八幡「恋人のフリ?」   作:ハッサン

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お久しぶりです

一年ぐらい放置しててごめぇんね(時代遅れ)




肝試しとか小学生かよ

 

「肝試し?」

 

「あれ、比企谷君しおり読んでなかったの?」

 

 

 林間学校一日目の諸々の活動が終わり、休息を取るべくコテージへと向かう途中のことだった。

 偶然戸塚と鉢合わせ、軽く会話しているうちに「肝試し」という話題が上がったのだ。思わず何それと聞き返してしまう。

 しおりに目を通すと、終わりの方にでかでかと肝試しについて詳細が記されていた。一大イベントみたいな扱いになってるけども、高校生にもなって肝試しではしゃぐ奴なんているのかよ…。まあ、一人だけそのようなアホの子に心当たりはあるけども。名前は確か何とかガハマさんだったか。

 

 しかし隣の戸塚は随分機嫌がいいように見える。鼻歌まで歌ってるし。かわいいかよ。

 やっぱり高校生と言えば肝試しだよな!時代の最先端だってイーロン・マスクも言ってたし(大嘘)。

 

 

「戸塚……幽霊とか好きなのか?」

 

「好きって程でもないけど、そういう映画とかはよく見るんだ」

 

「成程な」

 

 もしかして、俺よりも男らしいのではないだろうか……。いや、俺が乙女なだけかもしれん。今度一緒にスイーツパラダイスにでも行かないか戸塚よ。

 しかし悲しいかな、俺に誘う勇気は無かったのだった。

 

 その後も他愛のない話が続きつつ、俺たちはコテージへと戻った。

 

 

 残念ながら戸塚とは班が違うので、俺は一人寂しく部屋の中で持参した小説(ラノベ)を読んで次の集合時間までの暇を潰した。 

 ちなみに他の班員からは一度も声を掛けられなかった。というか、恐らく他の仲良し共の部屋に行っていたのだろう、帰った時には部屋はもぬけの殻でした☆

 俺の集団生活は、どうやら一人で取り行われるようだ。

 

 

 集団生活の定義を考え直させる行事なんだな、林間学校って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇

 

 

肝試しの集合時間間近になると、徐々にコテージの方から生徒がぞろぞろと押し寄せて一瞬にして草一面だった広場は有象無象で埋まってしまった。

 空しくもコテージの部屋でボッチだった俺は、さっさと一人でこの広場に来ていたというのに、後から来た奴らの人波に飲まれて端の方へと追いやられてしまった。こんな横暴が許されていいものかとため息を付くが、俺にはそんな愚痴を話せる相手もいなかったのだった。

 

 

「それでは生徒一同、注目!」

 

 拡声器特有の雑音の入った女性の声が広場に響く。

 前方で立っていたのは開会式にも居た生徒指導の先生だった。こんな遅くまで生徒のために働かされるとか大変だなと心のなかで労りながら、テキトーに話を聞き流す。

 

「私からは一言、羽目を外すなとだけ言っておこう。勝手に君たちが遭難したりすると困るのは我々だからな」

 

 冗談めかしてニヤリと先生は話す。肝試しごときで遭難するような高校生がいるのだろうかと考えてみるが、やはり一人だけ思い当たる人物がいた。

 さっきからなんかごめんな、由比ヶ浜……。

 

 心の中で勝手に由比ヶ浜に謝罪をいれながらしおりを適当にぺらぺらと捲っていると、いつの間にか先生は下手に下がっていた。

 

「それでは、実行委員である僕、葉山隼人から肝試しについて説明します」

 

「……おいおいおい」

 

 

 見覚えのある茶髪、どこかムカつく声、そして周りの女子のざわついた雰囲気。

 葉山隼人がこの林間学校の実行委員であることを、俺は今初めて知った。どおりで林間学校の話をしてきた訳だ。つーか俺直前まで今日のこと知らなかったわけだし、冷静に考えたら広報の怠慢であり、それ即ち実行委員長の過失ではないだろうか。よし、今度雪ノ下に会ったら胸のこと馬鹿にしてたこと言ってやろう。

 いつの間にか一人でにやけていたことに気が付いたので慌てて目線をしおりに戻す。小町から再三にわたって笑顔がキモイって言われてるし気を付けないとね☆

 

 「大方はしおりの方に書いてあるので、そちらを皆さんでもう一度ご確認ください」

 

 葉山が言う通りにしおりを読むが、別に改めて確認するような大したことは載っていない。見る価値なしと考えしおりを閉じようとすると、裏表紙に数字が大きく書かれているのが見えた。

 

「…103?」

 

 思わず書かれていた数字を読む。これは何の数なんだろうかと考えるが、思い当たるのは今までに俺が食べたパンの枚数ぐらいだった。いや、流石にもっと食べてるか、何なら今朝も食べましたね。

 急に俺の前に現れた謎の要素に少し狼狽えるが、それも杞憂かと考えて前を向く。

 相変わらず葉山は薄気味悪いイケメンスマイルで進行に務めていた。

 

