八幡「恋人のフリ?」   作:ハッサン

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雪乃が全然毒舌にならない…


一年生編
猫好きに悪いやつはいない


 

 

「やあ、君が比企谷八幡かね」

 

「あ、はい。そうですけど…」

 

 俺は遂に退院し、初めての登校日となった。

 

 事前に言われていたように職員室に行くと、白衣を着た長い黒髪の女教師に呼び止められた。

 …誰?

 

「あぁ、紹介がまだだったな。私は平塚。生徒指導教員だ」

 

「えーっと…俺の担任はどこにいらっしゃるんですかね?」

 

 俺がそう言うと、平塚先生は身を翻す。

 

「案内しよう。ついてきたまえ」

 

「は、はい」

 

 白衣がヒラリとしてちょっとカッコいいと思ってしまう。なんかそこはかとなく男勝りな雰囲気が…

 

 そのまま付いていくと、職員室の奥へ着いた。

 

 

「先生、今日から登校の生徒です」

 

「あぁ、比企谷八幡君だよね。僕が担任だから宜しくね」

 

「はぁ…どうも。お願いします。」

 

 そう言うと俺の担任は立ち上がり、名簿表のようなものを持って俺についてこいと手招きしてくる。

 

 俺はその通りに付いていこうとすると、ふと平塚先生に呼び止められる。

 

 どうしたものかと振り返ると、先生は笑顔でこういった。

 

「君の話は聞いているよ。…これから頑張りたまえ」

 

「…は、はい」

 

 何それ超カッコいい。危うく惚れちゃいそうになったんですけど。

 

 そんな先生に背中を見守られながら、俺は自分の在籍するはずのクラスへと向かったのだった。

 

 ちょっと頑張ってみようかな?なんてな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

           ◇ ◇

 

 

 

 

「はぁーーー……」

 

 学校から帰るや否や、俺はすぐさまソファーへと寝転がる。

 

 

 結論から言おう。俺は自己紹介で盛大に失敗した。

 

 

 別に何かギャグを言って滑ったわけでもなく、只々自分の名前を噛むという行為をしてしまったのだ。更にその後盛大にキョドり散らかしてしまった。

 

 ここで持病のコミュ症が祟ってくるとは…。

 

 そんなわけでクラスメイトからはヤバい奴認定されてしまったのか、全く話しかけられることはなかった。

 

 俺みたいに途中から入学してくるキャラってフィクションなら人気者になるはずなんだが。何でそうならないのん?

 

 

 

「…ん?」

 

 ふとズボンのポケットが震えるのを感じ、携帯を取り出すとメールの着信があった。どうしたものかと携帯を開く。

 

『比企谷君って今日から入学じゃなかったの!?探したのにいなかったじゃん:(』

 

「………」

 

 いや、いたんだけど?

 絶妙に地雷を踏んで来るなコイツ…。まあ、由比ヶ浜に悪気がないので仕方がないのだが。

 それに俺が授業が終わってすぐ帰ったせいかもしれんしね。

 

『すまん、明日は多分いる』

 

 …これでいいか。

 

 まあ、明日からはいつも通りボッチらしく過ごそう。…別に今日もだったけどね。

 

 そういえば由比ヶ浜だけでなく雪ノ下にも会わなかったな。確か国際教養科とかいう別の学科にいる、というのは聞いたことがあるが、一応同じ学校なのだし会う確率はそんなに低くない筈なのだが。

 

 しかし、そうしているうちにまた俺の携帯が震える。

 

 …まさかね。そう思い携帯を開くと案の定雪ノ下からのメールが来ていた。

 

『貴方、今日どこにいたの?D組で間違いなかったわよね』

 

「…」

 

 アイツ、もしかしてクラスまで来たのかよ…。なんか会う用事なんてあったか?と思っていると、またメールが来る。

 

『例の件について話し合うことになっていたじゃない』

 

 例の件、というのは恐らく雪ノ下母にバレたことを指しているのだろう。そういえばそんな約束してたような…。忘れていた俺に非があるのでここは謝罪文を送る。

 

『悪い、忘れてた。放課後すぐに家に帰った』

 

 これでよし…っと。まああれだ。自己紹介の衝撃のせいで色々忘れていたのだ。そうに違いない。間接的にあのクラスメイト達が悪いですねこれは。

 

 

 

 

 

 

 それから暫くソファの上に寝転んでいると、家のインターホンが鳴らされた。

 …小町が鍵でも忘れたのか?いや、鍵開けっ放しだから宅配か。 

 

 急ぎ足で玄関まで行き、ドアを開けて顔だけを乗り出す。

 

 しかし、目の前にいたのはいつものスーツをきた宅配員の人ではなく、制服を着た雪ノ下雪乃だった。

 

 

 

 

 

「…なんでいるの?」

 

「…取り敢えず入れてもらってもいいかしら」

 

 

「はぁ…お好きにどうぞ」

 

 突然の来訪に驚くが、向こうが余りにも落ち着き払っていたのでついつい入れてしまう。

 

 …いやまずなんで家の場所知ってるんだ?また雪ノ下父なのか?そうなんだろ?

 

 そのまま雪ノ下を居間へと連れていき、一旦座らせる。

 

「…まさかとは思うが例の件を話すためだけにここに来たわけじゃないよな?」

 

「…それもあるけれど」

 

 雪ノ下は控えめに答える。…他に何の用があるのん?

まさかとは思うが小町の奴がなんか関与してないよな?

 

「その…小町さんから猫を…飼っていると聞いたのよ」

 

「…やっぱりな」

 

 我が妹小町はこんなふうに時折面倒事をもたらしてくる。まあ、そこも可愛いんだけどね!

