ドラの大冒険〜魔法特化の竜の騎士〜   作:紅玉林檎

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長らく更新出来ずすみません、ですがエタってはいませんよ。
寒さと連日残業+休日出勤(デスマーチ)と内装工事のトラブルで文字打つ時間がありませんでした。
「俺…この仕事が終わったらお話の続き書きまくるんだ…」
で、なんとか乗り切りました。
生きる意欲(二次創作)大事。絶対。


99_その頃、オーザムでは…

魔王軍による壊滅的な被害を受けた国、オーザム。

しんしんと雪が降り積もる中、生き残った人々は身を寄せ合って暖をとる。焦土と化した土地に、ほんの少しずつではあるが家を建て店を構えて、一日も早く故国を復興するべく皆で力を合わせ逞しく日々を生き抜いていた。

かつての王都…と言っても現状五百人いるかいないかの大きな村程度の規模だが、かつて馬車が行き交っていた目貫通りには煉瓦を積み上げただけの簡素な建物が立ち並び、店前に吊るされたランプの灯りは惨劇に見舞われたオーザム王国を温めるように白い雪をオレンジ色に照らしている。

何もかもが破壊された国を建て直すのは並大抵の事ではない。しかし中にはこれを好機と捉えて他国から一旗上げようと移民してくる者の姿もあった。

安価な武器に始まり雪国では入手困難な薬草に至るまでを輸入してきた商魂逞しい商人もいれば、酒場の片隅で雪原で仕留めた獲物と海で獲ってきた海産物を物々交換し合う狩人と漁民の姿もある。

魔王軍の襲撃に見舞われながらも世界会議(サミット)から無事帰還した国王の指揮のもと、オーザムは雪を割って顔を覗かせる芽の如くその息を吹き返そうとしていた。

 

そんな王都の片隅で、ひっそりと露店を営む四人組の男女の姿があった。

粗末な木箱の上には紙の束が積まれただけ。売り手達は四人ともが雪国の人間はまず使わないような薄っぺらい外套(マント)に身を包んでガタガタと身を震わせている。この国出身の者ではないことは誰の目にも明らかだった。

しかしそんな氏素性の知れない粗末な露天にはここ数日、そこそこの数の人間が…それも老若男女問わず粗末な木箱の上に並ぶ物を求めに訪れていた。

 

「すみません、勇者様のお写真一枚くださいな」

「はいよ、まいどあり~」

 

5G(ゴールド)と引き換えに渡した写真には白銀の杖を手に可愛らしくポーズをとるドラの姿が映し出されている。

それを見た客の反応は…

 

「わぁっ、かわいい女の子!

あんまり強そうに見えないけど…ねぇ母さん、このお姉ちゃんが『勇者』なの?」

 

手にした商品…『勇者ドラのブロマイド写真』を手にした子供が率直な感想を母親に告げる。

訝しげな表情を見た母親はくすりと一つ笑みをこぼして、丁寧に子供の疑問に答えた。

 

「ええ、そうよ。なんでもすごい魔法使いなんですって」

「! そっか、魔法使いなんだ!!

じゃあ剣じゃなくて魔法で魔物をたくさん倒すんだね!

 

ねぇ、みんなは今この勇者様を探してるんだよね?

勇者様、悪いやつらに殺されたりしてないよね…?」

 

不安げな様子の子供を安心させようと、母親がゆっくりと落ち着いた口調で語りかける。

 

「大丈夫よ、王様だって言っていたでしょう?

勇者殿は必ず生きている、行方不明の勇者殿を探すためにみんなにも協力してほしいって…

私たち、国民一人一人が力を合わせればきっとすぐに見つけられるわ」

「うん! 僕も頑張って探すよ!

勇者様を見つけたら王様から金貨いっぱいもらえるんだよね!?

ボク、そのお金で母さんにいっぱい楽をさせてあげるね!」

「まぁ、この子ったら」

 

子供らしい純粋な言葉に母親がくすくすと笑みをこぼす。

勇者ドラの写真を購入していった仲の良い親子を皮切りに、捜索のために作られた勇者ドラのブロマイド他、勇者一行のブロマイド写真を求めて寒空の中人々が列を為していった。

 

「すみませ~ん、剣士ヒュンケル様のお写真あるだけ全部くださ~い♡」

「あっ、ちょっと! 買い占め禁止よ!!」

「剣士ヒュンケルよりも北の勇者であるノヴァ様のほうが格好良いと思うんだがなぁ。オーザムを助けに来てくれた恩人だし…」

「マァムちゃんの写真、観賞用と保存用と布教用とゴニョゴニョ…用に10枚ください!!」

「魔法使いポップのぅ、なんぞ普通…というか些か地味じゃな。やはり偶然なんと違うか?」

「本当だって! 魔法使いポップ様の写真持ち歩くようになってからなんかやたらと運が良くなったんだよ!」

「おじちゃん、わたしお姫さまのおしゃしんがほしいの。ひとつくださいな」

「ぼく、このおっきいワニさんのー!」

 

でろりんが商品を受け渡していきずるぼんが素早く勘定を熟す。

まぞっほは在庫の補充、へろへろは仁王立ちして商品をくすねようとする輩に睨みを効かせる役だ。

もとよりチームワークには定評のあるニセ勇者一行は次から次へと来る注文に応えて見事な連携を発揮する。

 

