一つの人影が空に浮かび上がり、一瞬にして千の武器が上空に現れる。そしてそれが降り落とされそうになったが……
「貴様!何をする気であるか!」
「させるか!」
ガビルとリュウヤが、敵を攻撃してそれを阻止し
「落ちろ!」
背後を取ったシュンカが斧を振り落とし地上に叩き落とした。
「こいつが襲撃者か」
「あれだけの武器を展開できるなんてね」
ベニマルとホムラが地上に叩きつけられたその人物を見て、そう感想をもらした。コートを着た高身長で、男とも女とも捉えられるほど整った顔立ちだが、その顔に生気は感じられない。
「まぁいい、敵であれば容赦はしない!」
「燃えつきろ!」
二人の炎がサウザンドウエポンを襲う。
「「ッ!?」」
だが普通に立ち上がったサウザンドウエポンは、炎の波を突っ切り二人に長刀で斬りかかる。
「させない!」
「消し飛びなさい!」
キリンが地面を操作し、空中へ打ち上げる。そこへすかさず、カグヤが光線を放ちサウザンドウエポンに直撃し大爆発を起こす。だがサウザンドウエポンには通じず、作り出した光剣で周囲を薙ぎ払う。
「これならどうだ」
「よくやりましたソウエイ!」
ソウエイが糸を足に括り付け、地面に叩き落とす。そこにシオンが全力で斬りかかる。しかし容易く防がれ、打ち返されると同時に振られた光剣から無数の光弾が散りばめられて周囲を破壊し尽くした。
そのままサウザンドウエポンは、光剣を鞭のように変幻自在に振るいながら、光弾を振りまく。
「「それ以上はさせない!」」
サキハとヒナが氷結を張り巡らせ、サウザンドウエポンの足を凍らせる。そこに……
「ここで仕留める!」
「くたばりなさい!」
「その通りじゃ!」
サヨ、ミユヒ、ハクロウの三人が仕掛けにかかった。
「びくともしてないわね」
「体が金属でできているのか、あいつは」
ホムラとベニマルが、目の前の戦いを見ながらそう言った。どうやらあの三人からの猛攻を完全に受けきれてはいないようだが、肉体が硬すぎて当たったところで大したダメージにはなっていないようだ。
「ゲルドやミズハたちからは?」
「あちらからは襲撃者は来ていないようだ。やはりあいつ一人だけだな」
別の場所に当たらせていたゲルドやミズハ、フウカやライカたちの方は襲撃者は来ておらず。ベニマルはそのまま警戒を続けるようにとソウエイに伝え、連絡をよこしていた。
「で、あいつ本気出してるようにみえる?」
「いやまったく。どうやら様子見をされているらしい。何処まで力を出すべきか考えているってところだろうな」
本気を出しているようには見えなかったサウザンドウエポンに、少しムカついたのか、ベニマルは黒炎を纏わせた剣を持って近づく。
「下がれ、お前たち。俺がやる!」
「仕方がない、譲ってやろう」
「頼みましたじゃ、ベニマル様」
「これは仕方がないわね」
三人はベニマルが本気だと察し、巻き込まれないように距離を取った。瞬間、二人の武器がぶつかり、武器を変えたサウザンドウエポンが押し負けそうになる。だがそれをなんとか受け流し、黒炎と斬撃波が入り交じる激しい剣戟が繰り広げられた。
「む、これは……」
「少しづつ、力が上がっている?」
ハクロウとミユヒはそれに気づき、暫く経つとベニマルが押され始めた事にみんなも気づき始める。そして、鍔迫り合いになった途端、急激に周囲のエネルギーがサウザンドウエポンの持っていた剣に取り込まれる。
「なっ!?俺の炎がッ!?」
次の瞬間、爆炎に包まれたベニマルは吹き飛ばされ、本気を出したサウザンドウエポンがみんなに襲いかかった。
「グハッ!?」
「なにッ!?」
一人ひとり武器を変え、最適の方法で
「クッ!?」
「なぬッ!?」
丁寧に斬り伏せ、叩きつけ
「ガァ!?」
「グッ!?」
撃ち抜き、瞬く間に周囲を殲滅させる。その力量差は圧倒的なもので、武器を変える必要がなかったのではないかと思えるほどのものだ。そしてだれも死んでおらず、無力化しただけである。
「こ、これほどとは……」
それもそのはずで、本来のサウザンドウエポンは、生真面目で常識的そのもので、戦いは好きでもあまり無闇な殺傷を好まない性格をしていた。せいぜい邪魔者を仕方がなく排除する程度の存在だ。それを引き継いでいる複製体は、どうすべきかギリギリまで考えていたのだ。
そして出た答えが無力化だった。操作されているとは言えそこまで踏み込めなかったし、そもそも殺す理由もない相手だと判断したようだ。要はベニマルたちに、それほどの脅威を感じなかったということでもある。
「だがまだ負けるわけには……」
ベニマルたちが立ち上がろうとするのを見て、これ以上やるなら排除すると簡単な思念をぶつける。だがベニマルたちは戦うのをやめようとはしなかった。
そこで――
『異世界からの侵攻を確認しました』
世界の声が響き渡ったのだった……