霊と踊る仙人が異世界を謳歌する   作:蔵元優輔

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第二十六話

岩隠れの里

 

土の国の隠れ里。 各地に存在する隠れ里の中でも特に強大な力を持つ忍五大国の隠れ里の一つ。

象徴となるマークは岩山を模している。岩山の多い山岳地帯に位置しており、この里出身の人物、特に男性はダンゴ鼻が多い。第二~三次忍界大戦では木ノ葉隠れの里と激戦を繰り広げた。 砂隠れの里と同様に影と上役の合議で政治を行うが、土影の発言力が強い。尾獣は四尾・孫悟空と五尾・穆王を擁していたが、二代目・無の時代よりほかの尾獣獲得も進めるようになる。第四次忍界対戦前までは五大国の中でも強大な軍事力を誇っていたが、『BORUTO』ではそれまでの市街地が戦争の影響で被害を受けたため、近くに新市街を建設し、そこを新たな岩隠れとしている。 若手の実力不足に加え、『BORUTO』開始の5年前に起こった抜け忍の襲撃で若手の忍者が多数戦死したことで里の戦力低下が他里以上に深刻な問題となっており、オオノキが人造生命体の研究を進める要因となっている。

 

「・・・俺が知る岩隠れの里の情報はこんなもんだな」

 

「うーん、『BORUTO』と言うのは、今から30年くらい先の物語だったな。その話以外は私の知ってる情報と同じだな」

 

「私も同じですね、この里はあまり情報が無いんですよね」

 

俺達はハンとの戦いの後、スムーズにに岩隠れの里に着いた。早速里を散策だ!と意気込んでいたが露店のおばちゃんがもうじき風が強くなり小さな砂嵐になると教えてくれたので早めに宿を決めて今日は休む事にした。おばちゃんが良い宿を教えてくれたのでそこに行き、手続きを済ませて今は泊まっている部屋で話し合いをしている。

 

「それじゃあ明日からは観光か?葉」

 

「ああ!それが俺の旅の目的だからなっ!」

 

「葉さん、楽しそうですね」

 

「あったり前よ!原作じゃ全くと言って良いほど描写がなかった岩隠れの里に今、自分が来てるんだからな!!そりゃ興奮するさ!!!」

 

「おお、葉が子供みたいになってるな」

 

「可愛いですね」

 

『葉殿は我々と初めて会った時も純粋な少年の眼をしていたでござるよ』

 

『そうだったな〜、アンナの女将に全員で地獄のコミューンの中を走らされてた時もキツそうではあったが笑ってたしな』

 

『そうだったそうだった!苦しさの中にも楽しさが混じってたな!』

 

『可愛かったわね』

 

パクラさんとサムイの可愛い発言から阿弥陀丸、蜥蜴郎、アバさん、エルザさんが話に入って昔話を始めた。

 

「し、しょうがないだろっ!!こっちは別の世界へ行く物語を山程読んでいて、自分がそれに当たるなんて考えてもなかったんだから」

 

「「分かった分かった」」

 

くぅ〜、2人共、やんちゃな子供を見るような目をしながら微笑んでるよ。

 

「・・・んん、話を戻すぞ?明日から里の観光をしていく。その中で老紫の話が聞けたら良いんだけどな」

 

「今回は積極的に探しに行かないのか?」

 

「出来れば探したいがな、岩隠れは俺が行く前の雲隠れ並に木の葉と対立してるからな。怪しい動きをしたら即座にオオノキさんが現れて、塵遁・原界剥離の術が飛んできそうだしな・・・」

 

「塵遁か・・・火・土・風の3つの性質を合わせて発動する血継限界の上の血継淘汰」

 

「二代目土影・無が独自に開発して三代目土影・オオノキさんが受け継いだ圧倒的な力」

 

「まぁこっちには、輪廻写輪眼の封術吸印があるから何とかなるけどな」

 

「・・・やっぱりハゴロモ様の力は反則だな」

 

「そうですね・・・私達だったら何も出来ずに消し炭にされますね・・・」

 

「まぁ妙な動きをしなければ大丈夫だろう。さて今日はもう休もう、明日は朝から里を散策だ」

 

