前回、俺は柱間さんを皆から遠ざけて俺の事をある程度話した後、柱間さんの提案でタイマンの腕試しという名の怪獣大決戦が始まった。お互い技や技術を駆使して戦い、木人の術や須佐能乎、更には柱間さんの切り札、仙法木遁・真数千手が現れたが、俺もスピリット・オブ・ファイアとの甲縛式オーバーソウル、スピリット・オブ・ファイア暁月を繰り出しこれを撃破した。
俺達に背中を押されて試験会場を出たナルト、サクラ、シカマル、キバ、サイは忍法・鳥獣戯画の鷹に乗って移動しながら作戦会議をしていた。
「キバ、どうだ、砂の奴らは探知出来てるか?」
「ああ、バッチリ捉えてるぜ!」
「よっしゃあ!このまま一気に追いついてやるってばよ!!」
「アンっ!」
「っ!おいっサイ、スピードを上げてくれ」
「どうしたの!」
「まさかもう追っ手が来たのかい?」
ナルトの意気込みの直後、キバがサイにスピードを上げるよう言ってきた。それにサクラとサイが聞き返す。
「ああ、後ろから2小隊8人・・・いや、更にもう1人、9人が追ってきてやがる」
「ちっ、思ったより速いな」
「俺達はサイの鳥獣戯画に乗っているからな。足跡とかの痕跡が無いからまだまだ離れているが、それでもこっちに近づいてきてるな」
「そうなると中忍以上の可能性があるな。追いつかれたら面倒だ」
「どうする、シカマル?待ち伏せしてやっちまうか?」
キバからの情報を聞きシカマルは考え出す。それにナルトは待ち伏せによる奇襲を提案する。
「・・・微妙なとこだな、相手は元・木ノ葉の忍びだった大蛇丸の部下だからな」
「やっぱり難しい、わよね?」
「ああ、待ち伏せはむちゃくちゃやる側が有利な基本戦術だが2つの必須条件がある。第1に、逃げ手は決して音を立てずに行動し先に敵を発見する!」
続けて2つ目の説明に入る。
「第2に、追っ手の不意を狙え、確実なダメージを狙える場所(ポイント)・位置(ポジション)を獲得し素早く潜伏する・・・この両方が確実になされて初めて待ち伏せは有効になる」
シカマルの話に全員が頷き、続きを促す。
「第1の方はキバと赤丸がいるから何の問題もねえ。第2の方も自国の里であるオレ達の方が一見地理をよく知っていて不意を突くのに最もいい位置(ポジション)を獲得できそうだが、木ノ葉にいた忍びの部下がいるんじゃこの手は使えない」
「全く使えないまで行くの?」
「いや、全く効果がないってわけじゃねえんだけどな・・・追っ手の奴らはこの里の地形を教え込まれ、この戦いの為に模擬練習を重ねてきた追跡術を叩き込まれた奴らばっかりだろうからな。確かに待ち伏せは有効かもしれないが、不確定要素が多すぎる・・・って昔のオレなら考えただろうがな」
「「「「「ん?」」」」」
「オレ達はあの葉の兄貴に鍛えられた。はっきり言って下忍のレベルはとっくの昔に超えている、そう担当の上忍にも言われただろ?それに兄貴が言ってたろ?オレ達なら出来る!もし出来なかったら、笑顔で更に厳しい修行が待ってるだろうな」
「さて、話が逸れちまったが、このメンバーで今出来ることと言えば、二手に分かれてそれぞれ砂の奴らと追っ手に対処していく感じだな」
「おう!で?どう分けるんだ」
「砂の奴らの方にはナルト、キバ、サクラお前達が行ってくれ。追っ手の方は拘束術と封印術があるオレとサイが受け持つ」
「分かった、そんならオレ達は先に行くぜっ!」
「必ず後から来てよっ!」
「待ってんぞ!!」
そういうとナルト、サクラ、キバは鳥獣戯画から降りて進んでいく。その場に残ったシカマルとサイが話し合う。
「悪いな、サイ。損な役回りにしちまってよ」
「そんな事無いよ、シカマル君。僕も木ノ葉の忍びで葉さんの教え子だ・・・それに僕達ならこんなのピンチでも何でも無いでしょう?」
「へっ、そうだな。さて、一丁やりますか」
場面は変わり、追っ手である音忍達は今まで見つけられなかった痕跡が見つかり、ニヤついていた。これからの猟りに思いを馳せているが突如として全員が動けなくなっていた。全員が困惑する中、シカマルが現れる。
「おいオッサンら、悪いがこっから先は行かせねぇよ。面倒くせーけどな」
「何だ?まだガキじゃねーか、こんな奴に全員つかまっちまうとはな」
