Fate/マッスル☆Order 〜筋肉で人理は救えるか?〜   作:ナウい息子♂

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一発ネタ。チカラこそパワーってはっきりわかんだね


聖剣 < 筋肉

神の時代が終わり、人の時代へ移り変わって幾星霜

 

人は火を灯す術を見つけ、その中に文明を見出した

 

剣を、弓を作り、作物を育て、殺し合い、そして愛しみあった。

無数の死と、それと同じ位の生を積み上げ、二つの世界大戦を経験し、遂には星の引力を離れ、大いなる虚空へと飛び立つまでに至った。

 

 

だが、人類の飛躍は突如として燃え尽きた。

それは、巧妙に計画された前代未聞の殺人計画。憐れみの末に行われた、人類史そのものを薪として用いた大偉業。

だが、星見の塔の人々が未だ其れを知る由も無し。これは、愛と希望と────筋肉の物語。

 

 

 

 

 

 

「ハァッ、ハァッ!」

「こんな物か、盾の英霊よ!ならば此処で死ぬ迄だ!」

「まだ……まだです!私はまだ……!」

 

轟音と共に振るわれる、黒色の奔流。荒れ狂う龍の因子はその魔力を手に持つ漆黒の聖剣へと還元し、目の前の少女を貪らんと迸る。

薄紫の髪を暴風に靡かせ必死の面持ちの少女が構える盾に、その一撃は炸裂した。

 

「くうっ……!流石は、円卓の騎士を束ねたアーサー王……凄まじい一撃…!」

 

脚に纏った具足が大地を削り、その奔流を背後の敬愛するマスターへと届かせまいと奮闘する。

だが、その想いが如何に崇高とは言えども、彼女の能力が向上する訳ではない。黒に堕ちた聖剣の一撃こそ逸らせたものの、少女は体勢を崩し、後ろへと吹き飛ばされた。

 

「マシュ!」

『駄目だ!立香ちゃん!君も巻き込まれる!』

 

背後に居た、オレンジ色の髪が特徴的な少女が悲鳴のように叫び、駆け寄ろうとするも其れを通信から聞こえる男の声が静止する。

彼女の名は藤丸立香。カルデアの47人目のマスターであり、デミ・サーヴァントであるマシュ・キリエライトのマスターだ。

 

「でもマシュが!それに、クーフーリンだって……もう!」

 

この冬木で行われた狂った聖杯戦争に召喚されたキャスター、クーフーリン。

唯一の正常なサーヴァントであり、この地下の大洞穴に辿り着くまでに幾度と無く命を救われた大恩人である。

だが、その頼れる存在も今は既に無い。彼の放った宝具は、聖杯の魔力を過剰に取り込んでいたセイバー、アルトリア・ペンドラゴン・オルタの放った宝具により相殺され、続く一撃でキャスターは葬り去られた。

 

藤丸立香は、涙の滲む目で未だに残るサーヴァントが退去する時に放つ金の粒子が空間を漂うのを見やる。

ヒステリックだが頼れる所長、オルガマリー・アニムスフィアは既に狂気の淵に陥っており、彼女の背後で「レフ……レフ…」と呟くだけの置物と化している。

 

 

「貴様等は、良く奮闘した。それは認めよう。だが、私の前に立つには……余りにも貧弱すぎる!

『卑王鉄槌』、極光は反転する。光を呑め・・・! エクスカリバー・モルガーンッッ!」

 

先程までとは比べ物にならない、騎士王の本気の一撃。マシュが万全の状態であったのならば宝具『疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』で拮抗を挑む事も可能だったのだろうが、彼女も既に限界だ。

大地に膝を突き、必死に此方へと動こうとしているがそれも叶うまい。

 

迫り来る漆黒の奔流。全てを飲み込み、黒に染め上げ、破壊する英霊の宝具。ああ、こんな所で私は死ぬんだろうか。何も、まだ何も………

 

 

──────その刹那、極光は降り立ったその存在の前に、霧散した。

 

 

 

 

 

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎

 

オッスオッス!俺、転生者!やめよう。このノリは自分でも嫌だ。

まぁ、転生者と言っても前世の己について記憶はほぼ無い。多分性別は男で、日本人。そんなもんだ。

だけど、一般的な常識とか知識は残してある。箸の使い方とか、世界史とか。あ、あとサブカルチャーの知識とかね。

 