「今回の肝試しではしおりに記載の通り、二人組のペアで決められたルートを辿って、山奥の神社にあるお札を持って帰って来てもらいます。 

 しおりの表紙裏に記載されている番号を元にランダムで二人一組が決まっています」

 

「ペア……?」

 

 俺の大嫌いなワードに思わず反応してしまい、慌てて姿勢を正す。

 ……本当だ、ペアで取り行うって書いてあるわ。なにこれ、俺みたいなペアの組めないボッチには黙って死ねと言いたいんですか?先生と肝試しとか地獄だろうが。

 せめて大人数のグループにしろよ、そうでないと可哀そうだろ。……俺と組まされる相手が。

 

 今の話で一層気落ちした俺は、このまままコテージへ帰ってやろうかという衝動に駆られたが、この場から逃げて変に目立つのも嫌なので、仕方なく息を潜めることにした。

 

「それでは、しおりに乗っている番号表の通りにここに並びなおして下さい」

 

 すると周囲の奴らは互いに何番だったかを確認しあいながら和気藹々と盛り上がる。生憎俺の周囲には同じ班の連中しかいなかったので一人で番号表を見ることしか出来なかった.

あれ?……同じ班なのにおかしくねぇかこれ。せめて「ひ、ヒキタニ君は何番だった?……うわっ、同じなんだけど」とか聞いてくれてもいいだろ。まあそんなこと言われた日には枕を涙で濡らしてしまうが。

 

 項垂れながらも、一人で自分の番号の場所へと移動する。このまま逃げ出したいが、目立つのも……(以下略)

 

「なあなあ、あそこにいるの雪ノ下さんじゃね?」

 

「場所的に3桁っぽいぞ」

 

「俺一桁だわ………」

 

 

 ふと、目的地に向こう途中に聞こえてきた声に耳を傾け、チラリと声元の方に目線をやると、確かに雪ノ下雪乃が立っていた。

 そういや雪ノ下もいるのか、全く顔を見てなかったから来てないモノだと勝手に勘違いしていた。

 まあ、あいつは幽霊とか信じないタイプだろうな、脅かされたら逆に幽霊をカツアゲしそうだもんな(偏見)。

 そんなことを思っていると、偶然か彼女と目線があってしまった。驚いてすぐに目をそらすが、完全に彼女には気が付かれてしまっていたようだった。

 

 

「あら驚いたわ、貴方は脅かす側では無いのかしら。ゾンビ役なんてぴったりだと思うのだけれど」

 

「……俺が進んでそんなことをすると思ってんのか」

 

 こちらに気が付いた雪ノ下が、わざわざ話しかけてきた。失礼な物言いだが、コイツの場合マジでそう思っている節があるので余計なことは言わないでおこう。

 

「あら残念ね。それで、ペアは見つかったのかしら」

 

「今探そうとしてるところだ。雪ノ下は?」

 

「私もね。といっても、こんな大勢の中から同じ番号を見つけろというのも無理な話だけれど」

 

「それは同感だ。こんな大雑把な計画を立てた実行委員長様の顔が見てみたいな」

 

 それを聞いて雪ノ下がクスリと笑う。葉山隼人に関してはコイツと意気投合出来る気がする。

 

「一応聞いておくけれど、貴方は何番だったのかしら」

 

「ん……103だな。お前は?」

 

「……奇遇ね、私も同じよ」

 

「ほーん………んん?」

 

 一瞬聞き流してしまいそうになったが、もう一度彼女の言葉を反芻する。

 

「同じってことは……まさか103番か」

 

「そのまさかね」

 

「……アイツの仕業だな」

 

「でしょうね」

 

 

『まあとにかく、その林間学校で君にはドカンと一発雪ノ下さんに決めてもらわなけらばならない』、『そこでだ、そのシチュエーションは俺が用意しよう。あとは君次第さ。』とか言ってたな葉山の奴。

 俺も雪ノ下もまんまとアイツの罠に引っかかってしまった訳だ。葉山が実行委員長だってことに気が付いた時点で逃げておけば良かった。

 

「ということは比企谷君、貴方葉山君に勝ったのね」

 

「ということはじゃねえよ。何の話してるんですかね」

 

「この間決闘してたじゃない、私を取り合って」

 

「……話聞いてた、君?」

 

 どうやら雪ノ下の中では、葉山と俺は彼女を取り合って勝負しているという認識になっていたようだ、自意識が高すぎるし、そもそもこいつが俺の話を覚えていないことに腹が立つ。便宜上とはいえお前の彼氏(仮)なんですけど……。

 

「まあいいわ、別に貴方がペアなら」

 

「ま、知らない奴と組まされるよりはな」

 

 とはいえ、俺の知り合いなんて片手で数えきれそうな程度なので逆にありがたい。ペアの奴に泣かれるよりは精神的負担は軽い。

 

「そうね、よろしく。比肝試し谷君」

 

「お前も由比ヶ浜とタメ張れると思うぞ、そのネーミングセンス」

 

 

 もはや何もかかってないからな、それ。

 

 自慢げに笑う彼女を見て、これから起こることに不安を持ち始めたのだった。

 

 

 

 

 





ヒロインはひとまずゆきのんとガハマさんにしようかな
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