なぜ勇者一行の写真が売りに出されているかといえば、発端は勇者ドラが消息不明となった事であった。

勇者ドラ消息不明の知らせは全世界を駆け巡り人々は不安と恐怖にかられた。

しかし捜索のためパプニカ王国が勇者ドラのブロマイドを売りに出すやそれを見た人々の中からかつて勇者ドラに助けられたという声が多く上がり、各地で勇者ドラの武勇伝自慢が勃発。

俺はこうやって助けられた、私はこうして救われた。中には村ぐるみで世話になったと涙ながらに語る人々の声と、ブロマイドの売上のほとんどは魔王軍の被害にあった地域の復興に充てられるという各国の王達の声に後押しされブロマイド写真は世界各地で爆発的に売れるようになった。

 

そういった背景もあり、かつてニセ勇者として大手を振るい、しかしそれが露見して一度は囚人に身をやつしたでろりん達一行は各国を流れ流れて今ではこうして行商紛いの事をしてなんとか食い繋いでいるのだ。

オーザムに来たのも、魔王軍の襲撃から逃れるためにというのが一つ。世界の北端に位置する僻地であればブロマイド写真を売り捌こうとするライバルが少ないと踏んだのが一つ。

その読みが当たり大量に仕入れたブロマイド写真は順調な売り上げを見せていた。

売れなかったら最後、最悪盗賊に身をやつすしかないという心配も今では笑い話に出来る。

 

 

「はいよ、まいどあり~。

 

…はぁ~、やっとひと段落ついたぜ」

「今日もなかなか良い売り上げじゃないのさ。

こんだけ売れりゃあしばらくはやってけそうだね」

「うへぇ…この商売楽に稼げて美味しいけどよぉ、俺はもうやめてぇよ」

「なんじゃへろへろ、何が不満じゃ?」

「だってよぉ、まぞっほ。俺達がこんな北の果てまで流れ着く原因を作った奴の顔を毎日見なきゃならんのだぜ?

しかもそいつの写真が売れた金で飯を食うってのがなんとも座りが悪くってよぉ~」

「今更贅沢言えた口かい?! だらしが無いねぇ!

今はとにかくこれで凌ぐしかないでしょ!!

あの小娘にかけられた妙な術のせいであたし達ゃ人を騙したり誤魔化したりってのが一切出来なくなっちまったんだからねっ!?」

「…ま、普通はそれが当たり前なんじゃがな」

「はぁ~…やっぱリンガイアの援軍に加わった時にパニクって逃げ出さなきゃ良かったぜ。

素直に謝ってまた援軍に入れてもらえねぇかな?」

「バカッ! あたし達ゃロモスで一回お縄になってんだよ!?

そんな事したら今度こそ一生牢屋暮らしになるかもしれないじゃないか!!」

 

ニセ勇者一行はかつてデルムリン島に悪事を働きに赴いた。

結果として返り討ちに遭い、その際ドラから受けた『真実を話せ』という刷り込み(インプリント)によってあらゆる嘘がつけなくなってしまったのだ。

しかしなんのことはない。嘘をつかずにただ真っ当に働けば済む話なのだが、いかんせん身に染みついたニセ勇者時代の癖がなかなか抜けず…

勇者として愚直にレベルを上げるか、正直者として商売に精を出すかのどちらかを迫られている状態だ。

 

愚直にレベルを上げればドラの刷り込み(インプリント)など早々に看破出来るくらいの胆力などすぐ身に付くのだが、そんな事には気がつかない一行は今日の商売はこのくらいにしようか…と片付けを始めようとした時だった。

強い風が吹き抜け、木箱の上に並べていた写真が道路に散らばる。

方々に散らばってしまった写真を四人は慌てて拾い集めた。幸い新雪の上に写真が落ちたおかげで泥に塗れる事なく全て無事に回収し終える。

ふと、手にした写真の中、ウインクでポーズを決めるドラを見た四人は盛大に溜息を吐いた。

 

((((こんなはずじゃなかったのに…))))

 

白い溜息は冷たい風に吹かれてあっという間に掻き消えていった。

いまいち反省が足りないように見えるニセ勇者一行だったが、彼らが後にオーザムにこの人ありと呼ばれる『勇者商人(ゆうしゃあきんど)一行』として歴史に名を刻むようになるのはもう少し先の話である。

 

 

 




少し間が開いてしまったのでリハビリがてらニセ勇者一行の現状を一つ…
彼らは良い方向にさえ力を発揮すればやがて大成しそう感がある。

ブロマイド写真、ヒュンケルは嫌がって撮らせてくれなそうだけどレオナが「復興資金稼ぐためだから」と言ったら罪悪感から協力してくれた感じ。
顔面良すぎる、強い、鎧がカッコいいとメンバーの中では売上ダントツトップ。レオナとパプニカ国王ほっくほく。
ドラとマァムは男性人気凄いけど女性人気が若干弱そう。
ポップはラッキーアイテム扱いでじわじわ人気出てくるタイプ。
子供と一部の成人男性に大人気クロコダイン。

という妄想。
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