霊と踊る仙人が異世界を謳歌する   作:蔵元優輔

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遅くなりました。


第四十三話

前回、俺達は木の葉に帰還してミナトさんの元に任務達成の報告と再不斬と白を紹介した。そしてヤマト達第十一班を邂逅し白が加わり再不斬が担当上忍となることとなった。それから一ヶ月程経ち、ナルト達第七班と香燐達第十一班は大女優の富士風雪絵が主演の映画『風雲姫』のチケットを担当上忍から貰い映画を鑑賞する。映画を見終わり談笑していると映画の風雲姫そのままの女性が黒装束の集団に襲われている場面に出くわす。6人で協力し富士風雪絵を救う事には成功するが、ファンにも横柄な態度を取りながら去って行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後任務の話をする為に集合場所に向かった俺とカカシと再不斬は黒尽くめの集団を捕まえているナルトを除いた第七班と第十一班を見つける。

 

「なーにやってんのよ、お前等」

 

「いや〜、私達にもよく分かんないんですけど、先生から貰ったチケットで、映画を見て集合場所で喋りながら待ってたんです。そしたら」

 

「風雲姫役の富士風雪絵見たいな人が、この黒尽くめの奴らに追われてたからそれぞれ応戦したんだ」

 

「ああ、そゆ事」

 

「ま、そんな現場を見たらそうなるわな」

 

まぁ白昼堂々、誘拐未遂に出会したらそうなるわな。

 

「それじゃあ、ナルトの方に行くか?」

 

「そうですね、再不斬、悪いんだけどこっち任せて良い?」

 

「ああ、こっちはやっておくからさっさと行ってこい」

 

俺とカカシはこの場を再不斬に任せてナルトが向かった方向へ行く。道中ナルトが無力化した関係者さんもいたので影分身に合流場所まで運んでもらってまた進み始める。建物の上を移動してるとナルトがある店の前で困ったように項垂れているのが見えた。そして俺達はナルトの近くに降りた。それに気付いたナルトが振り向く。

 

「おっ!葉の兄ちゃん!カカシ先生!丁度良かったってばよ!」

 

「ん?どしたの、ナルト?富士風雪絵さんは?」

 

「この店ん中だってばよ」

 

「このバー?」

 

俺が聞くとナルトは頷く。ここが映画でカカシが写輪眼で眠らせたバーか。

 

「あのさ、あのさ。兄ちゃんに先生、一体何がどうなってんだってばよ?」

 

「それについてはこれから全員に説明するまで待ってくれ。今は雪絵さんを連れてかないとな」

 

「でもあの姉ちゃん、かなり頑固そうで着いてきてくれそうに無かったぞ?」

 

「ま、そこは任せてよ。ナルトは先生と待っててね」

 

そう言ってカカシは店の中に入って行った。

 

「なあ、兄ちゃん?カカシはどう説得する気なんだ?」

 

「う〜〜ん、説得しないんじゃ無い?」

 

「えっ?それってどう言う」

 

ナルトが聞いてこようとしたらカカシが出てきた。意識の無い雪絵さんを肩に担いで、

 

「良し、行くぞ」

 

「な?」

 

「ええ〜〜〜」

 

 

 

 

 

俺達が雪絵さんを連れ帰ってから、カカシと再不斬が今回の任務について説明を始める。

 

「今回の任務は風雲姫を演じる映画女優、富士風雪絵さんの護衛だ」

 

「今度の風雲姫は初の海外ロケなんスよ。でも、肝心の富士風雪絵があの調子でね〜」

 

続けて、その風雲姫シリーズの総括であり、映画監督でもあるマキノが感心した声音で、

 

「それにしてもさすが木の葉の忍者だ。ボディーガード兼スタントマンとして雇っていたうちの手練れ共を、ああも簡単にやっつけちまうとはな」

 

「「あ〜〜、ごめんなさい」」

 

下忍達は褒められているのか、怒られているのか分からず、まず謝った。先ほどの鎧武者達は、仕事の途中で逃げ出した風雲姫あらため、富士風雪絵を追いかけていた、善良なスタッフ達だったのだ。町中であんな格好した連中を見かけても、悪者にしか見えないのだが。話題を変えようと、サクラはスタジオ内を見回し、ある写真を見つける。

 

「これ、凄い絶壁ですね」

 

そこに映っていたのは、一面の氷の世界だった。見たこともない大きさの氷壁。しかも、その氷壁は一つだけではなく、六柱も存在していた。氷に縁のあるハクから見ても、幻想的な風景であった。

 

「今度の完結編はそこで撮影するんすよ」

 

「なるほど。凄い映画になりそうですね」

 

「ここにいる、マネージャーの三太夫さんのオススメでね」

 

助監督に三太夫と呼ばれたマネージャーがこちらに頭を下げる。老眼鏡をかけた優しそうな人だった。

 

「それは雪の国にある虹の氷壁と言って、春には七色に輝くのです」

 

「それは是非見てみたいですね」

 

