八幡「恋人のフリ?」   作:ハッサン

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 八幡とか雪乃ってどんな感じだっけ…?と原作読み直しながら書いてます。


負けず嫌いも度が過ぎる

 

 

 

「あの…すいません、もう一回言ってもらってもいいですかね?」

 

 俺の耳がおかしくなったことを危惧してしまう。今、聞き間違えじゃなければ恋人のフリがなんとか言ってたよな…。いや、絶対聞き間違いだろ。意味わからんし。

 

「…君、私の娘と恋人のフリをしてもらえないかね?」

 

「…聞き間違いじゃないのかよ」

 

 どうやら本気だったらしい。あの、そういう展開はフィクションでしか見たこと無いんですけど…。というか何を思ってこの俺に恋人のフリなんて依頼しようと思ったのん?この目が目に入らないの?腐ってるよ?

 

「まあ、とりあえずこちらの話を聞いてくれ。」

 

 そう言うと、雪ノ下さんは話し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まず、雪ノ下さんには二人娘がいること。

 

 姉の方は雪ノ下陽乃といって、自分のように社交の場でもうまくやれること。

 

 逆に妹の方は雪ノ下雪乃といって、人付き合いが苦手であること。

 

 それを見かねた母親が勝手に縁談を取り決めたこと。

 

 娘も雪ノ下さん自身も縁談には反対であること。

 

 それで、他に恋人がいるなら縁談も破談にできるだろうと考えて、俺への依頼に至ったらしい。

 

 

「…という訳なんだ。こんなことを頼める立場では無いのは分かっているんだ。だけど、どこの馬の骨とも分からん男に雪乃のことは任せられないんだ」

 

「…」

 

 いや、俺も何処かと知れない馬の骨なんですがそれは。他にもっと適任がいるんじゃなかろうか。そもそも俺みたいなやつが恋人だったとしても、雪ノ下さんの奥さんも納得しないだろう。少なくとも俺だったら別れさせる自身があるしね。

 しかし、娘を思う気持ちは良く理解できる。俺も小町はどこにもやるつもりはないしな。だから無下に断りづらい。

 

「…事情は分かりましたけど、何で俺なんですかね?」

 

「さっきピンと来たんだよ、この男になら任せられそうだってね」

 

「えぇ…」

 

 確かにそんなことを言っていたような気がする。さっきの、ということは俺の迷推理の話をしているのだろうが、あれだけで判断したのかよ。そんなに凄いことなのん?

 

 まあ、俺には荷が重いしここは申し訳ないけど断ろう。そう思い、適当に断る理由をでっちあげる。

 

「…俺は良いですけど、娘さんの方はきっと俺じゃ納得しませんよ。いくらフリとはいえ」

 

 あれ?この言い方だと俺は納得したことになってね?

まずい…と思い言い直そうとすると、雪ノ下さんはその前に話し始めてしまう。

 

「それなら、取り敢えず娘と会ってみてくれないかな。どちらにしても今日は君の病室に見舞いに行くように言ってあるからね。」

 

「え?」

 

 俺がそう言ったのと同時に、廊下の外からは足音が聞こえてきた。さっきの雪ノ下さんとの足音よりも軽い音だった。え、まさかもう来るの?俺断りきれて無いんですけど…。

 

 

 

 そうしているうちにも、足音は俺の病室の前で止まってしまった。

 

「…失礼します。」

 

 

 

 

 

 __不覚にも見惚れてしまった。

 長い黒髪をたなびかせ、凛とした佇まいをしていた。

まるで一枚の絵のように。

 

 いやいや、待てよ。もしかしなくてもこの人が雪ノ下雪乃さんなの?何をどう思って俺に任せようとしたんだよ。釣り合うとかそういう次元超えちゃってるじゃん。

 

「お、やっと来たか。雪乃」

 

「ええ、お父さん。少し迷ってしまって…」

 

「そういえばお前は方向音痴だったな!ハハハ!」

 

「…人前でそんなことを言わないで」

 

 あの…俺一人ほっとかないでくれませんか。そんな思いが通じたのか、雪ノ下さんは顔をこちらに向けて話し始める。

 

「比企谷八幡君、この娘が雪乃だ。宜しく頼むよ」

 

「はじめまして…いいえ、正確に言えば二回目かしら」

 

「…二回目?」

 

 その言葉に引っ掛かりを覚える。会ったことは無いはずなのだが…。もしかして十年前とかに会っていて結婚の約束とかしてたんですかね?ニセ○イかな?

