魔法少女リリカルなのはKreuzung   作:神原和人

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月末ギリギリで申し訳ない(;´Д`)
キリの良い部分が見つからなかったので、文量もかなり少なめです。
次回はもう少し文量も増える、筈……。
尚、活動報告にて皆様にお聞きしたいことを記事にしたので、そちらの方もご覧頂けると幸いです。

また、今回は字数の関係上人物設定の更新がありません。
次回新キャラ登場時に纏めてやる予定です。ご了承下さい。


第二章 忘れられた島編
/08 忘れられた島


 ここは一体どこだろうか?

 というお約束を言うまでもなく、ここが自分のいた世界とは別の世界だということはわかっていた。

 僕に起こったあの現象。まず間違いなく、召喚術による物だろう。

 それにあの時聞こえてきた声は、恐らく2に出て来たメイメイさんの物だ。

 頭痛、というのも今にして思えば、無印で主人公が召喚された時に感じた物と同じ物の筈だ。

 

「……」

 

 辺りを見回す。

 この世界がリィンバウムだろう、ということまではわかるけど、ここが一体どの国かまではわからない。

 しかも、周辺の様子からして僕の知識にない場所の可能性が高い。

 何せ僕の知っている知識の中には、今目の前に存在する巨大な門のことなどないのだ。

 知っている物の中で最も近いのは2に登場したクレスメントに関わる遺跡だろうか。

 仮に関連性のあるものだとしたら、この時点で既に厄介事の気配をさせている。

 

「しかし、これからどうしたものか」

 

 試してみない事にはわからないけど、転移魔法が上手く発動するか、怪しい所だ。

 転移魔法が上手く発動しなかった場合、別の帰還方法を考える必要がある。

 僕が知る限りは膨大な魔力にモノを言わせた帰還法の存在があるくらい、か。

 その方法にしたって、僕にその方法が使える程の魔力があるかもわからない。

 

 ……あれこれ考えても仕方がない。

 とりあえず行動することにして、先ずは人里を探すことにしよう。

 情報がなければ対策もたてようがない。

 

《マスター》

「うん、わかってる」

 

 視線を反対に向ける。

 何かがこちらに向かって、近づいて来ている。

 

「クラウン、セットアップ」

《セットアップ》

 

 クラウンを構え、剣先を視線の方へ向ける。

 ここでは何があるかわからない。用心に越したことはないだろう。

 

「………」

 

 果たして、出て来たのはどこか人間離れした雰囲気を持つ、一人の少女だった。

 

「ここは立ち入り禁止区画です。早急に立ち去って下さい」

「?」

 

 行き成りそんなことを言われても、僕はここがどこかを知らない訳で。

 しかも武器を向けられて動じた様子もない。

 全くの無反応というのも、些か不気味だった。

 そんな僕の様子に合点がいったのか、少女は無表情なその顔を一つ頷かせた。

 

「成程。召喚されたのは貴方ですか」

「召喚、っていうのが妙な光に包まれることを言うなら、そうだと思う」

「兎に角ここは危険な場所なので、一旦主の元へ案内します」

 

 そう言ってずんずんと来た道を戻っていってしまう。

 僕はほんの一瞬迷ったものの、彼女の後を大人しくついて行くことにした。

 ついでにクラウンをコアの状態に戻しておく。バリアジャケットは念の為にこのままだ。

 

 暫く歩くと、今度は景色が一変していた。

 今目の前に広がるのは、機械仕掛けの街。恐らく、ロレイラルの技術による物だろう。

 ロボットたちがそこかしこを動き回っている。

 

「こちらです」

 

 少女は僕を先導したまま、街へと入っていく。

 どうやらここからも見る事が出来る、あの一番立派な施設を目指している様だ。

 

「……あら? 随分と早かったわね、クノン」

 

 その施設の一室に入った僕を迎えたのは、そんな女性の声だった。

 

「アルディラ様」

 

 クノン、と呼ばれた少女が女性の名前を呼ぶ。

 それに対して、女性はこちらに体を向けた。

 そこでようやく、アルディラと呼ばれた女性は僕の存在に気が付いたようだった。

 

