霊と踊る仙人が異世界を謳歌する   作:蔵元優輔

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前回の続きです。


第四十四話

前回、雪絵さんを無理やり船に乗せて俺とカカシ隊第七班と再不斬隊第十一班は雪の国への任務に向かった。道中巨大な氷の島に遭遇し、監督のインスピレーションが刺激され映画のワンシーンを撮ることとなった。しかしその現場に招かれざる客が現れた。

 

 

 

聞いたことのない名に、再不斬は首を捻る。どうやら突如現れた忍達とカカシ、そして護衛対象である雪絵には、再不斬達の知らない因縁があるらしい。

 

「(こいつ等に浅からぬ因縁ってやつがあるみてぇだな)チィッ、まだいやがったのか」

 

今度は少し離れた地面の下から敵の気配を察知する。バレたことに気づいたのか、大柄の熊みたいな男が自ら這い出てきて、

 

「はははは、さすがは桃地再不斬! これ以上は近づけないか!」

 

白い鎧を身に纏い、雪の中から姿を現した。その後、数十人の雪忍が現れる。さすがに幹部級の三人の相手をしながら雪絵を守るのは不可能と判断した再不斬は、

 

「お前等!雪絵を守れ! そしてさっきも言っただろうがァ! テメェら死にたくねーなら、とっとと船に戻りやがれ!」

 

部下達に指示を出し未だに突っ立っているスタッフ達に少し殺気を浴びせた。ようやく状況を理解した連中が、急いで船に戻り始める。すると、それまで黙っていた長身痩躯の男が、

 

「オレは雪忍のナダレだ。お見知り置きを、霧隠れの鬼人・桃地再不斬。さてお前達にはオレの相手をしてもらおう。フブキ、ミゾレ、お前達は小雪姫を頼んだぞ」

 

名乗りを上げた後、くノ一のフブキと熊男のミゾレに指示を出し、此方の方へ近付いてきた。カカシと再不斬もそれに応えるように、雪山を駆け上がり、

 

「まさか、またお前と会う事になろうとはな」

 

「クククク、オレを知って喧嘩売るとは命知らず知らずな野郎だ」

 

「カカシ、何時ぞやの決着をつけさせてもらうぞ?それに、霧隠れの鬼人の力、試させてもらおう」

 

そう言った途端。首斬り包丁を構え、切り込むカカシと再不斬。それを鎧の籠手で受けるナダレという男。3人は、は何度も攻防を繰り返し、氷山を上がっていく。それを見ていたナルト達は雪絵を卍の陣で囲む。

 

「なんだかわかんねぇが、映画みたいになってきたぜ! 風雲姫の姉ちゃんは俺達が守ってやるってばよ!」

 

「良いか、皆はツーマンセルで動け。ナルトとサイ、サスケと白、サクラと香燐だ。俺が雑魚はやってやるから暴れてこい!サクラ、香燐一緒に来てくれ」

 

「「「「「「了解っ!!」」」」」」

 

俺の号令で6人が動き出し、雪忍の一人である熊男のミゾレがスノーボードに乗って、雪絵を狙いに向かって来た。ナルトはホルスターからクナイを取り出し、これ以上の接近を許さないと、先に攻撃を仕掛けた。真っ直ぐこちらに突っ込んで来たミゾレに向かって、クナイを投擲する。しかし、ミゾレはナルトの放ったクナイに眉一つ動かさず、避けようとすらしなかった。何故なら躱す必要がなかったからだ。ナルトの放ったクナイは、ミゾレの体に当たる直前、何か見えない不思議な力に弾かれ、無力化された。ミゾレは薄ら笑いを浮かべ、

 

「行くぞ、小僧共!」

 

雪上を滑るスノーボードが加速し、そのスピードのままナルトに突進してきた。

 

「ナルト、乗って!」

 

サイが鳥獣戯画で出した鷹に乗り、ラリアットをしてくるミゾレからナルトを救う。

 

「忍法・鳥獣戯画!」

 

サイが墨の狛犬を出し応戦するも、またもや見えない力で弾き飛ばされる。その様子を見ていたサスケと白がナルトとサイを援護しようとしたところ、

 

「アナタの相手はこっちよ!」

 

白の方にも雪忍の一人である、くノ一のフブキが術を繰り出してきた。

 

「氷遁・ツバメ吹雪!!」

 

氷でできた無数のツバメが、サスケと白を切り裂こうと縦横無尽に襲いかかる。なんとか回避した2人だが、その顔には困惑と驚愕の色が混じりあっていた。

 

「氷遁!? バカな! あれは雪一族にしか使えないはず」

 

雪一族。

白の一族の名であり、忌々しい血継限界の血筋を宿す一族。水の国で血継限界を持つ者は悪魔と称され、忌み嫌われ、恐れられていた。雪一族も例外に漏れず、終戦後まで利用され、その後は守ったはずの人々からは迫害に遭い、白の母親を含め自分以外の一族は滅んだ。少なくとも白はそう聞かされていた。だからこそ、自分以外の忍が氷遁を使ってきた事実は驚愕に値する出来事であった。常に冷静沈着な白が戦闘中にもかかわらず、狼狽してしまうほどに、