で、華々しく転生(?)を果たした俺なのだが、どうやらFate/GrandOrderの世界へと転生したらしい。

が、別に再びの赤ちゃんプレイを強要するされるような事はなかった。悲しいことに俺はブラック企業として名高い抑止力の端末として転生したらしい。

というのも、俺が転生して最初に目にしたのは真っ白な何も無い空間。そこに意識というか、言葉ではなくダイレクトに意思だけを此方によこしてくる存在が居たのだ。ちょっとなんか存在の位相が違いすぎて形とか分からなかったけど。

 

抑止力(仮名・ヨッシー)によると、俺はこれから休む事を許されずに人理修復を手伝わされるらしい。

ふざけんな!(声だけ迫真)と言いたい所だが、どうも俺が居ないと結構不味い状態のようだ。

なんと言うか、カルデアが辿る凡ゆる道が凄く難易度が上げられているらしい。このまま抑止力の直接介入が無いと、人類史はこんがり焼かれて美味しくゲーティアに戴かれてしまう。

 

でも、サーヴァントをどれだけモリモリに強化して送った所で、ゲーティア君が「なんだぁ、テメェ……」となるだけで直ぐに消えてしまう。召喚物としての格が違うのだ。

そんな訳でヨッシーは考えた。この世の理の埒外にある魂を引っ張ってきて、サーヴァントとは別の存在を作り上げて派遣しよう!と。

 

もうね、声を大にして言いたい。俺じゃなくて良いじゃんと。

と言うか、一般人の俺が何した所でサーヴァント以下の結果しか上げられまい。大人しくサーヴァント派遣して、どうぞ!あとは藤丸くんちゃんが友情絆パワーでなんとかしてくれますよ(ピキピキ)

とヨッシーに伝えたのだが、にべもなく断られた。その代わり、ヨッシーは俺の使う事となる肉体を良い感じにチートなものにしてくれるらしい。やった!俺もなんか凄い極太レーザーとか撃ちたいお年頃なのだ。

男はいつになっても厨二病……

 

 

と、浮かれていたのも束の間、衝撃的な事実を俺は教えられる。

なんと、魔術は使わせないと言うのだ。敵対者となるゲーティア君は、魔術の開祖ソロモン王の最高傑作。

下手な魔術の能力を与えても焼け石に水となる可能性があるそうだ。はーつっかえ!

ヨッシーは、俺の肉体をそれはもう物凄くフィジカル的にチートにして送り込むようだ。

筋力EX 耐久EX 対魔力EXみたいな感じで。筋肉モリモリマッチョマンの変態に俺はジョブチェンジ。カルデアについて行って、ゲーティアにチョークスリーパーをぶち込んで人理を修復する迄がお仕事だ。

 

 

もちろん、最初は断った。何が悲しくてそんな筋肉の化け物にならなきゃならんのだ。だが、ヨッシーによると此処で断ると俺は死ぬらしい。俺を形成している魂の元となった身体は既に外宇宙では死んでおり、ヨッシーが手放すともう後はGo to Heaven.さようなら世界となる。

 

 

くそ、ウシジマくんでもこんな事しないぞ。向こうは借りた分に利息つけて取り立てるけど、こっちは借りても無いのに取り立てられる。だがまぁ、悪いことばかりでも無い。きっと前世の俺はそんなに名の残る事はしなかったのだろう。記憶が無い状態でもそれはなんとなく分かる。だから、まぁ……世界を救うってのは凄くカッコ良いと思う訳なのだ。

 

 

 

 

と言うわけで、俺は冬木に来たのだった。………全裸で。あぁん、何でぇ⁈

全身をFate\zeroのバーサーカーの様な黒いモヤが覆っており、恐らく逞しくさEX辺りに強化されているマイサンが晒される事は防げているが、気持ち的にやだ。露出狂の気はこちとら無いのだ。筋肉モリモリマッチョマンの変態と呼ばれる事だけは避けたい。