「喚起の門は確かに起動していました」

「……そう。つまり、その子が召喚された子なのね?」

「はい。恐らくは」

 

 しかし僕にはその話の内容が今一理解出来ない。

 恐らくは僕が召喚されたことを話しているんだろうけど……。

 あの時聞こえた声がメイメイさんの物であるなら、恐らく僕は彼女に召喚された筈なのだ。

 間違っても、喚起の門とやらに召喚された訳ではない。

 

「すいません。色々わからないことだらけなので、出来れば説明をして欲しいんですけど……」

 

 そんな僕の言葉に、アルディラさんは改めてこちらに向き直った。

 

「色々と聞きたいこともあるでしょうけど、纏めて説明した方が良いから、少しだけ待って貰えるかしら」

「わかりました」

「時間が来るまでは、お茶でも飲んで待っていて頂戴。クノン」

「かしこまりました」

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「機界集落・ラトリスクの護人(もりびと)、アルディラ」

「鬼妖界・風雷の郷の護人、キュウマ」

「霊界・狭間ノ領域が護人、冥界ノ騎士・ふぁるぜん」

「幻獣界・ユクレス村の護人、ヤッファ」

「この四者の元、会合をはじめます」

 

 今現在、僕たちは集いの泉と呼ばれる場所に居る。

 道中アルディラさんに簡単な説明を受けた所、判明したのは以下の点。

 

 ①この世界は【リィンバウム】と呼ばれる世界であること。

 ②リィンバウムを取り巻くように【機界・ロレイラル】【霊界・サプレス】【鬼妖界・シルターン】【幻獣界・メイトルパ】という四つの世界が存在すること。

 ③その四つの世界と【名もなき世界】から使役対象を呼び出す【召喚術】が存在すること。

 ④召喚術を行使した術者が死亡した場合、召喚対象は元の世界に戻れなくなること。

 

 ここまではこの世界の簡単な知識。

 次に聞いたのは、今僕たちが居る場所に関して。

 

 ⑤ここは名前のない、地図にすら載ってない【忘れられた島】であること。

 ⑥この島にはリィンバウムを取り巻く四つの世界を模した集落と、それを護る護人と呼ばれる四人が存在すること。

 ⑦喚起の門と呼ばれる装置が、ごくまれに無差別な召喚を行うこと。

 

 僕にとって重要なのは次の二点。

 

 ⑧喚起の門によって召喚された召喚獣は、一つの例外もなく元の世界に戻れないこと。

 ⑨この島は結界によって守られている為、出入りが不可能だということ。

 

 喚起の門によって召喚された召喚獣は、厳密には召喚者がいないという扱いになる。

 つまりこの場合④の情報に抵触しているのだ。

 とはいえこの件に関してはあまり気にしなくても良いと思っている。

 というのも、僕は僕を召喚した人間が喚起の門ではない可能性があることを知っている。

 そう。あの時聞こえた声の主。メイメイさんである。

 あの声が聞き間違いである可能性は少ないだろうし、もし本当に召喚者がメイメイさんなら、僕がここに喚ばれた理由がある筈だ。

 僕の知っている情報が通用するのなら、あの人に限ってミスで召喚した、ということはないだろう。

 

 それよりも問題なのが、島からの脱出が出来ないということ。

 僕としては何としても元の世界に戻りたい。

 目的を持って喚ばれたのならそれを果たせば恐らく帰れるんだろうけど……。

 そうじゃなかった場合のことを考えておく必要がある。

 

 一応、当てがない訳じゃない。そう、転移魔法だ。

 とはいえ転移魔法が発動しなかった場合、それ以外の方法を探す必要がある。

 その為には必要とあらばリィンバウム中を回るつもりだった。

 この場合に問題になるのが、先程の結界の話だ。

 出入りが出来ない、ということは入ってくることは勿論、こちらから外に出ることも不可能だということだ。

 これでは外に情報収集に行くことなど無理である。

 

「……ということよ」

 

 そんなことを考えている内に、大方の事情説明が終わったようだった。

 

「ですが、彼はどう見ても人間です。シノビであるようにも見えない……」

「獣人にも見えねぇな」

「霊体デモないヨウダ……」

「そして、見る限りは融機人(ベイガー)でもない」

 