三太夫の説明に興味を示す女性陣。そこにサイもスタッフに質問する。

 

「あの。こんな凄い映画の女優役に抜擢されているのに、雪絵さんはどうして逃げたんでしょうか?」

 

「さあ? 雪絵ちゃんはやる気とか、あんまりない子だからね」

 

サイの質問に首を傾げるスタッフ達。すると、会話に耳を傾けていたマキノが厳かな声音で口を開いた。

 

「だが、仕事をすっぽかすような女じゃなかった。私生活がどうだろうが知ったこっちゃない。カメラを向けた時に最高の演技が出来りゃ文句はねえ! あいつは生まれついての女優だ」

 

マキノの重い言葉に、場が静まる。その言葉に付け足すようにスタッフの一人がぼそりと呟いた。

 

「……そういや、雪の国に行くと言ってからですよね? 雪絵が逃げ回るようになったのは」

 

雪絵の仕事に対する姿勢には難色を示すスタッフ達。だが、監督の言う通り、女優としての才能は誰もが認めている事実であった。さらには、今は逃げ回ってばかりいるが、それも雪の国に行く話が出てかららしい。スタッフ達もどうしてか疑問に思っているみたいだ。

 

 

 

 

 

 

窓から差し込まれた光に、雪絵は気怠さを感じながらも、目を開け、ベットから身体を起こした。酒を飲み過ぎた性なのか、頭がクラクラしている。気のせいか足元もおぼつかない。暫くすると、雪絵が目覚めたことに気づいたのか、扉をノックする音が聞こえた。鍵を開けると、マネージャーである三太夫がお盆を抱えて部屋に入って来る。その姿をちらりと確認してから、雪絵は片手を額にあて、

 

「三太夫、お水持ってきて。頭がクラクラする、気のせいかまだ揺れているみたいな感じ」

 

「それは気のせいではございません」

 

雪絵に水を差し出しながら、三太夫は静かに応えた。

 

「え?」

 

そこで雪絵は冷静になる。自分が眠りにつく前の状況を思い出す。雪の国へ、出航・・・慌ててベッドから飛び降り、扉を開けた雪絵を待っていたのは、絶えず吹き荒れる風と一面の海であった。

 

「何なのよ、これ〜!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪絵が起きた知らせを受け、船の上では映画を撮るための準備が進められていた。様々な小道具に、いくつものカメラ、スタッフ達が慌ただしく動いている。

 

「うう〜、ここまで来るともう寒いわね〜」

 

「そうだね、それだけ雪の国に近づいたって事だね」

 

「お〜、寒々〜」

 

サクラが手に息吹きかけながら寒さについて話し、サイや香燐が続く。

 

「う〜、俺あの姉ちゃん苦手だってばよ」

 

「確かにお前から聞いた印象だと怒った時のクシナさんに似てるな」

 

「そうだね〜、俺も昔っからあの人達を知ってるから何となく苦手ではあるな〜」

 

ナルトは、火に当たりながらげんなりしながら雪絵の印象を話しており、サスケとカカシもその印象に同意した。やっぱり『赤い血潮のハバネロ』は怖いからな。

 

「お前等、少しは体を動かしておけ。いつ何が起こるか分らねぇんだからな」

 

「そうですね、これから氷山なども出てくる筈です。気をつけなければなりませんね」

 

「「「「「は〜い」」」」」

 

再不斬に言われて下忍の6人はストレッチなどをして体を温めておく。

 

「いやいや〜、再不斬君も先生が板についてきたんじゃ無い?」

 

「五月蝿えぞカカシっ!、なんだかんだで一ヶ月近くも同じ班やってんだ。少しは慣れんだろ」

 

「いや〜やっぱり俺の目に狂いは無かったな!お前さんは見た目と言動は野蛮さがあるが、面倒見は良いと思ってたんだよ!!」

 

「テメェも黙れ、葉!テメェが四代目火影に推薦しなけりゃ鬼人と恐れられた俺様が畑仕事だの隣町へのおつかいなんて事しなくて良かったんだっ!!」

 

「だ〜ってよ〜、そしたら白君が可哀想じゃ無いか、やっと逃げなくて良くなるんだ。だったら同じ班で過ごせるようにしてあげたいじゃないか」

 

「ちっ・・・それについては感謝してるよ」

 

「再不斬さん」

 

「「「「「「ふっふっふっふっふ」」」」」」

 

「おいっ!?白以外何にやついてんだっ!!」

 

そんな会話をしている間に、撮影の準備が終わり、ついにカメラが回り始めた。

 

「よし! 気合い入れてけ! テストからフイルム回していくぞ!」

 

「おう」

 

「はい! シーン23、カット6、テイクワン。アクション!」

 

その瞬間。富士風雪絵は風雲姫になる。

 

「獅子丸、しっかりして!」

 

風雲姫は今にも事切れそうな獅子丸の服を掴み、必死な声音で呼びかける。そんな姫の顔を焦点の定まらない瞳で見つめ、獅子丸は最後の命を振り絞り、

 