 

 そんなありえないことを考えていると、雪ノ下雪乃は言葉を続ける。

 

「ごめんなさい」

 

「…は?」

 

 フラれるの本日2回目なんですけど…。

 まあ流れからして事故のことを謝ってるんだろうけどね。

 

「あの事故を起こした車には私も乗っていたの。本当にごめんなさい」

 

「…」

 

 雪ノ下父と違って、事故現場に見合わせていたということか。しかし、これだけ謝られているのに起こした張本人にはまだ会えていないって可笑しい気もするけども。

 

「あぁ…まあ、気にしないで下さい。俺が飛び出したのが悪いんで」

 

「いえ…あのときは急いでいたから、かなり速度を出していたわ。本来なら止められたはずだもの」

 

「…いや、あのときは信号青だったし。赤信号にもかかわらず飛び出した俺が悪いんで気にしないで下さい」

 

 強いて言うなら、あの犬が恐らく飼い主から逃げたのが悪いだろうか?まあ、犬の本能に何を言っても仕方ないんだけども。

 

「でも…」

 

 それでも雪ノ下雪乃は引き下がらない。このままだと俺が謝罪を受け取らない限り終わらないだろう。しかし、別に彼女は悪くないのだ。

 

「まあ、あの場にいた全員が悪いってことにしましょうよ。飛び出した俺も、犬も、止められなかった車も。

…もしくは事故を止められなかった現代社会が悪い。」

 

 そう、現代なんて少しでも相手の気に障ればハラスメントにされるしね。親父がよく嘆いてたわ。だから俺は専業主夫を目指すぞ。いや、それだとDVとか怖いな…

 

 そんなふざけたことを考えていると、目の前の雪ノ下雪乃は素っ頓狂な顔をしていた。いや、かわいいんだけど。何それ素なんですか?

 雪ノ下父の方は何が面白いのかわからないが、手を叩いて笑っている。何?社会に対するアンチテーゼが馬鹿馬鹿しすぎて笑われてるのかな?

 

「八幡君は面白いことを言うな!謝罪なら素直に受け取ってもいいんじゃないか?」

 

「…いや、実際飛び出した俺も悪いんで」

 

 もうこの話辞めにしない?多分停滞して話進まないし。というそもそも恋人のフリが何だとか言ってたよね?早く解決したいんですが…。

 

「…そう、一応納得はしたわ。」

 

 やっと引き下がってくれた。まあ、美少女に謝られて悪い気はしなかったけどね。

 というか、この部屋の中の顔面偏差値えげつねぇな。俺以外の二人がだいぶ上げちゃってるよ…。

 いや、まあ俺も?目以外のパーツは整ってるし?小町に『目をつぶって黙ってればいいのに』

とか言われたし?…ただの悪口に聞こえるけど。

 

「それで雪乃、今日から八幡君と恋人のフリをしてもらうよ」

 

「…は?」

 

 雪ノ下がすごい顔で雪ノ下父を見ている。いや、まあそうですよね…。でもなんか今の言い方だと『何で私がこんなやつと?』みたいに聞こえるよ?八幡傷ついちゃうよ?

 

 

「言っただろう?縁談を破談にするためにってね」

 

「それは聞きましたが、何故この人と?」

 

「私が彼なら大丈夫だと思ったからさ」

 

「…」

 

 なんかすごい見られてるんですけど…。つーか俺だってしたくないんですけど?別にそっちだけがやりたくないって思ってるわけじゃ…ないんだからね!?

 凍てつくような視線に耐えられなくなった俺は、側にあった小説を読むフリをする。…早く話を終わらせてくれよ、雪ノ下雪乃さん。

 

「…確かに縁談は嫌だと言ったけれど、偽の恋人を作っても本末転倒になるわ」

 

「そんなことはないさ。彼女が諦めれば、それで終わりなんだ」

 

「…」

 

 彼女、というのは母親のことだろうか。今どき政略結婚紛いのことをするなんて凄い家系だな。つーか普通に雪ノ下父が説得すれば良かったんじゃないの?もしかして尻に敷かれてるタイプなのだろうか。親父と一緒じゃん。

 

「…それとも、雪乃はそんなこともできないのかね?

偽の恋人を演じることも…」

 

 そう言うと、雪ノ下は黙ってしまう。え、なんか負けそうなんだけど、頑張ってくれよ。もしかして負けず嫌いとか言うオチじゃないよね?違うよね?

 

「…やってみせます。恋人のフリ程度、出来ないことじゃないわ。」

 

 そういうオチだった。いや、どう見ても今の挑発だったよ?引っ掛かり易すぎじゃない?もうこれ俺がなんとかするしかないんだけど。

 

 どうにかしてこの局面を突破しなければ、と考えを巡らせているうちに雪ノ下から言葉をかけられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…比企谷八幡君、これからよろしく頼むわよ」

 

 

 

 

 

「…どうしよこれ」

 

 神様、仏様、アッラーの神様。僕はこれからどうすればいいんでしょうか。

 

 

 

 




 雪ノ下の父親自体はアンソロジーとかで出てきてました。意外とフランクな感じでしたね。
 
 評価とかもらえると嬉しいです。
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