 四人の視線が僕に向く。正直、居心地が悪い。

 

「……まぁここは手っ取り早く、本人に聞こうや」

「ソウダナ」

「その前に」

「何か?」

「いえ、私たち、まだこの子の名前を聞いていないと思って」

 

 あ。そう言えば僕も名乗った覚えがない。

 

「すみません。僕は桜満 朔夜と言います」

「珍しい名前ね」

「桜満が家名で、朔夜が名前になります」

「こちら風に言うならサクヤ・オウマといった所ですか」

 

 キュウマさんの言葉に頷く。

 

「宜しければ朔夜と呼んで下さい」

「で、話を戻すが……」

「貴方がどこの世界に居たのか、教えて貰えるかしら?」

「ここに呼ばれる直前までは日本、と呼ばれる国に居ました」

 

 四人は顔を見合わせる。

 

「ゲンジ殿と同じ世界のようですね」

「ナラバ、名もなキ世界ノ住人カ」

「過ごしやすい様に、貴方が居た世界に最も近い集落に案内しようと思ってたけれど……」

 

 アルディラさんは溜め息をついた。

 

「貴方の出身世界が名もなき世界なら、話は変わってくるわ」

「あの」

「……? 何かしら」

「その住む集落に関して何ですけど、必ず固定でなければならないんですか?」

 

 僕の質問に対して、アルディラさんは目を瞬かせた。

 表情を伺うことが出来ないファルゼンさんは兎も角、キュウマさんもヤッファさんも固まっている。

 

「あぁ。良く良く考えりゃ、別に一箇所に定住する必要はねぇのか」

 

 ヤッファさんが後頭部を掻きながら言う。

 

「ダガ、狭間ノ領域は人間ガ住ムにハ不便だゾ?」

「霊たちにはファルゼンが言い聞かせるとしても、確かに寝泊りするにゃちと不便だな」

「最低限眠る場所さえあればどうにでもなります。

 僕としては、この世界のことや皆さんが元々居た世界のことを詳しく知りたいと思っています。

 その為にはその世界それぞれの住人と交流するのが一番だと思うんです」

「違いねぇ」

「それに、出来れば召喚術に関しても詳しいことが知りたいですし」

「……貴方まさか」

「今はなくても、恐らく昔はあった筈ですよね? 送還術と呼べる術が」

 

 召喚に対して送還。

 確か送還術から必要な部分を抜き取って出来たのが、召喚術だった筈。

 ただ長い年月の間に、その術式は失われてしまった。

 それが僕の知っている知識だ。

 いざという時リィンバウム中を回るのは、その失われた送還術に関して調べる為だ。

 四界のことを調べるのも、そこから送還術のヒントになりそうな情報がないかを調べる為。

 召喚術そのものにも興味があるし、この情報にヒントがなかったとしても、益にはなっても不利益になることはない筈。

 

「……やっぱり無理、ですかね?」

 

 僕の発言を聞き、アルディラさんが溜め息をついた。

 ヤッファさんもしかめっ面だし、キュウマさんも眉間にしわが寄っている。

 唯一ファルゼンさんは顔面を全て覆うタイプの兜を被っているので、その表情まではわからなかったけど、多分良い感情は抱かなかっただろう。

 

「召喚術に関しては即答出来ないわ。けれど住居に関しては貴方の意見を尊重しましょう」

 

 召喚術に関してはあまり期待していなかった。

 僕なら人となりもわからない相手に、自分たちを害することが出来る様な力を与えたりはしないからだ。

 当然、アルディラさんたちもそうだろうとは思っていた。

 それだけに、住居に関して許可がおりたのは少し意外だった。

 何も召喚術だけが攻撃方法じゃないのだ。

 危険性を考えればどこか一箇所で監視するだろうと思っていたんだけど……。

 