「これが噂に聞く木ノ葉の影しばりの術か」
「あ〜〜〜!言い方が古いぜ、それ。時代は流れてんだよ、今は影真似の術ってんだよ。おっさん(・・・8人か、やっぱり9人目は8人の忍者を待ち伏せから護衛する役目か。距離を一定に保って後方を移動して敵襲に対応する)」
「(まぁ、しかし・・・どこに隠れているかは、これで・・・分かるっ!!・・・っ!(手裏剣を投げてきたのは、あそこか!)サイっ!!」
「忍法・鳥獣戯画!!」
「グハッ!!」
シカマルの合図で上空からサイが現れ、巻物に書いた狛犬を出し潜んでいた8人目を一撃で沈める。
「悪ぃな、これで詰みだ」
「クッ!」
「おお、そっちもしっかりやってんじゃねえか、シカマル」
シカマルとサイが決着を宣言していると、茂みの向こうからアスマが現れた。
「アスマ!こんなとこで何してんだ?」
「ああ、試験会場はカカシやガイ、やぐらの方は親父や四代目に綱手様に葉先生がいるからな。会場近辺から範囲を広げながら紅やサムイと一緒に虱潰しに敵をのしていってんだよ」
そう言ってアスマは後ろを指差しそこには紅とサムイがおり、多くの忍びを捕まえていた。
「ふう〜、そういう事なら、オレ達は任務終了か?」
「ああ、流石にお前らにそれ以上戦わせ続けるのも気が引けるからな。それに先に行かせた奴らなら問題ないって信じてんだろ」
「「当然」」
「(俺らの代みてぇにいい仲間が集まってんな)ふっ、そんじゃあお前らは、俺らと行動してもらうぞ」
場面は変わり我愛羅達を追っていたサスケが、遂に3人に追いついた。
「「!!」」
「ふう、追いついたな・・・逃しゃあしねーよ!」
「・・・テマリ、我愛羅を連れて先に行け!」
「ああ・・・」
「しょーがねーじゃん・・・お前の相手、オレがしてやるよ!」
カンクロウは意を決して背負っている『鴉』を下ろし構えようとする。だがそこに第三者の声が響き渡る。サスケとカンクロウの2人が同じ方向を向くとそこには、会場から姿を消していたシノがそこにいた。
「いや・・・お前の相手はこっちだ・・・!」
「てめーは・・・」
「シノ!お前も追っていたのか」
「サスケ、お前が会場を出る前、試験官と話をしている時に蟲を使って雌の蟲の臭いを付けさせてもらった。雌の臭いはほぼ無臭、その雌の微かな臭いを嗅ぎつけるのは同種の雄だけだ。雄自身の方が臭いは強いがな」
シノが指差しながら説明すると、サスケは服に蟲が付いてるのを確認する。
「ちっ!」
「サスケ、お前は我愛羅を追え・・・なぜならお前と奴との勝負はまだついていないからな」
シノはそういうとサスケと向かい合い話し続ける。
「オレはこいつとやる・・・なぜなら元々、こいつの相手はオレだったからだ。ここは任せろ、行け!」
「お前の実力は知ってるつもりだが、大丈夫だよな?」
「ああ、心配は要らない・・・10分もあればお前の援護に行く」
「・・・ああ、分かった。待ってるぞ、シノ!」
そう言ってサスケは我愛羅達を追いかけていった。
「ククククク・・・」
「ん、何だ?」
「揃いも揃って何も分かってねーじゃん!この世の・・・本当の恐怖ってのを知らねーんだろうなぁ、てめーらは・・・」
「ではその恐怖とやら、お前が教えてくれるのか?」
「いやぁ・・・オレを倒してさっきの奴を追えば嫌でもな・・・それが出来ればの話だけだよ!傀儡の術!!」
カンクロウは完全に包帯を外し「カラス」を起動し構える。シノも構えを取り、腕から夥しい数の蟲を出していく。
「オレは木ノ葉の油女一族・・・戦う時は相手がどんなチンケな虫であってもナメたりはしない・・・全力で向かう!」
「へっ、来やがれっ!」
カンクロウが操作する「カラス」が突っ込んでくる。腕部分のギミックがさどうしてそこから仕込み刀が飛び出している。シノはそれを最小の動きで躱す。躱した瞬間に刀に液体の毒が塗ってあるのも確認している。
「(成程、習った通り仕込み刃物に毒が塗ってあるな。カラクリのギミックの常套手段だからな)」
シノが確認した瞬間「カラス」口が開き、そこから苦無が飛び出した。シノに当たるかと思った瞬間、シノの姿は蟲の塊に変わっていく。
「(蟲!?)!!」
カンクロウがその様子に驚いた時、目の前にいきなりシノが現れストレートを放ってきた。カンクロウは慌てながらもそれを躱し距離を取る。