そうして話し合いを終え、就寝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日から里の散策を開始した。屋台を食べ歩いて装飾品の露店で大人買いし、思う存分散策を満喫していた。

 

「いや〜やっぱり旅は楽しいなぁ〜」

 

「サムイ、また私達の旦那様が可愛くなってるぞ、とてもこの世界屈指の実力者とは思えないな」

 

「本当ですね。でも綱手様達に良い土産話がいっぱい出来ましたね」

 

『おおっ、坊っちゃまがあんなに楽しそうに。この馬孫も大変嬉しゅうございます』

 

『オメェも泣くなよ、馬孫・・・流石に大袈裟すぎだっての』

 

『牛鬼殿、そう言ってやりなさんな。我々は長い修練の時を共にし、葉殿の願いを聞いてましたからな。葉殿にとって物語の世界を実際に体感し、言葉を重ねることは憧れなのです』

 

『クックルクー!』

 

『ガルゥ!』

 

『(^∇^)』

 

『憧れかぁ〜、なら仕方ねぇよなっ!』

 

馬孫から始まり牛鬼、マタムネ、コロロ、ミック、モルフィン、重明が続々と話をしていく。持霊達や尾獣達も葉について話している。皆の側には空になった酒瓶が転がっており、もう宴会状態である。

 

『ふん、あんなに大はしゃぎしちまって、1000年の修行を経験しても、まだまだガキみてぇじゃねぇか』

 

『その光景を見ながら温泉に入り、お酒を飲んでるあなたが言えますか、九喇嘛?』

 

『本当ですよね、酒の隣に肴の油揚げが大量に乗っているお皿が見えますよ?』

 

『うぐっ!・・・温泉に浸かってんのはテメェらも同じじゃねぇか!?しかもブランデーなんて小洒落たもん飲んでよ!』

 

『周りには刺身やステーキって・・・しっかりガッツリいってんじゃねぇか・・・』

 

九喇嘛の憎まれ口に又旅と穆王がツッコミを入れるが九喇嘛が反論し、牛鬼がそれに乗っかる形で話に入ってくる。確かに、又旅や穆王の周りにはステーキやらフグの刺身やら豪華な料理が所狭しと並んでいた。

 

『いやぁ、私も来たばかりですが食事するということに、ハマってしまいましてね、又旅や葉君の記憶から色々調べたり教えてもらったりしてたんですよ』

 

『私も穆王に色々教えていたら更に食べる事にハマっちゃいましてね、景色を海にして浜辺でスイーツを食べながらのんびりしていますよ』

 

『お前ら・・・葉の記憶にあった湘南ってとこに行ってる女子みたいになってるぞ』

 

尾獣達の面白い会話を聞きながら里を散策していると遠くの方で人だかりが出来ているのが見えた。何だ?俺が不思議そうにしていたのを2人も気付いたみたいだ。

 

「何だ?あの人だかりは」

 

「そうですね、何でしょう・・・あのぅ、何があったんですか?」

 

「ん?おお、何でも小柄な爺さんがぶっ倒れたらしくてな?周りにいた忍の人が言うにはひどい腰痛持ちみたいでなぁ、前から何度かこういうことがあったらしいんだが今回はマジで動けないらしいんだよ。動かそうにも少しの振動もキツいみたいでな、それで今医者を連れてきてもらう事になったんだよ」

 

腰かぁ〜、そりゃ痛いよなぁ。俺も生前腰を硬い物にぶつけた事があったけど、マジで痛くて全く動けないからなぁ。

 

「そうですか・・・教えてくれてありがとうございます」

 

「ああ、じゃあな」

 

親切なにいちゃんに礼を言って別れた。

 

「さて、どうする?まぁ、その眼を見れば答えは決まっているようだがな」

 

「勿論助ける」

 

「そうですよね」

 

2人とも俺の答えを当然と言う感じだ。俺の考えが分かってくれて嬉しいな。そんな俺のことをよく見てくれている2人に嬉しくなりながら人だかりに向かって歩いていく。近寄っていくと人だかりの声が聞こえ出した。

 

「じいちゃんさぁ、いい加減引退したら?そんな体じゃキツいだろう?」

 