「姫様、お役に立てず、申し訳ありません」

 

「何を言うのです! あなたのお陰で私達はどれ程、勇気づけられてきたことでしょう」

 

「姫様、一緒に虹の向こうを見たかった」

 

「獅子丸っ!!」

 

圧倒的な空気。場の流れの全てを風雲姫が支配していた。まるで、自分達まで"映画の世界に入り込んだ"と、忍であるナルト達が錯覚を覚えるほどに。とても演技とは思えなかった。先ほどまで文句ばかり言っていた再不斬とナルトですら言葉をなくし、息を呑んで、

 

「すげェな、今までの我が儘な女とは別人じゃねーか」

 

「現実の姉ちゃんとは全然違うってばよ」

 

雪絵の作る世界に、完全に引き込まれていた。そんなナルト達に向かって、淡々と、でもどこか誇らしげに三太夫が語る。

 

「あれが雪絵様です。一旦カメラが回り始めたら、あの方の演技の右に出るものはおりません」

 

その言葉に無言で頷くナルト達。雪絵の一挙手一投足から視線を外せなくなっていた。これが映画女優の実力。雪絵の評価を改めていた時、

 

「はい、止めて〜」

 

撮影が開始される前の雰囲気に戻った雪絵。スタッフ一同が思わず、がくっとずっこける。

 

「「「はあ?」」」

 

「何なんッスか?」

 

打ち合わせでもしていたかのようなリアクションをとるスタッフ達を無視して、雪絵が手招きをする。

 

「三太夫、涙持ってきて、涙」

 

慌てて目薬をさしに行く三太夫。

 

「こぼれる、こぼれる、早く回して」

 

「しょうがねーな。おい、寄りで抜くぞ」

 

マキノの指示で撮影が再開される。あまりのギャップに、現実へ引き戻されたナルト達が雪絵の評価を改めるのは、もう少し先の話であった。

 

 

 

 

次の日、目を覚ました一同に待ち構えていたのは、氷で出来た島だった。

 

「監督〜 大変ッス! 進路が塞がれてるッス!」

 

船の進む先に、小さな山ほどの氷が壁となっており、海路の足止めをしていた。舵を切ろうにも、辺り一面が氷に覆われており、遠回りになるのは必然的である。

 

「どうしましょう?」

 

予定外の事態に慌てた様子の助監督。しかし、マキノは助監督の言葉には応えず、ただ真っ直ぐに氷山を眺め、目を見開き、叫んだ。

 

「きたーー!! 化けるぞ! この映画!」

 

「えっ? 監督?」

 

「バカ野郎!! 見ろ! この絶好のロケーションを! ここでカメラを回さねえでどうする!」

 

「ええ!?」

 

「こういうのを映画の神様が降りてきたっていうんだ! 総員、上陸準備!!」

 

マキノの一言で、船にいた一同全員が氷の大地へ降りることになった。慌ただしくも、スタッフ達は慣れた手つきで撮影道具を用意していく。準備が整ったところで助監督がシーンナンバーを叫び、

 

「シーン36、カット22、アクション!」

 

映画・風雲姫の撮影が始まった。

 

「くははは、ついにここまで来たか、風雲姫!」

 

毎度お馴染みの高いところから、杖を振り上げ、風雲姫を見下ろす魔王。

 

「お前は、魔王!」

 

「姫様、お下がり下さい!」

 

「奴はオレ達が!」

 

姫を守ろうとする家来達。そんな相手に魔王は不敵な笑みを浮かべ、

 

「クズどもが何人束になろうと、ワシの相手になるものか!」

 

魔王が指を突き付けた瞬間、氷山の一部が爆発した。

 

 

 

 

 

 

その爆発は演技でもなければ、演出でもない。それは再不斬の投げ込んだ起爆札付きのクナイによるものであった。雪絵の前に立つ再不斬とその横にいるカカシに、事態を理解出来ていない助監督が文句を言う。

 

「何してんだよ! あんたー!」

 

「うるせーな。死にたくなかったら全員今すぐ船の中に引っ込め!」

 

「どうやら招かれざるお客さんが、来ちゃったみたいなんでね」

 

雪絵達に背を向けたまま、再不斬は怒声を上げる。何故なら、それほどまでに緊迫した事態が目の前に迫っていたからだ。その直後。爆発が起こった箇所の雪が不自然に盛り上がり、そこから白い鎧を身に纏った長身痩躯の男が姿を現した。

 

「ようこそ、雪の国へ」

 

「お、お前はっ!?」

 

「何だ?知ってんのか?カカシ、誰だか知らねーが、オレ様と殺ろうって!?」

 

そこで再不斬とカカシは、まだ敵がいるのを察知する。そちらに顔を向けると、白い鎧を身に纏った小柄な女が立っていた。気配の消し方からみて、間違いなく忍だ。そのくノ一が雪絵に顔を向けて意味深な発言をする。

 

「歓迎するわよ、小雪姫。六角水晶は持ってきてくれたかしら?」

 

「小雪姫だと?」

 

 




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