Fate/KIYOSI〜光に導かれた魔術師の宴〜 作:荒瀬 伊織
俺、真田堂力は小学5年の時、交通事故にあった。俺が乗っていたバスと、対向車の大型トラックが追突した大きな事故だった。運転手は共に即死、生存者はたまたま一番後ろの後部座席に乗っていた俺一人だった。
それでも俺だって危なかった。なんてったって心臓にガラス片が突き刺さって生死を彷徨ったからな。結果的にたまたま俺の前の席に座っていた女の人の心臓を移植して事なきを得たから。その女の人はもう助かる見込みもなく、意思表示カートに移植をしてもいいと書いていたらしい、家族もいないようで何も思い悩むことはないよと医者に言われたのを思い出した。
しかしここからが苦難の幕開けだった。その後何事もなく退院したはずなのに、その日から俺は同じなことが出来るようになった。あの心臓にガラス片が突き刺さった時のことを考えていると、身体から線状の光が浮かび上がってくるようになっていた。しかもそれだけでも大変なのに、まだまだ受難は続く。
「真田くん、プリントまた無くしちゃったの?」
「堂力! 貴方身体から煙が!?……あら、気の所為かしら。ごめんなさい、お母さんったら勘違いしちゃったわ」
こんな超常現象が起こってしまうようになってしまう。課題のプリントは無くしたんじゃない、やってる途中にふとあのことを考えるとまた線状の光が身体から出て、そんでプリントが燃えてしまったんだ。身体から煙が出るのはもう慣れっこなところがある。他にも体温がやけに高くて検温で毎回のように引っかかったり、この前は光が浮かび上がった状態で水に手を触れると一瞬で沸き上がったこともあった。
……そこで俺は考えた、何か超能力とか、スーパーヒーローの力が手に入ったのではないかと。光ってる状態で何かやったら火にまつわる力が出せるんだ
そこから修行は幕を開けた。まず自分の限界を見るのが大切、せいぜいできることといえば暴発して物を自然発火させる程度のこの力をどう役に立たせるか、それは大きな課題だった。実際中学生の3年間は力の制御に使ってしまった。しかしその成果は十分過ぎるぐらいあった、見よ俺の努力の全てを!
「そこの紙、燃えろ!」
こんな感じで声に出したらちゃんと操れるようになった。もうこれは名乗っていいんじゃなかろうか、超能力者だって。実際それ以外にも物を浮かせたり水も出したりしたけどなんかこう、火を使っているよりしっくりこない。まだまだ練習の必要性があるということだ。
いつもみたく街外れの森で修行しようと思っていた、しかし今日はその、魔が刺した。更に先に行ったところにある小さな町森羅町、いつも頑張ってるし、今日ぐらいぶらぶら散歩にでも行こうと1日に4回しか走らない森羅町行きのバスに乗ってしまった。
子供の頃数回しか行ったことない町、いいやもう村の次元だろう。ぶらぶらとほっつき歩いていると、突然俺の回路が光りだす、おいおい別にあの時のことなんて一つも思い出してないってのに。……あの家に近づいた瞬間にそうなった、ただそれだけの理由で、何かに吸い寄せられるように俺はその家に窓から入ってしまった。こんな身体の状態で玄関から入る度胸は俺にはなかった。
「鍵、開きやがれ!」
窓の鍵もこれで簡単に開く。家宅侵入者もいいとこだが、この光の原因がわかったらそれでもう帰るから許してほしい。そう思いながら一つの部屋にまでたどり着いた、書斎だろうか、古い本特有の匂いがする。図書館にもないような古い本があるのだろう。
そしてそこにポツンと一人、少年がいた。身長は俺よりずっと小さくて、筋肉もなさそうなヒョロヒョロのそいつは、ノートを黙々とみている。
……なんというか、凄い気になるというか、お近づきになりたい。そう思った。
「煌天式発動・
「うわ、なんだよこれ!」
気がついたら透明な紐というか、縄のような物に拘束されている。少年の左手は白く淡い光を発して、ただ俺のことを見ていた。……綺麗だ。その光じゃなくて、その少年が綺麗だ。
「君はだあれ? 回路が大変なことになっているね……
僕が助けてあげるよ」
真田堂力 17歳 高校2年生 184㎝(清志くんは151㎝)
起源:奇跡
属性:火
魔術回路:30本
量:B
質:B+
状態:異常
ひょんなことから魔術師としての才能が開花した不運な青年。それが生死を彷徨った際に得たのか、それとも移植された女性の心臓に原因があるのか、真相は闇の中。回路は有象無象と言ってもいい魔術師や魔術使いと比べたら多い方だがほぼ初心者が無理矢理使う魔術なので、はっきり言って宝の持ち腐れ。潜在的にバイセクシャル。