Fate/KIYOSI〜光に導かれた魔術師の宴〜 作:荒瀬 伊織
属性は絶対に隠しておくこと。寝る前に絶対、死んだ母さんの言葉を思い出す。
母さんは一流魔術師として信じられないぐらい倫理を弁えた人だった。特に花に関する魔術では右に出るものはおらず、普通の才人程度では凡人扱いされる魔術教会にも一目置かれているような凄い人間だ。
父さんも凄い人だった。魔術回路を持たない一般人の家系から突然変異で生まれた父さんは、今では錬金術のプロフェッショナル。魔術師の家系ではないおかげか倫理観もしっかりした人だ。母さん一家の一族から婿養子として向かい入れられ、そのまま流れるように結婚しそして僕が生まれた。
そして俺は、2人の隠し子だった。
「魔術教会は危険だ、お前を見つけたら地の果てまで追いかけてくるだろう」
「でも安心しなさい。私はもう無理だけど……お父さんが守ってくれます。そのためには離れ離れになるけれど……清志、無力な両親を許して下さいね」
「……感謝します、お父様、お母様……」
母さんは僕が7歳の時に病死。父さんは僕の存在を悟らせないように単身で魔術教会に乗り込んで、子供がいない妻を失った哀れな男のふりをしている、もう中学2年生になるっていうのに、一度も会いに来てくれない。当然だろう。なんてったって僕の属性は……
「属性光……今までに類を見ないとても珍しい力です、きっと神様に愛されたのでしょう、誇っていいのですよ」
そう、僕の属性は「光」。火、水、地、風、空、そして虚と無。これまで発見されてきた属性は以上だ。つまり僕は人類で初めての光の属性を持つ人間ということ。そんなもの魔術協会に見つかったら1発で封印指定送りだ。えっと封印指定っていうのは……珍しい力とか凄い力が失われないように、監視するという名目のホルマリン漬けのような感じ。絶対に嫌だ、少なくとも僕は嫌だ。
だから父さんは必死になって守ってくれている。東京を離れて田舎に移り、小さな町【森羅町】の外れにこじんまりとした家を建ててくれた。ここで僕は普通の子供として中学校に通いながら、この歳で早くも隠居生活をしているというわけだ。
「清志ちゃん! お野菜ここに置いておくわね!」
「あ、伊藤さん家のおばちゃん。いつもありがとうございます」
「いいのよ、こんなところに一人で住んでる子供に世話焼くのは当然よ!」
このような感じで僕は町の皆さんにお世話になっている。言っておくけど僕だって一人で生活はしてるんだよ。父さんから来る仕送り金も計画的に使ってるし、掃除洗濯料理も得意だ。魔術だって上手だよ。僕の魔術回路は40本、しかもこれはあくまで自由に動かせるメインの本数だ。手足それぞれにサブとして回路が30本づつある、メインも合わせて160本だ。平均が20本前後だった言えばどれだけ凄いのかわかってもらえると思う。
「あ、おねしょ治った?最近おねしょした後の布団干したないから、みんな噂してるのよ」
「し、失礼な!もう中学2年生ですよ、そんなに沢山してません!」
「そうね。せいぜい1ヶ月に2回ぐらいよね〜!」
「もう……恥ずかしい……」
……まあ色々言いたいことはあるけれど、一人魔術の修行をしつつ、村の人たちと交流を積み重ねていく。ありきたりだけど幸せだった。この村の愉快な秘密を知るまでは。
鈴木清志 14歳 中学2年生
起源:中庸
属性:光
魔術回路:160本
量:A++
質:A+
状態:異常(前例なし)
世にも珍しい光の属性を持つ人。魔術の才能は間違いなく親譲り。基本一人でなんでもしてるけど、おねしょだけはどうしても治らない今でも月に2回はおねしょした後の布団を干している姿が見られる。