シエルからヴェルドラの開放準備が終わったと報告されたリムルは、クロノとエリアを連れて封印の洞窟まで来ていた。そこでリムルの分体にヴェルドラを憑依させる。
「我、復活!」
「相変わらず元気だな」
テンションの高いヴェルドラに、リムルは何処か安心感を覚える。
「久しぶりね。元気だった?」
「もちろんである!だがそっちはなにか不穏なことが起きているようであるな」
リムルの中から見ていたヴェルドラは、大方の状況が理解できているようで、そう心配する。
「ええ、ちょっと厄介な敵ができてな。お前より格上かもしれないぞ」
「なぬ?世界最強たる竜種の我より上?」
リムルの言葉にヴェルドラが反応し
「まぁ、わたしの世界から来たやつだしね」
「ほ~、では納得だ。エリア程の実力者であっても最強になれぬほど過酷な世界なら、仕方があるまい。だがそれも技量を磨かなかった過去の話よ!今の我を超えるほどの敵はおらんわ!」
修行前ならそうだったが、今はそうでないと言いきる。
「確かに力の制御は中々ね。それに色々技も覚えたみたいだし」
「そうだ。リムルの記憶の聖典により、様々な技も技術も習得したのだ!それにエリアの異界から迷い込んでくる魔物とも戦ったぞ。大した強さだったが、弱体化していたのか我の敵ではなかったがな!」
どうやらリムルの記憶を見て、色々と学んだようだ。更にはエリアの異界からバケモノが流れ出して、それとも戦ったようだ。
「ごめんなさいね。出さないようにはしてるんだけど……リムルとクロノに加護を使って流れ出したのかしら?普通は出ないんだけどね。異粒子がない場所には」
「俺の亜空間とリムルの虚数空間を連結してたんだ。お前が中にいた時に出てきたやつがヴェルドラの方に行ったのかもしれないな」
話をしながら自然と中に入ってくるクロノ。どうやら加護のことも合わさって、修行中の隙を突かれて出てきたモノが、繋げていたリムルの虚数空間に迷い込んだようだ。
「そんな事できたのね」
「ああ、俺の亜空間じゃ容量限界があるけど、リムルの虚数空間はそんな事ないんだよ。それに今回の進化で俺も虚数空間手に入れれたし、一石二鳥だな」
「にしても全く気がつかなかったぞ。今は……いないようで良かった」
どうやら覚醒前のリムルでは虚数空間を利用はできていたが、中の様子は細かく把握できないようであった。だが覚醒後は把握できるようで、今はいないようだ。
「消えちゃったんじゃない?異粒子がないとあいつら存在を維持できないし」
「良かったな、リムルよ。我も何十体か戦ったが、流石に複数体相手は厳しいからな。いやはや、範囲攻撃が通じないとはあれほど面倒なのだな。まったくダメージになってなかったぞ」
相性のこともあるようだが、純粋に一体一体が簡単に蹴散らせないほど強いようで、範囲攻撃で殺し切れるのは格下までだと再認識させられたようだ。
「ところで、クロノだったか。リムルと同じく転生者で、名付けもされたようだな」
「は、はい」
存在に気づいてもらえたクロノは、緊張の面持ちで答える。
「そう緊張するな。今までリムルと仲良くしてくれたお礼だ。貴様にもテンペストの名を授けようぞ!」
「そうだな。数少ない魔物の転生者だ。これからもよろしくな」
それを聞いたクロノは喜び、ヴェルドラからリムルを伝って何かが流れ込んでいく。すると少し輝き、力が上がったように見えた。
「こ、これは……」
「おおっ!流石は覚醒魔王、相当持っていくな。しかもその場で進化もするか!」
どうやらクロノは進化をしたようだ。
「ありがとうございます!」
「敬語はいいぞ。ただ一つ約束して欲しい事がある。リムルのように名付けをしまくることはしないでほしい。足りなかったら我から引き出されるからな」
どうやらリムルが名付けした際に足りない魔力が、勝手にヴェルドラから引き出されていたようだ。
「そうだったのか。どうりで……すまん、ヴェルドラ」
「うむ、これからは気をつけてくれよ、リムル」
そうしてヴェルドラの復活は無事終わり、新しくなった能力や調整のための軽い手合わせなどを済ませるのであった。