魔法少女リリカルなのはKreuzung   作:神原和人

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とある世界での一幕。
同時更新されている /07 とこちら。お好きな順でお読み下さい。


/Interlude

 五界の狭間。

 ここはそう呼ばれている場所だった。

 今現在、この五界の狭間には六つの存在が集っていた。

 その姿を見ることは出来ないが、巨大な存在感と燐光によってその存在を把握することが出来る。

 

「さて、我々にも予想外の事態が発生した訳だが、対策を相談せねばなるまい」

「対策といってもな……。この世界に関しては我の管轄外だと思うのだが?」

 

 この場で唯一、体を持つ存在がボヤいた。

 流れるような金髪。血より尚紅い瞳。

 黒いドレスを着たその少女は、この場において一・二を争う存在感の大きさの持ち主だった。

 

「言わずとも解っているのだろう。

 ――――名もなき世界のエルゴよ」

 

 名もなき世界のエルゴ、と呼ばれた少女はその顔に壮絶な笑みを浮かべた。

 一瞬、少女以外の五つの存在がその威圧感に慄く。

 

「ククッ。度し難いものよ。

 一度は弾いた我の力を求めるか、サプレスのエルゴ」

「事態は急を要する。このままでは世界そのものが滅亡する」

「だが、我の世界には然程影響しない」

「……」

 

 名もなき世界のエルゴの言葉に間違いはなかった。

 実際他の世界が崩壊した所で、彼女の守護する世界に大きな影響はないのだ。

 

「……つまらん」

「何?」

「貴様ら、随分とつまらん存在に成り下がったな」

「その言葉、聞き捨てならんぞッ!」

 

 赤く光を放つシルターンのエルゴがいきり立つ。

 その怒気を正面から受けて尚、名もなき世界のエルゴは微動だにしなかった。

 

「事実であろう?

 我を弾いた時の貴様らなら、力尽くで押し通したろうに」

「ぐっ」

「まぁ、よかろう」

「……何?」

 

 前言を翻した名もなき世界のエルゴに、黒い光を放つロレイラルのエルゴは訝しげな声を上げた。

 名もなき世界のエルゴの性格を把握していれば当然の反応だった。

 

「介入させるに打って付けの人間がいる。そいつを貸してやろう、と言っておるのだ」

「どういうつもりだ」

「何、簡単なことだ。我はそやつ以外に、力を預ける気がない(・・・・・・・・・)

「――真逆ッ!」

 

 名もなき世界のエルゴはその言葉に、先程とは違い可憐な笑みを見せた。

 

誓約者(リンカー)の資格者が、我の世界に存在する。それも二人(・・)な」

「おぉ、誓約者足り得る者が二人も……!」

「残念だが、我が認めるのは一人だけだ。故に、派遣する人間は我が選ぶ」

「だが、資格者が複数存在するのなら両者に試練を与えるべきだ」

「ほざけ。言っただろう? 我が認めたのは一人のみだ。

 それに二人共まだ幼い。戦闘手段を持つ方を選ぶのは当然のことであろう?」

「……しかし」

「くどい! 我は奴以外の人間を誓約者とは断じて認めん。前回のこと、忘れた訳ではあるまい?」

 

 名もなき世界のエルゴが言うように、彼女は前回の誓約者には一切力を貸していなかった。

 それ故に弾かれ、名を失った。名も【失き】世界とはそういうことだ。

 

「安心するがいい。

 我の選んだ人間は前回の誓約者を超える才覚を持つ。間違いなく、な」

「それはどういう意味だ?」

「誓約者の資格を持つのは二人共転生者なのだがな?

 我が選んだ資格者は、転生の際に才能を望んだのだよ」

 

 エルゴたちの間に、激震が走る。

 彼女の言葉にはそれだけの衝撃があった。

 

「正確には努力が結果に結びつくのに必要な才能なのだが……。

 問題はそれを限定しなかったことだ。

 故に、意図せず必要以上の才能を授かってしまった、という訳だ」

「つまり」

「ククッ。そういうことだ。

 言わば【主人公としての才能】を生まれながらに持っていると言える。

 それこそ間違いなく、今後は奴を中心に世界が動くだろうな」

「貴様程の存在がその人間に入れ込むのも……」

「奴が神に愛される程の才能を持っているからだ。

 無論それだけではない。我がその程度の理由で一人の人間に入れ込むような存在でないことは、貴様らが良く知っているだろう?」

「……確かに、な」

「奴はな、あろうことか必要のない物を背負おうとしている。

 例えばそれは、本来誓約者となるべき人間であったり、未来で事件に巻き込まれ、命を落とす可能性がある人間であったり、とな。

 無自覚に理解しているのだろうな。自分が授かった物の大きさを。

 だからそれに見合う対価を払おうとしている。我は、奴のその愚かしい姿を気に入った」

「馬鹿な。才能に対価など必要ないだろう。それが真実、神より授かった物であるなら尚更だ」

 

 緑に光るメイトルパのエルゴが呻く。

 名もなき世界のエルゴはその様子を見て、面白そうに笑った。

 

「しかし奴は心の奥底ではそう思っていない。故に愚かしい。

 だが、その様は同時に人間らしくもある。

 ――――だからこそ、そんな人間らしい奴が愛おしいのだよ」

「……成程。それが理由か」

 

 白く光るリィンバウムのエルゴの問いかけに、名もなき世界のエルゴ(しょうじょ)は笑みで返答した。

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