破壊される町並み、湧き出る無数のアンデット、そしてその元凶たる一人のネクロマンサーと一匹の大空を飛ぶドラゴンがいた。
「町のみんなは避難させたよ!」
「怪我人とかは私に任せてちょうだい」
ユイカとドクターがユウカとヴィオレ、リュウとアイリスにそう言う。
「後は私たちに任せて、貴方たちはユウキと一緒に住人の避難をお願い」
「そうだね。ユウカの言うとおりだよ」
「だな。どうにかしてみせる」
「任せて」
そう言いアンデットたちに立ち向かおうとしたその時だった。近くの路地からアンデットたちが蹴散らされ、二人の人物が出てくる。
「いきなり現れて、なにこいつら?」
「アンデットだね。だけど私の知ってるのとは少し違うみたいだ」
ジアコモと少女がアイリス達の前に現れた。
「シュルル!それにジアコモさん。なんでここに?」
「貴族として町を守るのは当然」
「ファルムスに行く予定だったんだけどね。こっちのほうが大変そうだから助けに来たよ」
少女はシュルルという貴族で、町を守るために戦っているようだ。
「ま、あっちも色々あるけどバケモノが出たわけじゃないし、国取りとかは人心掌握のプロに任せて、私は大変そうなこっちに来たってわけ」
そしてジアコモは、ヨウムたちの手伝いをする予定だったようだが、異変が起きたものの、ディアブロがいるから大丈夫だと思いこちらまで来たようだ。
「じゃ、やりますか。私たちはアンデットをやるから、アイリスたちはあいつをお願いする」
「そうね。その方がいいわ」
「ありがとう。二人とも、必ず倒してみせるわ」
「任せとけ」
そう話し合い、ジアコモとシュルルは道を開けさせるためにアンデットを速攻で殲滅しにかかる。その隙間を縫って、アイリスとリュウが突きっていき、ネクロマンサーのもとへ、そしてユウカとヴィオレはドラゴンの方へと行った。
「こいつが元凶ね」
「随分と強そうだな」
棒を持ち、魔道士のような服を着た、顔色の悪い男を見ながらそう言う二人。そいつは、強大な死のオーラを漂わせており、あらゆる生あるのを否定しているかのようだった。
「一気に行くわよ!」
「わかった!」
アイリスは呼び出した精霊を憑依させ髪色が赤になり、リュウは能力で武具を身に纏う。そして一気に接近して斬りかかる。
「「ッ!?」」
だが棒で容易く防がれ、受け流された。それにも滅気ずに四方八方から二人で斬りかかるものの、その防御を崩せずに、ネクロマンサーは魔法を発動させる。それにより地面から無数の槍が生え、周囲一体を串刺しにする。
「爆炎ッ!?」
二人は飛び上がり回避をして、アイリスが爆炎により焼き尽くそうとしたその時、ネクロマンサーは死のオーラを混ぜた火炎魔法を使って一方的に押しのける。それになすすべのなかったアイリスは吹き飛び、近くの建物へと激突した。
「よくもッ!?」
リュウは咄嗟に隙を突いて攻撃にかかるが、逆に転移で背後を取られ棒で殴り飛ばされる。
「はっ!がぁっ!?」
そこに隙かさず戻ってきたアイリスが、斬撃を放つものの棒で受け流されて、無数の水針がアイリスを襲い、貫かれながら吹き飛ぶ。そしてリュウの反撃を避けるように飛び上がり、死の暴風が吹き荒れた。
「ッ!?これは……!?」
「力が……!?」
生気を侵され、体力をごっそり持っていかれる二人。それどころか暴風に風刃が混ざり、なすすべなくズタボロにされていた。
「聖人にまでなったのに……」
「直接くらってないのにこれかよ……」
暴風が止み、膝をつく二人はそう言う。アイリスもリュウも聖人になり相当強くなっていた。だが目の前の相手はそれよりも遥かに強く、歯が立たない。
「くっ……使い魔より使い手の方が強いとかふざけてる」
「そうね。あっちでも戦ってるみたいだけど、こいつの方が明らかに強そうだもの」
チラリと他の戦っている仲間たちの方を確認する二人。あちらも相当キツそうだが、それは数で押されていたり、空を飛んでいる相手だからだという事がすぐにわかった。それに比べ眼の前のネクロマンサーは別格なほどに強かったのだ。
「ちょっとヤバい」
「そうだな。だが……」
負ける訳にはいかないと、立ち向かおうとした時だった。
『異世界からの侵攻を確認しました』
世界の声が響き渡ったのは……