辺りを見渡すと、此処は橋の上のようだ。Fate/zeroに続いて、Fate/stay nightでも多数のサーヴァントの戦いの場になりながらも健気に橋としての役目を続けた冬木大橋くんの上に俺は送り込まれたらしい。

 

 

時間軸はどこ等辺なのか、それを先ず知る必要がある。

俺の任務はカルデアのサポートであるため、もし藤丸立花くんちゃん(この世界の藤丸が男なのか女なのか未だわからない。女の子である事を所望する)がレイシフトしてくる前なら、シャドウ・サーヴァントを討伐しカルデアの障害を予め取り除く。

 

 

問題は、ストーリーの終盤であった場合だ。セイバーオルタとクーフーリン、マシュの戦闘。コンビネーションが絡むそれは俺みたいな素人が介入できる様な戦いでない事は明白であり、だからといって俺が介入しないとどうしようもないレベルに敵、即ちセイバーオルタが強化されていたら今度は藤丸立花くんちゃんが危ない。

 

 

どうした物かと悩む俺だったが、悪い想定は当たる物だ。背後の山からクソデカエネルギーが迸るのを俺の強化された感覚が捉える。と言う事はつまりこの背後の山が円蔵山であり、局面は最終決戦。

それも猶予は殆どあるまい。先程見た黒い奔流は天高くに届き、天蓋を二つに割っているかの様な感覚すら覚えさせた。確かに敵がえげつなく強化されているのは本当の様だ。

 

 

俺は、脚に力を込める。そして──何の技術も、何の捻りもなく飛んだ。ただそれだけで俺は凄まじい衝撃波を撒き散らし、数多の英霊の宝具行使にすら何とか耐えてきた冬木大橋は、その崩れ落ちる音を抗議の声として無惨に崩れ落ちた。

それに対し、心の中で謝罪しつつも一瞬にして円蔵山の上空へと辿り着いた俺は、先程の斬撃によって開けられた穴へと飛び入るべく、『空気を蹴り飛ばす』。

 

音速を超える勢いで、円蔵山の大洞穴に辿り着いた俺を待ち構えていたのは………宝具だった。

 

「『卑王鉄槌』、極光は反転する。光を呑め・・・! エクスカリバー・モルガーンッッ!」

 

 

此方に迫り来る漆黒の奔流。俺は、反応出来ずにそちらを棒立ちで見つめる。だが、その極光は俺に触れる事は無かった。

恰も、モーセの前に道を開けたナイル川の様に、荒れ狂う魔力の奔流は道を開け、俺とその背後にいる幾人かを傷つける事なく過ぎ去った。これが、耐久EXか。凄まじい力だ。しかし……

 

 

(アッー! アーツィ! アーツ! アーツェ! アツゥイ!

 

ヒュゥー、アッツ! アツウィー、アツーウィ! アツー、アツーェ!

 

すいませへぇぇ〜ん! アッアッアッ、アツェ! アツェ! アッー!)

 

 

俺の顔面はポーカーフェイスを保っているが、心の中はネズミを見せられた青ダヌキの如く荒れ狂っている。

あれだ、冬場に身体が冷えてる中、思いっきり熱湯ぶっかけられた感じ。耐えられない程では無いが、凄く熱い。二度目は浴びたく無い物だ。

 

そんな事を考えていると、土煙が晴れ始める。そしてその先に黒く染まった聖剣を構えた、一人のサーヴァントが立っていた。

 

「貴様──、何者だ?そこの小娘のサーヴァント……いや、違う。これは、サーヴァントでは無い…?」

 

 

おほ^〜凛々しい顔堪りませんな。アニメや漫画でもクッソ可愛かったが、生で見ると凄い。無茶苦茶可愛い。

へーい!彼女、お茶しない?……あれ、口が動かんぞ。くそっ!これはあれか、ポーカーフェイス補正ってやつか!まぁ、確かに筋肉モリモリマッチョマンの全裸がニヨニヨしながらナンパしてきたら怖いよな……。

というか、俺の周りの黒いモヤがあるから顔見えないじゃん。はー、つっかえ!