「私としてはそこで改めて、貴方が召喚術を扱っても問題ないか見極めさせて貰うわ。召喚術を教えるかどうかの判断はその後ね」

「良いんですか?」

「まぁ、思うところがない訳じゃないわ。貴方がリィンバウムの人間だったらもっと頑なだったでしょうね。

 それに元の世界に戻りたい、という貴方の気持ちもわからないでもないし、ね。貴方たちはどう?」

「俺はそれで問題ねぇと思うぜ」

「こうして少し話ただけでも、サクヤ殿の人となりはある程度わかりました。私の方も、問題ありません」

「……見極メは、慎重ニサセテ貰ウ」

「ありがとうございます!」

 

 条件付きとは言え、召喚術を学べる機会を手に入れられたのは非常に大きい。

 

「送還術に関しては術式は愚か資料すら残っていないから、私たちの方で手助けすることは出来ないと思うけど……。

 召喚術を教えても問題ないと判断が下った場合は、最大限の助力を約束するわ」

 

 アルディラさんの言葉に頭を下げる。

 条件としてはかなり良い方じゃないだろうか。

 ここまで良い条件を出して貰ったんだ。後々火種になりそうな隠し事はするべきじゃないな。

 

「あの」

「……隠し事があるなら、それを言うのはもう少し後で良いわ」

 

 びっくりして、思わずアルディラさんの顔を凝視する。

 そんな僕の様子にアルディラさんは苦笑した。

 

「そんなに思いつめた顔をしていれば誰でもわかるわよ」

「我々も全てを話した訳ではありませんからね。

 サクヤ殿の秘密も、話す場合はもう少し我々の人となりを知ってからにするべきですよ」

「けど、僕の持っているこれは……」

「俺たちを害する危険のある物だ、ってか?」

 

 そこまでわかるのなら、知っているのと知らないのとでは違う、ということもわかる筈。

 

「ダガ、ソレを自分カラ伝えようトシテイル。ナラバ問題ハない」

「本当に私たちを害する気持ちがあるのなら、自分から伝える必要はないでしょう?」

「それが貴女たちの信頼を得る為だとしたら?」

「その時はその時よ。私たちの見る目がなかった、ということね」

 

 アルディラさんはそう言うが、あまり納得出来ない。

 とはいえ、言っていることはわからないでもないのだ。

 彼女たちの実力は、今の僕が何人束になった所で敵うものではないだろう。

 その気になればこの瞬間に僕の命を刈ることも可能だろう。

 

「……お前は優シイのダな」

「安心しろ。餓鬼に遅れを取るようなら護人は務まらねぇよ」

 

 ヤッファさんはそう言って僕の頭をかき撫でる。

 

「では、話を戻しましょう。

 ローテーションはどうします? 加えて滞在期間も決めるべきでしょう」

「一日ごとじゃ滞在の意味がねぇしな。まずは慣れる意味で一週間って所じゃねぇか?」

「ソノ後は様子を見テ変えレバ良イ、カ」

「最初に彼を見つけたのは家のクノンだし、まずはラトリスクね」

「ならば次は風雷の郷にしましょう。ゲンジ殿の話を聞くに、日本という国に一番近いのは風雷の郷のようですし」

「次は狭間ノ領域ダナ」

「で、締めはユクレス村か。まあ位置関係的にも妥当な所だな」

 

 ヤッファさんがそう締めくくる。

 

「島の案内に関してはまた別に日を設けるとして……」

「そろそろ日も暮れて来ますし、今日のところは解散ですね」

 

 キュウマさんの言葉を皮切りに、皆席を立つ。

 

「それじゃあ、貴方は私に着いて来て頂戴。

 夜になるとはぐれ召喚獣の活動も活発化するから、私の傍を離れないようにね」

 

 アルディラさんの言葉に頷き、その後について行く。

 これから先のことに色々と不安はある。けれど今は難しく考えるのはやめようと思う。

 考えたところでこの状況が好転する訳でもないのだ。なるようにしかならないだろう。

 とりあえずは【今】を精一杯生きるとしよう。

 

 




大変お待たせいたしました。
こんな状態では週刊なんて夢のまた夢ですね……。
もう少し計画的に作業が出来る様になりたいです(´・ω・`)

長々とあとがきを書くのも時間を圧迫しますので、今回はこれにて。
誤字・脱字報告やご感想など頂ければ幸いです。また次回更新にてお会いしましょう。
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