「じゃがましい!!!わしはまだまだ現役じゃぜ!!!」

 

「ああ、あんまり叫んじゃ駄目だに。」

 

集まってる人だかりの中には、先程聞いた通りの小柄なお爺さんが腰を抑えて蹲っている。その横に孫かな?と思われる女の子と丸鼻が特徴的な青年が横にいる。・・・話を聞いた時からもしかしてと思ってたけどやっぱり三代目土影・オオノキさんだよな・・・そんで横にいる女の子が黒ツチで横の男が赤ツチか。

 

「んじゃあそろそろ医者をさがしてくっか」

 

「あの〜」

 

取り敢えず声を掛けて見る。周りにいる忍がこちらに気付く。

 

「あん?何だ兄ちゃん」

 

「私、医術の心得ありますよ?診ましょうか?」

 

俺が医術の心得があることが分かって周りの忍達や赤ツチは大喜びし、黒ツチはしめたって言う顔をしている。

 

「よっしゃ、ラッキー!早速診てもらおうぜ!」

 

「そうだに!診て貰うだに!」

 

「わ、分かったから大声を出すな!腰にひ、響く」

 

周りの人達に促されるままオオノキさんの前まで来た。そして触診から始めたが、背骨が何個か潰れてんじゃねぇかって言うほどキテるな。これでよく8年後の戦争で前線に出てられたな、まぁ腰が壊れそうなシーンは何度かあったけど。

 

「ど、どうじゃ若いの」

 

「・・・かなり悪くなってますけど、何とかなりますよ」

 

「ほ、本当か!?」

 

「ええ、でも流石にこんな道端で治療を始めるわけにもいきませんから何処か横になれる場所に行きたいですね」

 

「じゃ、じゃがわしは痛みで動けんぞ?」

 

「大丈夫です。(エルザさん、気付かれないように憑依合体を)」

 

『(ええ、分かったわ)』

 

俺はエルザさんに憑依合体してもらい、ツボを押す動作と一緒にヒーリングの様な感じで患部を治療する。オオノキさんも痛みが引いたのが分かったみたいで、勢いよく起き上がって腰を確認している。周りの人達がいきなり起き上がったオオノキさんにあたふたしているが。

 

「お、おお!おおお!!痛みが引いたぞ!!!」

 

「「「「「「え?・・・・・・・・・・・・」」」」」」

 

「「「「「「え?ええええええっ!!!!!」」」」」」

 

「マジかよ・・・」

 

「凄いだに!!!」

 

『・・・凄いですね、シャーマンの治療術というのは』

 

『ああ、ハゴロモの爺さんも治療はやってたが、腰痛なんて細かいのを治療はしてねぇだろ』

 

「ああ、穆王と重明の言う通りだ。忍宗を広める為各地を巡った際に治療も行ったがな、葉の様に繊細な治療は余りしなかったな」

 

『そんだけ葉がスゲェって事だな』

 

穆王、重明、ハゴロモ様、牛鬼が俺の治療術について話していると、オオノキ様が物凄い形相で物凄い勢いで此方に向かって来た!そして俺の前で急停止し、俺の両手を勢いよく掴んできた。

 

「先生!ありがとうじゃぜ!痛みが消えた!こんなの何年振りかじゃぜ!!わしは土影のオオノキ!!!本当にありがとう!!!」

 

「は、はい。俺は麻倉葉です。そ、それで治療の件何ですが、今は痛みを抑えただけだから本格的な治療を行いたいんですが・・・」

 

「おお!そうじゃったな!ではついてきてくだされ、お前ら!行くぞ!!!」

 

そう言ってオオノキさんは宙に浮かんだと思えば中々のスピードで飛んでいってしまった・・・・・俺達を置いて。

 

「「「「「え?・・・・・オオノキ様!?置いていかないでくださいよ!!!!!」」」」」

 

「あんのジジイが・・・済まないね、あんた達。悪いんだけどあたし達に着いてきてくれるかい?案内するから」

 

「ええ、勿論ですよ。お願いします」

 