 

「いや、そうとも限らないぞ」

 

「えっ?」

 

だがそこにサスケが待ったをかける。

 

「葉兄さんが言ってたろ。六道仙人は全ての性質を自然に操ると、そして六道の系譜で血が濃かった綱手姉さんの千手と俺達うちはが特に超常的な強さを持っていた。ならば、それぞれの性質の血筋が世界に分散し、雪一族と同じ氷遁の血筋が他の土地にあってもおかしくない」

 

「なるほど、確かにそうですね。取り乱してすいません」

 

「気にするな、俺も写輪眼のような眼が他の国にもあるか兄さん達に聞いた事がある」

 

だが、敵はそんな隙を待ってはくれない。

 

「氷牢の術!」

 

巨大な氷の柱が次々と地面から出現し、白やサスケを捕らえようとする。

 

「ちっ、火遁・豪火球の術!」

 

サスケが豪火球の術で反撃するも、フブキは自身の前に氷の壁を作り、いとも簡単に防いでしまった。

並大抵の攻撃では通用しないらしい。

 

「いいでしょう、僕も氷遁で負ける訳にはいきません」

 

白は印を結び、自身の後ろとフブキの後ろに氷の鏡を作る。鏡の反射を利用した移動術で氷の柱を避け、フブキの背後を取った。

 

「なに!?」

 

「これで決めさせてもらいます」

 

勝負を終わらせようとする白だが、相手の方が一手早く、逃げる準備を済ませていた。鎧に備わっていた羽を使い、フブキはその飛行能力で空へと飛び去っていった。

 

一方、ナルトはミゾレの体格にそぐわない、地形とスノーボードを利用した、この国で特化した素早い戦闘スタイルに翻弄されていた。サイと共に空中戦をしていたが千日手になっていたので分かれて遠近双方から攻めるようにしていた。それでも何とか気合いで食らいついていたのだが、慣れない雪の上での戦闘も相まって、ついに動きを捉えられ、

 

「ぐはっ!」

 

雪の壁に激突するように殴り飛ばされた。戦況の悪化を見て取った再不斬は、印を結びながらナルトの援護に向かい、

 

「ナルト! クソっ、水遁・水龍弾の術」

 

水の水龍が氷の下から出現し、ナルトを追撃しようと迫っていたミゾレの頭上から勢いよく襲いかかる。しかし、その再不斬の術すらもミゾレは避けようとせずに、ただ掌を向けるだけで、

 

「フン」

 

打ち消してしまった。水龍は欠片の殺傷力も持たないただの水となり、雨となって降り注ぐ。

 

「命に代えても撮り続けろ! 写真屋の意地を見せてやれ!」

 

再不斬達が苦戦している中、マキノ達は逃げながらも忍達の闘いを一部始終逃さないように撮影を続けていた。再不斬とカカシは殆んどの船員が避難し終えたことをその耳で確認し、目では敵である雪忍達を見据えていた。

自分の術がいとも簡単にかき消されたことに再不斬は舌打ちし、

 

「チッ、どういうことだ? オレ様の首斬り包丁でも殆んど傷つかねぇどころか、忍術まで無効化しやがるとは・・・そのガラクタに秘密でもあるのか?」

 

「ああ、あれは雪の国が忍者用に開発したチャクラの鎧って奴だ」

 

「チャクラの鎧だと? そんな物、霧隠れにも、いや、五大国のどこにも作られていねー物だろ」

 

「その通りだよ、再不斬」

 

再不斬の疑問に応えたのはナダレだった。ナダレは自身が身に着けている白い鎧について説明を始める。

 

「このチャクラの鎧は体内のチャクラを増幅し、様々な術を強化してくれる。さらに、体の回りにはチャクラの壁が作られ、どんな忍術、幻術も通用しない。五大国が最強を名乗ってられるのも今のうちだけだ。時期に我々が忍の頂点に立つことになる」

 

と、丁寧に説明してくれたのは有り難いが、あまりの理不尽な能力に再不斬は眉を寄せ、

 

「ご大層なご託を並べやがって」

 

「ご託かどうか、試してみろ。桃地再不斬」

 

「クククク、いいだろう。やるぞ、カカシっ!」

 

カカシ、再不斬とナダレが同時に術を発動する。

 

「「水遁・水龍弾!!」」

 

「氷遁・破龍猛虎!!」

 

水の龍と氷の虎が激突する。だが、その二つが拮抗することはなく、再不斬の放った水龍は瞬く間に押し切られ、ナダレの術だけが再不斬に襲いかかった。しかし、それは当然の結果であり、と一緒に修行してきた再不斬にとっては当たり前の光景であった。カカシの水龍は2人の術を避けナダレに向かったがやはりナダレに当たる寸前で掻き消える。再不斬は相手の術を避けながら、しっかりとそれを観察する。