 

 

「答えろ。私の宝具を受け止め、尚且つ無傷な貴様がサーヴァントでないのならば何なのか。魔術師であるはずもない……」

 

 

ウッス!ブラック企業【アラヤ】のアルバイトッス!……口がきけないってのは辛いな。まぁいいや。

コミニュケーションを諦めた俺は、背後にいる筈の藤丸立花くんちゃんとマシュ、オルガマリー所長、クーフーリンを確認する為に振り返ったのだが……

 

 

「先輩、私の後ろに!」

『気をつけてくれ、マシュ!あの体を覆っているモヤのせいなのか、凡ゆる計器の精査を受け付けない……!』

 

 

あれー?なんか無茶苦茶警戒してらっしゃる?というか、クーフーリンのアニキは何処やねん。

止まるんじゃねぇよ所長はなんか後ろでレフレフ言ってるから放っておくとして、貴重な人理側のサーヴァントが居ないじゃないか。おいおい、まさか……

一抹の嫌な予感を抱きつつ、辺りを見回す。すると、あるじゃないか。なんか地面からキラキラと立ち上る金色の粒子……脱落しとるやんけー!!!クーフーリン君さぁ……あ、退去するときの光が消えかけてる。なんか不謹慎だけど綺麗だな。ちょっと和む。

 

『ハ……イ、キ……(はえ〜……すっごい綺麗……)』

 

おん?何か口が少しだけ動いたな。ポーカーフェイス補正はちょっとした意識しない呟き程度なら貫通するらしい。良かった、完全にコミニュケーションが出来ないわけじゃ無いのか。

と言うか待てよ。この空間、キャスニキが居ないなら……俺以外全員女の子⁈ちょ、全裸!俺全裸!まずい、通報される!クソ、ゲーティアめ。肉体的に俺が損壊しない事を見越して社会的に殺しに来たか……!

 

 

「貴様……私よりも既に死んだキャスターにご執心か!ならば同じ所に送ってやる……!」

 

 

ヤキモチかな?可愛いね♡

キャスニキの残骸に目を向けていたが、オルタから放たれた殺気に身体が自然に反応し、俺の脚は大地を穿つ。大地が意思を持ち、吠えたかの様な爆音と共に地面は割れ、それと同時に俺の身体は引き絞られた弦から放たれる一条の矢の様な俊敏さでオルタへと殺到し、捻りと共に放たれた俺の正拳は寸分違わずオルタの胸部甲冑を直撃した。

 

 

「カッ……⁈」

 

 

ピンポン球の様にバウンドしながら、地面と平行に吹き飛ぶオルタ。すっげー痛そうだが、これも人理の為だ。

往生してくれ。正拳突きを放ち終えた体勢のまま、倒れ込む様にして大地を駆ける。

前方で顔を驚愕に歪めながら、それでも聖剣を構えるオルタがスローモーションの様に見える。此れが所謂、ゾーンって奴か。前方に伸ばしていた右手は後ろへと伸ばされ、大地を割った健脚は空を指し示す様に高々と天へと伸びる。踵落とし。シンプルかつ強力なその技は、アホみたいに盛られた俺の身体能力によって絶死の領域へと昇華される。これが、即ち─────

 

 

(男女平等踵落としィィィィッ!)

 

 

防ぐ様に構えられた聖剣毎、オルタの身体は大地へと叩きつけられた。

地下空間一面に広がった狗レーターの中心で、仰向けに横たわるオルタの口からは鮮血が吐き出され、手には聖剣こそ握られているものの甲冑はひび割れ、手足の関節は2、3個増産されている。

俺は、身体が導くままに警戒の姿勢を取る。だが、それは無意味だろう。最早オルタに継戦は不可能だろうし、徐々に身体からはサーヴァントが退去する時の燐光が発せられている。

 

「何……もの、だ。本当…に……!」

 

 

ブラック企業のアルバイトッス!……俺の口、ちょっと強情すぎひん?死に逝くオルタに一言くらい発して差し上げろ。言うぞ?いいか?お前は俺の口だからな?言うこと聞けよ?せーの!

 

 

『ブラ、イト…(ブラック企業のアルバイトッス!)』

 

 

うせやろ?おいおい、ポーカーフェイス補正くん、こんな時は仕事しなくて良いから(良心)

俺が己の口に呆れていると、オルタは何故か少しだけ頬を緩めた。あーーーっ!ほら、これ絶対『隠キャじゃん(笑)』って笑だって!

