込むともなればもう少し時間がかかりそうだが、それを打ち消すように強化された軍勢は、休むことなく進み続けてきたようだ。そこに疲労感や感情はなく、だた思考すら許されずに命令に従っているようにしか見えなかった。
「ま、そんな事は知らんがな。攻めてきた限りは徹底的に叩き潰す」
だがクロノには関係ない。そもそもあんな王の下についるのだ。操られてようがなかろうが、いずれは似たような結果になっただろう。だから、ここにいる者たちは助けてやる価値もないと切り捨てていた。
「リムルと同じでもいいが……それじゃ対処されるかもしれないから、ちょっと強めにっと……」
リムルと同じように魔法不能領域を張り、軍勢のいる上空を覆うほどの突起のある薄い水の膜を張るクロノ。
「よし、じゃ、やろうか」
瞬間、周囲が真っ暗になり、光の線が飛び回る。それにより何が起きたのか理解が追いつかない兵士たちは、何の抵抗もできずに死んでいく。
「視界ってのは光り有りきだから、こうやって届かなくさせてやれば一方的に殺れるな」
光の屈折を利用して、降り注ぐ太陽光のすべてを攻撃に回す。そうすることによって、膜が張られた下の部分は光が届かなくなり、真夜中のように真っ暗になる。これにより相手は、周囲の確認すらできずにやられるのだ。
「だが制御もムズいし消費も多い……攻撃専用ってところか」
対処のされにくさや攻撃面では圧倒的だが、リムルのメギドより高い能力が求められる。それに多少は改善されているとは言え、大まかな弱点も変わっていない。
「まいっか。今後使うことはないだろうし……ん?」
使い勝手の悪い今回限りの大魔法だと割り切り、どんどんと数の減っていく軍勢を確認していた時のことだった。
《確認しました。ユニークスキル『無情者』を獲得……成功しました》
ユニークスキルを取得したクロノは、即座にその力を理解する。
「なるほど、リムルの得た心無者と似たような能力か。じゃ、これ使ってさっと終わらせるかな」
魔法の維持をしているよりも速くコスパのいい方法が手に入り、即座にその力を使うクロノ。すると恐怖で戦意を喪失していた全ての兵士が、一斉に魂を抜かれてクロノの元へと集まる。
「っと、吸収すると進化しちまうな。町に戻ってからにしよう。にしても薄いとは言え自我があって助かったな。なかったらチマチマ倒す事になってた」
クロノはそういながら魂を亜空間に仕舞い、町へと戻るのだった。