異世界に落ちたら弱体化してた件   作:バトルマニア(作者)

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友たちの到着

 上空に現れた一匹の巨大な蟲。それは純白の粒子をまとい、長く引き伸ばされた蛾のような姿をした怪物だった。

 

「白繭さん!?なんでこんなところに……」

「妖魔聖蟲だとッ!?大陸最強格がなぜッ!?どうしてッ!!?」

 

 怒りに震える妖魔聖蟲は、その場で羽を鳴らし“破滅の音色”たる波動が世界を行き渡る。それにより、次元が震え、時空が歪み、各地で崩壊の波が巻き起こる。

 

 

『世界各地での異物の侵入を確認。直ちに対応を……失敗。侵攻者との戦闘中のものを確認。代行処置としてそのもの達に一時、強化及び加護を施します。崩壊現象を確認。緊急措置及び世界の修復を開始』

 

 

 世界の声が目まぐるしく対応策を発動させては無意味に散っていく。その間も妖魔聖蟲の怒りは収まらず、破滅の音色を撒き散らしながらエリアのもとへと接近していた。

 

「世界の声……そうだ!かいざッ!?」

「させないわよ!」

 

 世界の声に干渉しようとする男だったが、回復したエリアの異粒子に胸を貫かれ一旦能力が止まる。

 

 

「邪魔ばかり!もっと厄災を叩き込んで差し上げましょう!」

「出来るものならやってみなさい!」

 

 厄災を滅ぼしたエリアに、追加で厄災を入れようと刀を振る男。だが厄災は刀から出てこず、ただの斬撃は異粒子に受け流され終わる。

 

「な、なぜ出て来ない!」

「白繭さんがいるんだから当たり前でしょ!」

 

 破滅の音色の影響で厄災は出てこれない。それに加え、自分より強いヤツとは戦う気がないのか出て来ないのだ。

 

「自分だけ逃げようなんて許しません!改竄!」

 

 本来通じるはずがない格上の存在とは言え、現在は死にかけの一欠片。抵抗もできずに刀から引き出され、最初の状態へと戻される。

 

「いくら力を吸っても構いませんから、力を貸しなさい!」

 

 厄災に力を注ぎ込みながら、先程の世界の声のことを確認した男は、更に驚くことになった。

 

「押されている、と言うより負けているだとッ!?」

 

 

 世界の声に強化された各地の戦士たちは、戦況をひっくり返して破竹の勢いで勝利を掴んでいたのだ。

 

 

「この役立たずどもめ!たかが覚醒魔王と究極能力如きになぜ押される!」

「当たり前でしょ、そのレベルの相手に力押しが通じるとでも?」

 

 やはり所詮は複製体。能力と行動パターンを組み込んでいるとは言え、それだけの存在が鍛え上げられた存在に勝てるはずがなかった。

 

「どういうことです!?実力を再現するには十分でしょう!」

「そもそもあの領域に届いてないのと、自我と記憶を廃棄した存在なんてたかが知れてるわ。せめてそれがアレば結果は変わってたかもね。まぁあいつらならまず抵抗してくると思うけど」

 

 本体に近づければ近づけるほど強くなる複製体だが、それは抵抗される可能性をはらんだ危険分子になりかねない。だから転生神は、それらを廃棄した都合のいいモノを作ろうとし、その実験にあれを渡してきたのだろう。

 

 

「くっ!だったら……」

 

 男は戦いを繰り広げながら、改竄を使い強引に状況を変えようとした。だが世界の抵抗により不発に終わる。

 

「くそっ!!世界の意思にすらなっていないヤツ何なんかにッ!!貴方たち!さっさとその魔王たちを倒して私に加勢しなさい!!」

 

 妖魔聖蟲が近づいてくることに恐れた男は、そう吐き捨てて生み出した三体の複製体を呼ぼうとする。そいつらは特別性で、ギィやミリム含む魔王たちにも負けないほどの強さを誇っていたが、他人を助けられる余裕はないようで一向にやってこない。

 

「動きが荒くなってるわよ」

「黙れ!改竄!」

 

 力が上がったものの、厄災と無理やり繋がったことによる副作用が出始め、くらった傷ごとそれをなかったことにする。

 

「どんなけやろうと私は倒せませんよ。なんせすべてなかったことにできますかね」

「よく言えたわね。そんな状況で」

 

 確かにダメージも消耗もないに等しいだろう。だが倒す方法などいくらでもあった。

 

「邪魔されずに改竄できれば貴方は無敵でしょうね。でもそんな状況になるとでも?」

「ッ!?」

 

 改竄にも限界がある。範囲を広げれば効かないモノが現れ、狭めれば届かない場所が生まれる。処理しきれないほどの状態にしてやれば、簡単に詰むのだ。

 

 

「私は、わたしは……」

「厄災の進行が早いわね。どれだけ力を注ぎ込んでる……というより奪われてるわね」

 

 男のエネルギーに喜んで飛びついた厄災は、容赦なくその力を利用し、自身の復活と男の強化を推し進める。それによる負荷が男には重くのしかかっていたが、感覚を潰された男は湧き上がる力にのみに目が行っているようだ。

 

「ワタシは――ッ!!」

「うるさいわよ!」

 

 乱雑だが決して弱いわけではない連撃を、エリアは正面から打ち破った。その拳が男の胸に突き刺さり、男は項垂れる。

 

「白繭さんには来て貰う必要すらなかったわね。でも悪い……」

「何勝った気でいるんですか?」

 

「ッ!?」

 

 即座に離れ、構えをするエリア。

 

 

「ハハハ、随分と慌ててますね。どうかしました?」

「この寄生虫め」

 

 厄災を纏う男の姿は、それ意外何も変わってはいない。だが雰囲気は明らかに別物で、エリアは冷汗を流す。

 

「ではこの肉体の……っ!?」

 

 男に取り付いた何者かが、体の試運転をしようとしたその時だった。何かが急速接近し、ぶち当たりそうになる。だがそれをかわした男は、エリアと共にその方を見る。

 

 

「あんたらッ!!?」

「やはり貴方たちは元気ですね。ルスカさんにレイさん」

 

 その者たちの姿を見た二人は驚き、男は笑顔でそう言った。

 

「よぉ、久しぶり厄災。意思疎通出来るのは一万年ぶりぐらいか?」

「合いたくないヤツとであってしまった……」

 

 そこにいたのは、エリアの友人であるルスカとレイであった。

 

 

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