「三門市ィ?」
「そ、三門市。ほら蜜柑が有名なとこ。」
───────とある学校にて、2人の男が会話をしている。どうやら三門市という町についての話のようだ。
「いや覚えてんよ。蜜柑が有名なのもな。で、あそこが今更何なんだよ。
大侵攻───────4年ほど前に三門市を襲った悲劇。近界民という別世界の侵略者によって三門市は大きな被害を被った。その時三門市を守ったのがボーダーと言う組織である。彼らがいなければ今頃日本の地図上から三門市は消えていたことだろう。─────そして呪霊と言うのは近界民とはまた違った脅威である。世界中の誰しもが抱く負の感情…それが呪力となって形を得たものが呪霊である。そして
「そうなんだけどねぇ…。また呪霊が大量に湧き始めてるらしいんだ。」
最近では1級も確認されたらしいよ~、と黒い布で目を隠している男が言う。
「マジかよ。また俺たちが祓うのか?」
面倒くさ、と不満を隠す様子もなく灰色の髪をした男が口にする。
「いや、今回はまだ
「1人でやれってことかよ。もっと面倒いじゃねぇか。」
「前よりは少ないらしいから大丈夫でしょ。」
「前より少なくても面倒いものは面倒いんだよ。つーか殲滅なら
「いやいや町への被害を考えれば解莉の方が適任でしょ。という訳でほら行った行った!人待たせるのは嫌でしょ君。」
「今からかよ!?チッ…荷造りしてくるからちょっと待ってろって伊地知に言っとけ。」
お土産楽しみにしてるね~、と五条と呼ばれた男が解莉と呼ばれた男を見送る。
さて、物語を始めるためにこの2人について少しだけ明かしておこう。黒い目隠しをした男は五条悟。灰色の髪をした男は黒江解莉。───────そして、どちらも呪術師の中でトップクラスの実力を有する事を示す特級術師の称号を与えられている者である。
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「今回の長期任務、何で引き受けたんですか?」
車に揺られていると、唐突に前で運転している男───伊地知潔高が唐突に話しかけてくる。
「んだよ唐突に。」
「いえ、貴方の性格上もう少しごねるものかと…いえ!すみません失言でした!」
俺が苛ついた事に気がついたのか慌てて言い直そうとする。苛ついたのは確かだがそれだけでキレるくらい短気な男と思われているのだろうか。慌てるのを見るのも愉しいが事故でも起こされたら困る。ここはそこまで気にしていないと言った方が良いな、と思考をまとめ口を開く。
「いや、気にしてねぇよ。実際
「あいつ…?三門市に知り合いが?」
「あ?言ってなかったっけか。俺、妹がいんだよ。1人な。最近ボーダーに入ったらしいからちょっとサプライズにって。」
「そうですか妹さんが…妹さん!?」
「落ち着け。事故でも起こされたら困る。つーかそこまで驚くことかぁ?」
何でこんなに驚いてんだ伊地知は、と思考する。確かに妹がいる事は話していなかったがここまで驚くものだろうか。───────いや、まさか、
「おい伊地知、てめぇまさか俺の性格が一人っ子っぽいとか思ってねぇだろうな。」
もしそうだったらビンタの1つでも食らわせる、と心に決め問いかける。
「えっ、いやいやいやいやまさかそんなことないですよ!」
「てめぇ三門市着いたらぶっ飛ばすからな。」
「えっ。」
嘘なのが誰でも分かるような否定をした伊地知を見て反射的に言葉が漏れる。流石にぶっ飛ばしはしないがビンタの1つくらいしても罰は当たらないだろう。何しろ俺は色んな人に優しくしているのだ。なのにそんな事を思われたとなればビンタの1つくらいしたくなる。そんなこんなで伊地知と話を続けていると漸く車は動きを止めた。
「つ、着きました。ところでぶっ飛ばすというのは…」
「流石にしねぇよ。伊地知には世話になってるからな。じゃあ行ってくる。MAPあるか?」
「(ホッ…)MAPですか…あった、これです。どうぞ。」
「応、ありがとな。じゃあ行ってくるわ。また今度な。」
車から降りて歩き始める。ボーダーの上層部と会うためにボーダー本部に向かおうとする────が、そこであるものが目に入った。
「(和菓子屋、か。あいつになんか買ってってやるか?そういやあいつ部隊に所属した、って言ってたっけか。)」
そうやって思考を巡らせ結局選んだのはどら焼き。箱入りだから部隊でも分けられるだろ、と考え今度こそボーダー本部へと足を向ける。
「さて、
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───────今交わらぬ筈の2つの物語は1人の男により交わりはじめた。これは「正しい死」を求める物語ではない。これは己をヒーローと知らぬ眼鏡の少年が奮戦する物語ではない。───────これは、呪術師であり、1人の少女の兄である男が日常を過ごすだけの物語である。
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