テンペストでの問題が一段落済んだその後、リムルに謁見を求めてきたのはユーラザニアの三獣士と、クレイマン配下のクマラ、ミリムの配下を名乗る者たちだった。
「襲撃を受けた?」
「はい、特に我が国は被害が甚大で……」
まず一番被害が大きいであろう、ユーラザニアの三獣士筆頭のアルビスがそう伝えてきた。
「国が消滅したのね」
「そんな簡単に……」
「はい、幸い人的被害はなかったのですが、避難民は大勢出ています。襲撃者たちの足止めに行ったカリオン様と他の幹部たちも行方不明で……」
何者かに襲撃を受けた獣王国ユーラザニアは、最終的には首都が消滅させられたそうだ。だがカリオンとその他の配下、ヨシツネ、アヤネ、アイギスなどの幹部が襲撃者の相手をしてくれたおかげで、ギリギリだが避難は間に合っていた。
「それは大変だったわね。でも死人が出なくて良かったわ」
「不幸中の幸いだな。最悪にならなくてよかった」
「わかった。避難民はこちらで引き受けよう。それで、他の二人は?」
ユーラザニアの避難民を受け入れる判断をしたリムルは、代表で来ている二人にも声をかける。
「初めまして、直接会うのは初めてなのでまず自己紹介を。私はミリム様の配下、ジョカと申します」
丁寧に挨拶をするジョカ。エリアとは二度目で、リムルはジョカがミリムとやり取りをしているところを見ただけの間柄だったので、自己紹介をすることにしたようだ。
「久しぶりね、ジョカ。そっちはどうなの?」
「ユーラザニアほどではありませんが、各地の集落が襲撃されています。今は住民の大部分を竜の都に避難させ、一部の者達が情報収集のために動いています」
ミリムの配下たちは、ユーラザニア同様得体の知れない誰かから襲撃を受けており、避難の後に情報収集に徹しているようだ。
「そうか、なにかわかったことがあれば教えて欲しい」
「今のところはなにも。認識妨害を受けているようで、複数人の人形の何かとしかわかっていません。ミリム様も、手応えが全く無かったとだけ……」
一切姿を認識させずに襲撃を実行した襲撃者だったようで、なにもわからないとのこと
「わかった。伝えてくれて感謝する。ところでミリムは?」
「襲撃者を探しに行くとお一人で飛び出して行かれました」
ミリムの強さは周知の事実だが、今回の敵は異質すぎる。それを伝えて引き留めようとしたようだが、その前に飛び出して行ったようだ。
「ジスターヴの方はどうなってるんだ?」
「わっちらや他の魔王たち、それと人類国家には目立った被害はでてないでありんす。ただ、東の帝国が怪しい動きをしていて、下手に動けず……」
ここに来て東の帝国が睨みを効かせ、ジズターヴの動きに制限をかけていた。
「そうか、東の帝国、それに今回の襲撃の件、なにか裏がありそうだな」
「そうね。あっちだけ何もないのは都合が良すぎるわ。裏で手を引いてるのかもね」
どうやら今回の事態は、魔王側と西側諸国で起こっており、東の帝国は様子見と横取りを狙っているようであった。それを怪しく感じたみんなは、もしや東の帝国がなにか仕掛けて来てるのでは?と疑った。
「それでなのですが、クレイマン様が、ワルプルギスを開くと言っておられ、それにリムル様方も参加していただきたいのでありんす。今後のためにも」
「……わかった。重要な話だからな」
一瞬ためらうリムルだったが、相手が相手なので参加することにしたようだ。
「まぁ、みんなも疲れているだろう。今はゆっくり休んで、来たるべきときのために英気を養っておいてほしい」
リムルが最後にそう締めくくり、今回の話し合いは終わったのであった。