「蟲で分身作ってオレの後ろに回り込むとはやるじゃんよ!」
「お前は人形を使う中・遠距離タイプだ。接近戦は苦手と見た・・・なぜなら人形の操作に集中しなければならないその傀儡の術とやらは術者自体に隙が生じやすいからな」
「よく分かってんじゃんよ、傀儡師の弱点をよ!だがな、こっからこの忍術の本来の戦い方ってのを教えてやるじゃんよ!この戦術カラクリ「カラス」の恐ろしさをよ!!」
カンクロウがそう言ってチャクラの糸を操作すると「カラス」の1本の腕の肘部分が開閉しそこから1個の球が発射される。それはシノの近くで爆発して紫色の煙を吹き出した。
「!(これは毒煙玉!あのカラクリ、かなり精巧に作られているな。腕で投げる苦無と同等のスピードで飛んできた・・・少し吸い込んでしまったがまだ問題ない)」
煙から瞬時に脱出し、辺りを見渡すが、カンクロウの姿はどこにも無い。
「(なるほど、そして術者は身を潜めるか)」
シノが停止した瞬間、背後から音もなく「カラス」が現れ襲い掛かる。だがシノは再度蟲分身で難を逃れ「カラス」を拘束する。シノはそれを同じ枝の裏面にくっ付き一息ついている。
「(くっ動かねェ・・・カラスの関節部分に蟲を詰まらせやがったな)」
「カラス」を食い止めた蟲達はそのまま「カラス」に繋がっているチャクラの糸を辿ってカンクロウを見つけようとする。
「(蟲共がチャクラの糸を伝ってきやがる。そうか!奴の蟲はチャクラを餌に、クッ、このままじゃ居場所がバレる!)」
カンクロウの判断は早く瞬時にチャクラの糸を切り話す。
「チャクラの糸を自ら切り離したか!これで!!」
それを確認したシノは反撃に出ようとするが、突如「カラス」の頭部分が外れて追撃してくる。
「(フッ、油断したな!一旦切ったチャクラの糸を瞬時に繋ぎ直すことなんざ一流の傀儡師にとっては造作も無いこと。そしてカラスは全身のありとあらゆる部品その1つ1つに武器が仕込んである仕込み傀儡だ!!どの武器にも毒がたっぷり塗ってある、死ね!!)」
「カラス」の頭がシノの目の前まできた直前、そこで動きが止まる。
「!?(何ッ!?っ、いつの間に手に蟲が!?チャクラの糸が噛み切られた!!?)っ!!うあああ!!何だァ!!?どうして、この蟲共はどっから湧いて出やがった!!?」
気付いた時には腕に蟲が取り憑いておりチャクラ糸を噛み切られていて、更に体全体にも蟲が取り憑かれチャクラを喰われてしまえばまぁ動けないな。
「チャクラの糸を伝う囮の蟲を払ったことで油断してお前は気付かなかったんだ。自分の背後に蠢く蟲達にな・・・ずっと蟲達は動いていたんだ。お前の額当てを目指してな」
「なっ何だと!?」
「最初の一撃、喰らわせ損ねたフリをしてお前にその蟲を一匹をくっついておいた」
「だ、だが!こんな蟲一匹でどうしてオレの居場所が分かった!」
「オレは同じ説明を2度するのは嫌いだ」
シノの言葉にカンクロウは先程までのシノとサスケの会話を思い出していた。
「(同じ、説明?っ!?まさかあのサスケって奴と話していた蟲の話!!)」
「気付いたようだな。そうだ、お前の額当てに付いているのは雌の個体だ」
「(クッソ、しくじった!だが)だがお前もオレの毒を喰らってる、お前ももうおしまいじゃん」
「ああ、それなら問題ない」
そう言ってシノは腕をカンクロウに見えるように持ち上げた。そこには数匹の蟲がシノの腕を指しているようだったがそれが終わると蟲が離れていき、シノは何事も無いかのように立ち上がる。
「はっ!?解毒したのか」
「ああ、これは解毒蟲。毒を感知しそれを体内に取り込み分析して解毒薬を作ってくれる」
「くそっ、だったら蟲から抜け出して、っ?何だ、頭がクラクラして」
自身のカラクリの毒が無効化された事でカンクロウは起きあがろうとするが、体に力が入らないどころか目の前がグニャグニャになったような錯覚すら起こっていた。
「無駄だ。今お前に取り憑いている蟲達はある術をお前にかけ続けている。敵からの感知を妨げ、範囲内の敵を撹乱状態にする」
「さっ、錯乱だと」
「蟲邪民具の術(むしじゃみんぐのじゅつ)、これでお前は終わりだ」
次は守鶴戦をまるっと書いていきます