そうして慌て蓋巻いてる岩隠れの忍達と共にオオノキさんを追いかけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、土影の屋敷に着いてオオノキさんと合流し、護衛の人にめっちゃ怒られていた。まぁ、護衛忘れて飛んでいっちゃったからな。しょうがないか・・・その後、同じ方法で治療を行い、一週間程やれば完全に治りますよと言ったら、オオノキさん含め、その場にいた全ての人が是非お願いします!!!!!とお願いされた。

 

それから一週間、オオノキさんの治療をして、それ以外の時間に、里の案内をオオノキさんと護衛の人や黒ツチちゃん達がしてくれた。因みに自己紹介はオオノキさんが怒られた後に行った。パクラさんとサムイの自己紹介の時に考える仕草をしていたのだがその時に追及はなかった。治療が終わった辺りでするつもりだろうからそれまで待っていよう。

 

 

ある時は赤ツチの行きつけの焼肉屋に連れて行って貰ったり・・・

 

「このお店のお肉は最高なんだに〜」

 

お店の説明をしながら物凄い勢いで肉や野菜、米を平らげていく赤ツチ。そして腰が良くなっていき全体的に体調が良くなったオオノキさんも60代とは思えない勢いで焼肉をがっついている。

 

「何の!若いもんにはまだまだ負けんっ!」

 

「おいジジイ!流石に歳考えろって!」

 

「土影様!お身体を労わりながら食べてください!」

 

護衛の黄ツチさんが悲惨な叫び声を出してる、まぁ、60代のお爺さんが焼肉がっついてたら心配するよな。それが里のトップの土影なら尚更か。

 

 

 

またある日には黒ツチちゃんが仲がいいと言う兄貴分を紹介するよと言っていたのでオオノキさん等と一緒に待ち合わせの場所に向かっている。・・・黒ツチの兄貴分ってあいつか?

 

「お〜い、デイダラ兄〜!」

 

「ん?おお、来たか・・・うん」

 

イタチの外伝で見た時よりもう少し幼い、後に最悪のテロリスト集団「暁」に入るデイダラがそこにいた。

 

「おお!あんたらがオオノキのジジイの腰直したって言う奴か!オイラはデイダラ、芸術家だ・・・うん」

 

「俺は麻倉葉だ、宜しくな」

 

「私はパクラだ」

 

「私はサムイ、宜しくね」

 

「おうよ!」

 

デイダラは満面の笑顔で挨拶してくれた。こんな好青年が数年後に「暁」に入るなんて信じられないな。それから空いた時間でデイダラの作品を見せてもらったりした。デイダラとは思ったより話が合った、やっぱり男はこう言うのに弱いよな!

 

 

そうして時が経つのは早く、治療を始めて1週間が経った。俺達はオオノキさんの屋敷で最後の仕上げを行った。

 

「・・・よし、もう腰の方に異常は無いですね、これでもう腰痛は完治してますよ」

 

「おお!本当に何度礼を言っても足りんわい!葉殿!本当にありがとうじゃぜ!」

 

「いえいえ、無事治って良かったですよ、オオノキさん」

 

「これで、まだまだ現役で動けそうじゃぜ!」

 

この爺さん、まだ現役でやっていこうとしてるよ・・・ヒルゼンさんは、その前にミナトさんを選んだってのに・・・

 

「余り1人で抱え込まないでくださいよ?後釜を育てるのも貴方のやる事なんですから」

 

「おう、そっちの方もしっかりやるわい!せっかくまだまだ動けるんじゃ、しっかりしごいてやるわい!」

 

オオノキさんの言葉でこの場にいる岩隠れの皆さんがゲンナリしている・・・頑張ってください。

 

「さて、わしのことはもう良いじゃろう。今度は・・・其方らのことを教えてもらえるかな、葉殿」

 

オオノキさんの目付きが変わった、好好爺のオオノキさんから岩隠れの里三代目土影・「両天秤」のオオノキへと。それに合わせて岩隠れの忍の皆さんが真剣な目で此方を見る。

 

「・・・ええ、勿論お話ししますよ、オオノキさん。俺達も聞いて欲しいことがあるんです」

 

いよいよ、岩隠れとの話し合いが始まる。

 

 




次回は岩隠れとの話し合いと老紫の話を書いていきます

もう少し早く投稿できる様、頑張りますので宜しくお願いします

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