『異物と戦闘をしている者たちに一時的に強化及び加護を施します』
世界の声が聞こえ、ミリム配下たちは瞬時に怪我や疲れがなくなり、種族と能力の格が引き上がった。
「覚醒魔王になった!?」
「究極能力も!?」
中には覚醒魔王になった者や、究極能力すら手に入れた者もおり、巨大な薔薇の上で自分たちを見下ろしているローズドラゴンを一斉に見上げる。
「これなら」
「行けるわ!」
様子が変わったミリム配下たちを見たローズドラゴンは、格闘戦特化型の真紅の薔薇に変え、一番近くにいたシグルスに襲いかかる。
「はっ!」
だがシグルスの張った結界に一瞬阻まれ、砕け散った頃には逃げられていた。
「究極能力ですら一瞬しか持たないなんて!」
「だったら!」
追撃を仕掛けてくるローズドラゴンに生え散らかす薔薇を伝って、ルキアの生み出した暗黒がローズドラゴンに襲いかかる。しかし即座に薔薇の蔓に邪魔され、全員に薔薇が襲いかかった。
「「「はぁああっっ!!」」」
すべてが薔薇園に覆われ、地を見えないほどに広がり続ける薔薇たち。だがこの程度で終わることなくみんなが一斉に各自の範囲攻撃を繰り出して、薔薇を焼き払い、斬り裂いていく。
「「させない!」」
そこに追撃をかけようとするローズドラゴンだったが、レッカとサクラ、ライムが邪魔をして、二人の炎の纏った剣戟が嵐のように襲い、その隙を縫ってライムが斬撃を繰り出し続ける。
「「ッ!?」」
「「次はこっちだ!」」
三体一だと分が悪いと判断したローズドラゴンは、衝撃波と薔薇の急成長で突き放そうとする。しかしナナラの雷撃で薔薇は焼き焦げ、ストレアのレーザーで斬り刻まれる。おまけに接近を許してしまい、槍での攻撃を受け続ける事になっていた。
「つっ!?」
「流石に避けるのね」
「でも……」
ジョカと風葉族の奇襲を避け、上空に飛び上がる。そして薔薇の色が全特化の漆黒になり、発生させた棘を地上に向かって雨のように降――
「させないよ!」
られずに、ギルガメッシュに黄金に輝く宝剣を振り切られて、避け残ったローズドラゴンは腕を切り落とされていた。
「おぞましい力の波動ね」
「ここで倒し切る」
「結界は張ってあるから逃げられないわよ」
腕を直したローズドラゴンを囲むギルガメッシュ、ルキア、シグルスの三人。それを見たローズドラゴンは、最大出力まで力を高め、三人を一気に相手した。
そこで行われたのは、目にも留まらぬ攻防の嵐であった。あらゆる力を使うローズドラゴンに、覚醒魔王にして究極能力を得た三人が、徐々にローズドラゴンを追い詰めていく。
「もう効かないわよ」
ローズドラゴンの攻撃は、シグルスの防御結界に阻まれ、打ち砕いた時には既に標的はそこにはいない。
「暗黒を舐めないで」
辛うじてルキアに当たった拳だったが、腕が暗黒に沈み込み動きを封じられ串刺しにされそうになる。そこで腕と引き換えに強引に衝撃波で暗黒を消し飛ばしたローズドラゴンだったが
「終わりだ!」
ギルガメッシュの宝剣から放たれた光の斬撃に体を斬り裂かれていた。そこで核を破壊されたようで、張り巡らされた薔薇園が枯れていき、地に落ちたローズドラゴンも諦めたかのように動かなくなっていた。
「終わったんだね」
「強敵だったわ」
消えていくローズドラゴンを見たみんなは、そう言い合いここでの戦いは終わるのだった。