Fate/KIYOSI〜光に導かれた魔術師の宴〜 作:荒瀬 伊織
結果は……あまりにも残酷な敗北だった。なにあの反則級の魔力量は、あのわけわかんない魔術式。私の何もかもが通用しない……はっきり言って絶望。意識があるうちに祈っておいた。どうかこれが悪い夢でありますように、私が最強の魔術師でありますように。
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鈴木清志side
しまった、やりすぎた。自分の秘密の守るためだと躍起になってしまった。吸収の力が暴発し、魔女の魔力も一緒にぶんどってしまった。もちろん桁外れの魔力を持つ僕がそんな事をしたら、普通の魔術師は倒れてしまう。彼女も例外ではなかった。……回路が焼き切れていないから、普通の魔術師の基準でいえばかなりの素質持ちなんだろう。
「大丈夫か! ど、どうすればいいんだ? 病院?」
「うーん……普通の医者に見てもらってもね。とりあえずウチの家に連れて帰ろう。流石にこんな森の空き地に1人野晒しじゃ可哀想だ」
魔力回路の損傷が激しい。魔術方面の医者がいればいいが、時計塔でもあるまいし、そんな人がポンポンいるようなら苦労しない。かと言って、僕のせいとはいえこんなことで死ぬなんて彼女があまりにも可哀想だ。マッサージでも針治療でもいいから、兎に角効果がありそうな治療法を探し出しては試してみよう。
「……その心配はいらないよ」
森の茂みから声がした。落ち着いていて、僕よりずっと年上。歩いてきた彼は驚くほど線の細い、こんな人が生身でよくこんな森の奥を歩けたなと思うほどか弱い美青年だった。しかし不思議と、あり得ないほど活発そうだった彼女の面影を感じてしまう。
「ごめんね合歓……兄のせいでこんな酷い目に遭ってしまうなんて」
「あの、ひょっとして……」
「初めまして。伊藤合歓の兄、伊藤樹です。この度は我らが一族がご迷惑をおかけしました。どうですか、これから我が屋敷にて少しお話でも」
「いや、その……まさか弔い合戦?」
「そんなことはないと思いな。ついていこう、堂力くん」
兄。そうか兄か。魔術というのは基本的に一子相伝。普通の魔術師(魔術協会と繋がりを持ち根元を目指している)の家系であれば後継争いの種を生まないように後から生まれた次男次女は養子に出されたり、魔術を教えてもらえないことが多い。しかし見たところ兄妹ともに魔術を使えるようだ。こんな山奥身体強化の魔術でも使わないと歩くことすらできないだろうから、妹ほどではないがある程度の魔術は使えるっぽいもんね。少し特別な事情を持つ家系なのかもしれない。
それに大切なご息女をこんな目に合わせてしまった僕にもある種の責任がある。堂力くんに罪はないし、ここは先に帰ってもらった方がいいのかな。
「いや、清志が行くなら俺も行く! 危ない目にあったらお互い様だ!」
……そうか。いやむしろこのまま1人にしてしまう方が危なかったな。
「ありがとうございます。では、妹は私が連れて行きますから。よっこらしょっと。はい、ついてきて下さい」
大切そうに妹をおんぶする樹さんについて行くことにした。この村つて思ったよりも魔術師が多いんだな……
お久しぶりです。
伊藤樹 18歳 高校3年生 175㎝
起源:平和
属性:虚数
魔術回路:12本
量:D
質:A
状態:以上、常時未覚醒状態(原因は不明)
伊藤家の長男、家訓の通りの弁えた行動で使用人からも人気の幸薄系美青年。儚げな雰囲気の通り身体が弱く、遠距離通学が無理ということで通信制の高校に通っている。回路も少ない上に属性も特殊、更に何故か回路が常時フルパワーを出しきれないという異常も合わさって、魔術師として鍛え上げるのが困難な状態。簡易的な強化魔術と虚数属性らしい不確定を最低限操る力を持つのみで、後は本当にからっきし。