 

 

「つーか、小町と連絡とってんのな」

 

「この間もう一度会う機会があったのよ。そこでね…」

 

「ほーん…」

 

 まさか俺の居ないところで会ってたとは。それは仕方がないか。

 けど小町ちゃん、家庭の情報も個人情報だから気をつけてほしいよ…。

 

 小町のプライバシーについて案じていると、雪ノ下は周りをキョロキョロし始める。

 …猫探してるんだろうな。

 

「あー、ちょっと待ってろ」

 

 そう言い残して俺は2階にいるであろう我らが愛猫、カマクラを回収しに行く。

 

 

 

 

 カマクラを抱っこして下りてもどると、依然として雪ノ下は綺麗な姿勢で座っていた。…こういうのも様になんのな。

 

「ほい、雪ノ下。コイツが家の猫だ」

 

「……」

 

 そう言って雪ノ下へとカマクラを渡すと、それっきり雪ノ下は黙ってしまった。

 

 あの…例の件について話し合うんじゃなかったんですかね?

 非難の意を込めて雪ノ下を見ると、当の雪ノ下はカマクラの方を慈愛の目で見ていた。

 

 …集中しすぎだろ。そんな母親みたいな目するなよ。

こっちが恥ずかしくなるんですけど。

 

 そんな感じで雪ノ下によるカマクラ鑑賞会が暫くは続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

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_____

 

 

 

 

「ただいまー…って、お兄ちゃんこんな所で何やってんの?」

 

 リビングのドア前に立ち尽くしている俺を見て、帰宅してきた小町が話しかけてくる。

 

 少し退いてやると、小町は「…あー…そういうことね…」とだけ呟いた。

 

「…小町?その言い方だとお前が家に誘ったってことか?」

 

「んー…?まあ今日とは言ってないけどね」

 

「はぁ…」

 

 相変わらず雪ノ下は社交辞令をよく分かっていないようだ。

 多分小町の『また今度うちに来てくださいねー』みたいな言葉を鵜呑みにしたのだろう。

 …所々ポンコツだよなコイツ。何で学年主席取れたんだ?

 

「…おい、雪ノ下。そろそろ…」

 

「…………あ」

 

 そう言って俺が肩を揺すると、雪ノ下は惚けた顔でこちらを見た。…どんだけ集中してたんですかアナタは。

 

「ご、ごめんなさい…つい…」

 

 そう言って雪ノ下はカマクラの方を恨めしそうに見る。本当に猫大好きフリスキーなんだな。

 

「まあいいけどよ。例の件について話さんといかんだろうが」

 

「…例の件?お兄ちゃん、何なのそれ?」

 

「え?」

 

 俺の言葉に小町が食いついてきた。

 

 …やばいぞ、このままだとまた同じ間違いを冒すことになる。何かうまく言い訳をしなければ…

 

 そんな時、ふと立ち上がった雪ノ下が助け舟を出してくれた。

 

 

「ごめんなさい…私、もう帰るわ」

 

「え?もう帰っちゃうんですか!?」

 

「ええ、遅くなってもいけないし…」

 

 時計の針は6をさしていた。まあ、結構な時間だろう。ありがとう雪ノ下さん!

 ここは流れに乗って俺も一旦退散しなければ。

 

「そ、そうだー送ってかなきゃなー

…そういうわけで、小町俺外行って来るわ」

 

「え?ええ?お、お兄ちゃん?」

 

 頭に?マークを浮かべた小町を置いて、俺は雪ノ下と共にせっせと家を出た。

 

 

 あたりは春だからか、割とまだ明るかった。

 …さて、どうしようか。

 

「危なかったわね」

 

 雪ノ下が他人事のように言ってくる。元はと言えば貴方が家に来たからですけどね?結局猫愛でてただけじゃねぇかよ…。

 

「まあ、一先ず脱出出来たしいいだろ。それより例の件どうすんだよ。お前帰るんだろ?」

 

「あら?送っていってはくれないのかしら?」

 

「…まだ明るいだろうが」

 

 それに雪ノ下の方が俺より強いしな。とは言わない。まあ、どちらにせよコイツと並んで外を歩くなんて御免だ。誰かに見られたら困る…、いや、困る相手いないや。

 

「そう…じゃあ行くわ」

 

 そう言って雪ノ下は背を向けて歩きだした。

 

 

 …あれ?そう言えばアイツって方向音痴なんじゃなかったか?

 ふと見ると、彼女が行き止まりに向かって歩いているのが見えた。それでよくここまで来れたな…。

 

 

 

 

 …仕方ないよな。

 

 

 

「おい、雪ノ下。そっちは壁だ。」

 

「…変ね。地図にはこちらと書いているのだけれど」

 

「はぁ…。ほら地図貸せよ」

 

 そう言って雪ノ下の持っていた携帯を受け取る。案外すんなり渡してくれたことに少し驚いていると、彼女は

少し笑って言った。

 

「ふふっ、ゾンビに道案内なんてできるのかしら?」

 

「…ゾンビは墓に戻る帰巣本能が発達してんだよ」

 

「別に私の家は墓場ではないけれど?」

 

「…もう何でもいいや」

 

 こうして俺は雪ノ下の道案内をしたのだった。

 

 …まあ美人と歩いて悪い気はしなかったな。

 

 

 

 





 起きて見たらお気に入りが100超えててびっくりしました。本当にありがとうございます。評価も嬉しいです。
 
 あとガハマさんが出落ちキャラみたいになってて解せない。
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