正義、闘志、勇気、慈愛、純真
五色の光柱が眩い光を放ってあたりを照らす。
「ああ…なんて強い魂の輝き…!」
「す、凄い、これがアバンの使徒の力か…」
「アバン。貴方の教えを受けた者達が今、人類を救いに行くわ」
レオナを起点に、手を繋いだ五人の足元に五芒星が出現する。
五芒星が強く輝き、レオナが天を仰ぎながら邪悪な魔力を退ける呪文を唱えた。
「
ドォォンッ!!!と凄まじい轟音が谷を揺らす。
激しい振動を伴って駆け抜ける魔力が、
兵士達がその隙を見逃さず、脳天を打ち据えて
まるで地上から放たれるレーザーのように光柱がバーンパレスを貫き、大魔王バーンの魔力を薙ぎ払った。
ドラがパッと振り返りバランに笑顔を向ける。
「お父さん! 私ちょっとバーンやっつけに行ってくるね!
お父さん達も追っかけて来てね」
「ピィィ!」
「あ、ゴメちゃん! ゴメちゃんはお兄ちゃんと一緒に…」
「ピィ、ピィ!」
「わっ、わかった、ごめんってば。
…付いてきてもいいけど絶対私から離れないでね?」
「ピィィ!」
「よし! じゃあ、いってきまーっす!」
ちょっとそこまで買い物に行ってくるくらいの軽いノリで
バーンパレスへの突入成功。
勇者達の勝利を願う兵士達の歓声に混じって、バランが配下に向けて号令を下す。
「ディーノ! 竜騎衆よ!
早々に敵を殲滅せよ!!
ディーナに加勢する!! 大魔王バーンの野望は我々の手で砕くぞ!!!」
「うん! 父さん!!」
「「「ははぁッ!! かしこまりました、バラン様!!」」」
ディーノと竜騎衆が魔界から来た
ラーハルトの槍が、ガルダンディーの剣が、ボラホーンの斧が…
一太刀で十体以上を戦闘不能に追い込み瞬く間にザボエラの手勢を減らしていく。
そしてディーノもまた、ロン・ベルクによって打たれた真新しい剣の柄をぎゅっと握りしめた。
屈強な男達が戦う中、一際小さく弱く見えるディーノに狙いを定めた
背中から翼を生やした
が、次の瞬間ライオネック達の視界がぐにゃりと視界が歪む。
「何が起こったかわからない」という表情のまま、ライオネック達の体が縦に割れて崩れ落ちた。
白銀に輝くオリハルコンの刃の上を青い血が滑り落ちていく…
ダイの剣ならぬディーノの剣。
『ディーノよ…お前の戦闘能力、とりわけ剣の才は歴代の
アバンの技との相性も良い。
あとお前に足りないものは心の強さだけだ』
訓練では何も問題なく剣を振るえたが、いざ実戦となると及び腰になってしまうディーノにバランは言った。
(心の強さ…)
意味もなく
(父さんも、ラーハルトも、ディーナも…みんな何の疑問も持たずに敵を斬り捨てられる。
俺にはそれがどうしても出来ない)
自分の心が弱いからだと思っていた。
強くなるためには非情にならないといけないのだと…
しかし、大魔王バーンを倒すために向かっていくアバンの使徒を見てディーノは確信した。
「俺がここで負けたらディーナが、レオナが…いいや、ここにいる誰かが必ず死ぬことになる!
それだけはさせない!!
倒すためじゃなくて、守るためにッ!!
俺はもう、倒すことを躊躇ったりしないんだッ!!
アバン…ストラッシューーーッ!!!」
額に
「ここは…?」
「我々が爆発に巻き込まれた場所、バーンパレスの先端部分かと…」
きょろきょろとあたりを見渡すとヒュンケルの言う通り、ところどころ崩れてはいるが鳥の嘴を模したバーンパレスの先端部分で間違いなさそうだ。
「みんな、油断しないでね?
ここから先はほぼ一本道なんだけど、多分敵が絶え間なく押し寄せてくると思う。
私が露払いするから一気に駆け抜けるよ!!」
「「「「了解!」」」」
「ピピィッ!」
ドラの掛け声で全員一斉に駆け出す。
原作ではハドラーと親衛騎団に攫われて単騎決戦を強いられたアバンの使徒だがその心配はしなくてもいいだろう。
リュミベルの言葉どおりならハドラー達が到着するのはもう少し先のはずだ。
一時間…いや、三十分で大魔王バーンの元へと辿り着いてみせる!
「ギギィッ!」
「来たぞ!」
「勇者ドラだ!!」
「裏切り者の元軍団長もいるぞ!」
「全員ブッ殺せーーーッ!!!」
「「「オォーーーーーッ!!!」」」
ドラが魔力を集中させてリュミベルへと伝える。
魔力を受けたリュミベルの魔石が青白く発光して、巨大な魔力が渦を巻いて風を唸らせた。
「ピッ!? ピピピィッ!!」
「おいどうしたゴメ…!?
「ポップ!?」
「何を…」
「
「「「ギャアァァァ〜〜〜〜ッ!!!!」」」
まるで大砲のようにドォンッ、という轟音とともに放たれた暴風が敵を巻き上げ斬り裂いていった。
その風に触れたが最後、
さながらそれは真空の刃を付けたミキサーに掛けられたような光景だった。
「あれは…!?」
「ド、ドラゴン!??」
その光景を目の当たりにしたアバンの使徒は、
ドラから放たれた
大魔王バーンが魔力を練り上げて放つメラゾーマがフェニックスの姿を成すのと同じように…
「なっ、なに今のーーー! ビックリしたーーーー!!?」
「てめぇドラ! ビックリしたのはこっちのほうだ!!
危うく巻き込まれるところだったじゃねぇか!!!」
「ご、ごめんなさい〜!」
アバンの使徒はドラから少し離れる事にした。
小規模な竜巻と言っていい
一度その風に絡め取られたら最後。
大魔王に挑む前に真空のミキサーに掛けられるなど洒落にならない。
バラバラになった敵の残骸を見れば
逃げようとする敵を「逃さない…」とばかりにドラの
殺さなければ、こちらが殺される。人類の未来がかかっているのだ。
仕方ない、至って仕方ないのだがしかし…
「「「うっぷ…」」」
「…大丈夫か」
「だ、大丈夫なわきゃねぇだろうが…うおぇぇ…!」
「ピィィ…」
グロ耐性が無いポップ、マァム、レオナが込み上げる吐き気を必死に抑える。
元不死騎団長のヒュンケルでさえも若干青褪めている。
ゾンビや骸骨は見慣れていても、決して肉体損壊ショーを好んでいるわけではないのだ。
そんな中、呪文を放ちながらズンズン進んでいくドラだけは溌剌とした表情をしていた。
「逃げてく敵まで吸い込んで即ミンチに出来る…!
すごい…、最高〜〜〜っ!!」
きゃっほー♪と言いながら
「
(風評被害です)
ポップの呟きに、
「ピィィ…」