エリアの帰還と勝利を宣言し、この戦いは完全に終結した。各地でも同じく敵を打倒し、被害を最小限に抑えての勝利を勝ち取ることができたようで、みんなの間では喜びで満ち溢れていた。
そして……
「終わったわね」
「ああ、これで終わりだな」
エリアとリムルがそう言い合い、飲めや歌えやの勝利の宴を眺めながら酒を飲み交わす。
「この宴が最後ね。ホントこの世界は……と言うか、あなたの周りは賑やかね」
「エリアのおかげでもあるぞ。お前がいなかったら、勝利は掴めなかっただろうからな」
「俺たちじゃ、多分勝てなかっただろうしな。ほい、串焼き」
クロノが近づいてきて、串焼きを手渡す。それを受け取った二人は、美味そうにほお張った。
「少しさみしいわね。この世界を去るのは」
「そう言ってくれるのは嬉しいが、長くはいられないんだろ?」
エリアはみんなに事情を話しており、数日もいられないかもしれないと伝えていた。なのでリムルは、最後ぐらいにはと急いで宴の準備をしてくれたのだ。
「明日までには出ないとね。じゃなきゃ世界が離れて、完全に行き来できなくなるわね」
「その話を聞いた時には驚いたぞ。本当の意味での異世界とはな」
リムルやクロノの場合は、一応創造主が同じで関係性はあった。しかしエリアの場合は全くの別世界なのだ。
「それにこの世界は長くないってのもな」
「おいおい、今は宴なんだぞ。そんな話は後だ。別に差し迫った話でもないし、俺達ならどうにかなるさ。ま、その前に帝国とのケリをつけなきゃいけないがな」
クロノが少し暗い顔をしそうになったが、リムルはどうにかなるさと言って酒を飲み干す。
「だそうだ。エリアは安心して帰っていいぞ」
「そうみたいね」
クロノが茶化すとエリアは安心したように頷いた。
「お~い!エリア!」
「ん?ルスカ、どうしたの?」
そんなことを話していると、ルスカたちがやってくる。
「いや~、この世界は良い世界だな。楽しそうだし、面白そうなことも多いしよ」
「そうね。いい人たちがたくさんいるわ。わたしたちには勿体ないぐらいのね」
どうやらルスカは、この一日程度でこの世界の大まかな情報を調べ上げたようだ。
「カリオンやミリムたちもいい奴らだな」
「相変わらず行動が早いわね」
おまけにカリオンたちやミリムたちとも仲良くなっており、さっと回れるところは回ったと言った感じだ。だがそれに付き合わされた白繭さんとレイは、疲れた様子でエリアに話しかける。
「ちょっと疲れたわ。久々に人化したのと、急に動いたから」
「それにルスカはすぐどこか消えちゃうしね。探すに身にもなって」
距離の短縮のために白繭さんの次元移動を使い、目的地についたと思ったら動き回るためすぐに見失う。こいつらにとってはいつものことで、世界を全力で楽しもうとしている様子だった。
「そういや、お前と話したいって言ってた奴らがいたから、全員連れてきたぞ」
「私が連れてきたんだけどね」
ルスカは当たり前のように言い、白繭さんは疲れたようでため息をついていた。そっから三人は軽口をたたきながら離れて、たくさんの人がぞろぞろとやってくる。
それはこれまでエリアが出会ってきた者たちであり、世界の脅威と戦った仲間たちであった。
「よぉエリア。お前元の世界に帰るんだって?礼ぐらいしたいもんだが、時間がないみたいだから残念だな」
「貴方のお陰で宿敵を倒せました。みんなを代表して礼を、ありがとうございます」
カリオンとコウメイが代表して礼を言い
「そうなのだ。エリアのお陰で勝てたのだ」
「はい、貴方の助力があって助かりました」
ミリムとレッカも続けて感謝の言葉を言った。
「これもエリア様の修行の成果です」
「そうだな。私たちも随分と世話になった」
ベニマルとミユヒが誇らしげに、だがどこかお名残欲しそうに言う。
「ありがとう、エリア。貴方のお陰でこの世界は救われたわ」
「うんうん、エリアがいなかったらどうなってたか」
アイリスとユウカが心からの礼を言った。
「私たちも謝罪と礼を言わせてくれるかしら?」
「「「ヒナタ!?」」」
聖騎士であるヒナタとヴァジュが後ろから現れ、リムルたちは驚き身構える。
「そう構えないでくれ。本当にそれだけなんだ」
「ええ、いいように操られていたとは言え、本当に悪いことをしたわ。この通りよ」
そう言って二人は頭を下げ、みんなは本当にそれだけだと理解したようだ。そしてエリアとリムルが
「別にいいわよ相手が相手だったしね」
「そうだな。あれはどうしようもない」
情報操作と改竄で、思考誘導されていたのだから仕方がないと割り切る。
「その代わりに、これからは仲良くね」
「ええ、そのつもりよ」
エリアのお願いに、そのつもりだと返すヒナタ。それに対して周りがザワザワしていたが
「ま、まぁ今はエリアにとって最後の宴なんだ。こういうのは後々にして、今は楽しもう!」
リムルがそう言い、一旦は落ち着きを取り戻し宴を楽しむために各々動き出す。
「いい友達ができたじゃねえか」
「ルスカもそう思う?」
ルスカが話しかけてきて、エリアが答える。
「オレたちが連れ出さなきゃ、仕事かボーとしてることが生きがいみたいなお前にしては、十分すぎるほどいい友達じゃねえか」
「そう……そうね。出会えなくなるのが寂しいわ」
これまでのことを思い出し、懐かしそうに思いふけり、ルスカに話す。それを酒を飲みながら黙って聞いて頷くルスカは、少し嬉しそうにしていた。
そして……
「じゃ、そんないい奴らと飲めるのは今日で最後だ。後悔しないように行ってこい」
「……ありがとう」
ルスカの言葉に、エリアは少し嬉しそうにみんなの元へ向かったのだった。