 

 

「そう、か。ならば…闇に堕ちた私が……貴様に討たれるのも道理、か。」

 

おーい、何納得してるねん。隠キャは闇属性だから、それより浅い闇だった自分が負けたって?喧しいわ。

俺がポーカーフェイスの内側で文句を垂れている間に、オルタはクレーターの中心から叫ぶ。

 

 

「貴様等も即興にしては中々の奮闘だった!だが、これは終わりではない。お前達も何れ知るだろう!グランドオーダー――聖杯を巡る戦いはまだ始まったばかりだという事をな……」

 

 

それを言い残すと、オルタの身体は金の粒子へと変換され消えた。残留している燐光も徐々に薄れて……待てよ、何か俺の身体からも何か出てる!待て、待つんだ!消え方によっては俺が全裸なことがバレる!周りの黒いモヤから消えるとか止めろよ、止めろよ!

 

 

「待って!」

『危ない、藤丸君!彼……いや、それすらも分からない!その存在が我々の味方とは決まったわけじゃない。全てが未確認だ!』

「でも、あの人は私達を助けて……」

 

 

オレンジの髪を靡かせ、藤丸立香ちゃんがマシュを連れて駆け寄ってくる。やった!この世界の藤丸は藤丸ちゃんらしい。かーっ!魔術礼装・カルデアの胸元エッチすぎんだろ。マリスビリーの趣味出てんぞ。

いや待て、眼福に喜んでる場合じゃない。今の俺は全裸なのだ。で、それを隠していた黒モヤ君は俺の退去に引っ張られて薄くなる可能性がある。不味い、このままでは筋肉モリモリマッチョマンの変態の謗りは免れない!

来るな、来るんじゃねーー!

 

 

『タノ……シ…コロ、ス(頼むから来るんじゃねー!俺を社会的に殺す気か⁈)』

 

 

その言葉を発した瞬間、俺の身体はこの特異点から離脱していった。なんか退去する前に藤丸ちゃんとマシュの顔がなんか引き攣ってたのが見えたぞ!!嘘だろ、逞しさEXの息子を見られた⁈頼む、軽蔑しないでくれ!

俺は、俺は!筋肉モリモリマッチョマンの全裸変態とだけは思われたく無い───────!

 

 

 

 

 

 

 

 

[カルデア視点]

カルデアは2004年に確認された特異点を修復した。

だが、ブリーフィングルームに居る面々を覆う雰囲気は暗い。勿論、カルデアの資源の多くが裏切り者、レフ教授の引き起こした爆発によって損壊し、マスターの殆どが死亡、或いは冷凍保存の憂き目にあった事、更にはカルデアの所長【オルガマリー・アニムスフィア】が死亡した事もその一因だろう。だが、彼等を悩ませている最大の要因はこれだった。

 

「コレは……一体何者なんだ?」

 

ホログラムに映し出されたのは、全身を黒い霧で覆い尽くした巨漢。その体格は正に天を突くほどの巨躯であり、その構えに隙は無い。だが、重要なのはそこでは無いのだ。

 

「2秒。2秒だ、立香ちゃん、マシュ。

君達と、更に戦い慣れしたサーヴァントであるクーフーリンが組んで戦ったにも関わらず、敗れかけたあの騎士王をコレは2秒で始末してみせた。更に、凡ゆる計器はコレをサーヴァントでは無いと示しているんだ。」

 

ダ・ヴィンチがその端正な顔を悩ましげに歪める。

結果だけ見れば、この存在は自分達を救ってくれたのだろう。実際、この存在があの時の騎士王の宝具を防いでいなければ自分達はあの特異点から帰還出来ていない。しかし、その存在が放った言葉が問題なのだ。

 

 

画面が切り替わり、その存在が彼等の前に姿を現した直後のソレを映し出す。

騎士王の宝具をその身一つで受け止め、痛痒を感じた素振りすら見せずに立ち尽くすソレに対し、騎士王が詰問する。

 

 

「貴様──、何者だ?そこの小娘のサーヴァント……いや、違う。これは、サーヴァントでは無い…?