 

(チッ! マジで氷遁忍術だな。白以外にも使い手がいたとはな。しかも、オレ様と相性最悪ときていやがる)

 

氷遁忍術は水と風の性質を持ったチャクラを同時に使用することで発動する血継限界。水のチャクラに風のチャクラが組み込まれた性質変化。逆も同様で、つまり水と風の忍術では基本的に氷遁には絶対とまではいわないが、押し負け易いことが性質上決められていた。あくまで術のレベルが同じで、なおかつ正面からぶつかった時の話だが、

 

再不斬がナダレとの闘いに苦戦していた頃。

サスケはナルトに代わり、雪絵を狙って来たミゾレの相手をしていた。

 

「どうした小僧! その程度か!」

 

「くそっ! 面倒なもん付けてやがんなっ!!」

 

サスケは俺の勧めで修行し始めた刀で応戦し、新たに習得した雷遁チャクラを纏わせた得物で戦うが、相手のチャクラの鎧の効果で雷遁チャクラは殆んど防戦一方の戦いを強いられていた。このままでは不味いと判断したサスケは、未だに一人で突っ立ている雪絵に向かって、

 

「雪絵さん!早く逃げてくれ!!」

 

と、撤退を促す。だが、その声が聞こえていないのか、雪絵はただ立ち尽くし忍達の闘いを見ていた。すると、そんな雪絵を助けるため、後ろから三太夫が一目散に駆けつけに来て、

 

「姫様、御逃げ下さい! さあ、早く!」

 

と、腕を引っ張る。その、あまりにも必死な三太夫の姿を見て、雪絵はようやくこのマネージャーが、雪の国で撮影をしようと言った本当の理由を理解した。

 

「三太夫、あなた」

 

「さあ、姫様! このままでは危険です!」

 

「嫌よ! 死んだって構わない! 雪の国になんか行かない!」

 

頭を抱えて、悲痛な表情を浮かべながら、雪絵は拒否の言葉を叫んだ。そこに、俺と下忍組6人が戻って来る

 

「我が儘言ってんじゃねーぞ、姉ちゃん!」

 

「ナルトくん、何か訳ありのようです。訳は後で聞くとして今は逃げることに専念しましょう」

 

「・・・わかったってばよ、影分身の術!」

 

ナルトは影分身を作り、雪絵や三太夫を含めた逃げ遅れた人達を抱えて、船の中に戻って行った。そのやり取りを見ていた俺は、近くに来ているカカシと再不斬に戻るよう言う。

 

「カカシ、再不斬。お前達も戻れ、殿はオレがやる」

 

「分かりました」

 

「どうすんだ?奴らもしつけーだろ」

 

「問題ないよ、いっちょ派手に行くさ」

 

と、全員を撤退をさせてから、俺は最後の仕込みに取り掛かる。それを察したナダレが俺の前に立ちはだかる。

 

「オレから逃げられると思っているのか? 小僧」

 

「こっちも色々話し合わなきゃいけない事が出来たんだな。ここらで御開きにさせてもらうよ」

 

俺が腰を下げて構えたのを、ナダレは余裕の表情で眺めている。随分余裕じゃねぇか。

 

「写輪眼のカカシや鬼人・桃地再不斬のように名の知られてない貴様が我等を止められると? 」

 

「ああ、思うさ。行くぜ、孫悟空!」

 

『おうよっ!!』

 

俺と孫悟空はチャクラの衣を纏い、一気に状態2まで持っていく。

 

『「ウキキーーーっ!!!」』

 

「な、何だ、貴様は!」

 

『「さあて、そんじゃあサヨナラだ」』

 

「ちぃ、氷遁・一角白鯨!!」

 

「華火山!!!」

 

俺は頭上から迫ってくる巨大な白鯨に向かって火山の噴火の如き技を繰り出す。地上から溢れ出す溶岩の奔流に白鯨は一瞬も耐えられず蒸発し雪忍達はその様子を見ながら速やかに撤退していった。

そして俺は六道仙人モードで浮いて船まで戻っていく。

 

「うっわ、何あれ」

 

「凄いですね」

 

「お兄ちゃん、エグいって」

 

「正しく火山の噴火」

 

「よっしゃ〜!やっぱスゲェぜ!葉の兄ちゃん!!」

 

「これで暫くは大丈夫か」

 

「いや〜、これまたド派手な」

 

「ああ、こう言うのを見るとあの時本気で挑まなくて良かったと思うぜ」

 

戻ってきたらサクラ、サイ、香燐、白、ナルト、サスケ、カカシ、再不斬が呆れ混じりでこっちを見ている。何だよお前等、ちゃんと助かったろ。

 

「カーットォ!」

 

「いや〜、凄い映画が撮れたなぁ」

 

そんな中今までの映像を撮り続けていた監督がカットをかける。噴火した活火山の近くにいたようなもんなのに肝が据わったひとだなぁ。

 




遅くなってしまいましたが次回も雪姫忍法帖、まだまだ続きます
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