答えろ。私の宝具を受け止め、尚且つ無傷な貴様がサーヴァントでないのならば何なのか。魔術師であるはずもない……」

 

 

それに答える様子も無く、ソレは周囲に黒い霧の残滓を揺蕩わせながら此方を一瞬見やり、キャスターが退去した後の燐光の残滓を見つめる。そして、静かに……しかし通る声で一言を放った。

 

『ハ……イ、キ……』

 

廃棄。果敢に戦い、そして敗れた英霊に投げかける言葉では無い。だが、ソレは何処か楽しそうな雰囲気を漂わせながらその言葉を放っていた。

 

 

再び、画面は切り替わる。騎士王を瞬殺し、見つめるソレに対して騎士王は悔しげに言葉を鮮血と共に漏らす。

 

「何……もの、だ。本当…に……!」

『ブラ、イト……』

 

輝き。暗い霧を纏い、暴力の化身の様なソレには最も遠い様に思える言葉だが、オルタは何処か納得した様に生き絶える。

 

 

そして、最後。コレが一番の問題の発言だ。

騎士王が消え逝くのと時を同じくして、仕事は終えたとばかりに己も退去するサーヴァント特有の燐光を放つソレに、藤丸立香とマシュが駆け寄る。だが、ソレは此方へとグルリと頭部───おそらく、だが───を向け、初めて此方へと話しかけたのだ。

 

 

『タノ……シ…コロ、ス』

 

 

まるで、世界を何処までも憎んでいるかの様な気配を振り撒きながら消えていく。最後まで正体不明のままに。

楽しい、殺す。とても真っ当な存在が放つ言葉とは思えない。

 

 

それまで黙り込んでいたドクター・ロマニは真剣な顔で口を開く。

「立香ちゃん。君は今、自分がどれだけ貴重な存在なのか分かっていないみたいだ。

 

我々カルデアの最後の矛。人理を修復する事が可能な最後のマスター。ついこの前まで一般人だった君にこんな事を言うのは、凄く僕も嫌だ。だけど、それを自覚して欲しい。自分から危険に近づく様なことは……止めてくれ。それに、最後のマスター云々を抜きにしても、一人の大人として君には死んで欲しく無い。どうか、それを忘れないで欲しい。」

 

普段は明るく快活な少女、藤丸立香はしょんぼりと机に顔を俯ける。確かに、あれは軽率だった。

自分の気持ちが先走りすぎていた……もしあの時、アレが此方に敵意を向け、襲ってきたら。マシュも、自分も細切れになっていただろう。それを思うと背筋に寒気が走る。

 

 

すると、マシュが膝の前で組んでいた手にそっと自分の手を伸ばしてくれた。

 

 

「先輩、ごめんなさい……私も、軽率でした。それに……私は、弱い。先輩を守り切れないほどに」

「そんな事……!」

「だから、一緒に成長していきましょう、先輩。私もまだ戦闘員としては未熟ですが、先輩を守れる様なサーヴァントになる為に、努力します!」

「マシュ……」

 

 

ロマニがパンパンと手を叩き、雰囲気を変える様に明るい声を出す。

「だが、悪いことだけじゃ無い。アレは、少なくともこの未曾有の事態───人理焼却を引き起こした側とは敵対関係にある様だ。今後アレに遭遇した場合は、必要以上に接近せず、我々が利用してしまおう。

前向きに考えれば、暴発しやすいが強力な助っ人の様なものだ!」

 

どう考えても空元気なのは明らかだ。だが、それでも元気は出る。カルデアの新米マスターと新米デミ・サーヴァントは笑顔で答えた。

 

「「了解!」しました!」

 

 

 

 

くるり、くるりと歯車は回る。予め決められたルートを外れ。イレギュラー(筋肉モリモリマッチョマンの全裸変態)は、この物語をどう変えていくのだろう─────

 

 




主人公
アラヤの最終兵器。えげつないほどの筋力、耐久性、対魔力を誇る。ゲーティアに悟られない為の情報保持として、一切の自身の魔術的反応を遮断する霧を展開している。全裸なのはアラヤの手抜き。




カルデアの認識
・殺しを楽しむやべー奴
・輝きを名乗っている。何かの暗喩か?
・凄く危険だが、利用する方法はあるはずだ!





続かない
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