ドラの大冒険〜魔法特化の竜の騎士〜   作:紅玉林檎

35 / 146
本日二話目の投稿です。
閑話ですが、ずっと上げたかった話なので投下します。


 閑話_ドラとヒュンケル

ドラ達が地底魔城から脱出してすぐのこと。

 

「ピィ、ピィ〜!」

「ん? どうしたのゴメちゃん…うぇっ!?」

「ピイィ〜♪」

「ええ…これ、魂の貝殻…」

 

ゴメちゃんがドラの外套のフードを指し示して得意げに告げた。

疑問に思ったドラがフードの中から取り出したそれは紛れもなくヒュンケルの父・バルトスが今際の際のメッセージを込めた『魂の貝殻』であった。

 

「あ〜…うん、ありがとう。ゴメちゃん…

デルムリン島で貝殻集めるの、いつも手伝ってくれてたもんね…

うん、私『綺麗な貝殻があったら教えてね』って言ったもんね…

あはは…」

「ピ!」

 

原作では地底魔城が崩壊したあと一切出て来てはいないのできっとマグマに流され溶けてしまったのだろう。

地底魔城が崩壊する寸前にゴメちゃんがいつの間にか拾い上げてフードの中に入れていたらしい。

確かにドラは故郷のデルムリン島で綺麗な貝殻を集めてアクセサリーを作ったり飾ったりするのが趣味だった。

『魂の貝殻』は乳白色にツヤツヤと輝いていて薄水色の魔石がふんだんにあしらわれておりそれは美しい。

ゴメちゃんはドラが大層喜ぶと思って拾っておいてくれたのだ。

 

「は〜…、さすがにこれは持っておけないし捨てられないよ…」

 

頭を抱えたドラは貝殻をヒュンケルにさっさと渡すことにした。

 

 

パプニカを出立してしばらくしたヒュンケルとクロコダイン。

夜になり、野営をして焚火を囲んでいた。

懐から取り出したものをジッと眺めるヒュンケルにクロコダインが声をかける。

 

「おや? ヒュンケル、それは…」

「ああ、俺の父バルトスの遺言が込められた『魂の貝殻』だ。

…ドラが渡してくれたのだ」

「…そうか。あの娘が…」

「ああ、驚いた。まさか拾っていてくれるとはな…」

「ふ…優しいのだよ。ドラは…」

「ああ、そうだな…

そういえば宴の席でもいろいろ聞かれたな…

あれは何だったのだろうか…?」

 

宴の席でのことを思い出すヒュンケル。

一人離れて宴に参加していたヒュンケルに食べ物を山盛りにした器を持って来てくれたのはマァムだ。

 

「レオナもああ言ったんだから、遠慮せず食べてよね!

これでもう何の心配もいらないわ…

同じアバンの使徒として、これからもよろしくね…!」

 

そこにポップが酒をなみなみと注いだ盃を渡してきた。

 

「ほらよ! まあ、今回はお前がいて助かったよ…

礼だけは言っといてやらぁ!!

………ありがとうな」

 

ドラはそんな二人を黙って眺めていた。

そしてヒュンケルが一口、二口と渡された食べ物と酒を口にするとそっと近づいて質問してきた。

 

「ねえ、ヒュンケルってお酒好き?」

「…いや、あまり好まない」

「…そっか。じゃあ辛い食べ物とか酸っぱい食べ物好き?」

「…いや、特には…食物にこだわりはない」

「…そっか。じゃあ何してる時が一番気が抜ける?」

「…? 気が抜ける時などない。

強いて言えば鍛錬している時だろうか」

「…そっか」

 

そう言うと立ち去ってしまった。

それからもチラチラとこちらを気にしているようだったが、声はかけてこなかった。

何を目的とした質問なのか、何を気にしていたのか理解できずに首を傾げるヒュンケル。

するとクロコダインが思い当たることを口にする。

 

「ああ! 俺も聞かれたぞ。

何か好きな食べ物はあるかとな。

聞けば料理を作るのが好きらしい。

…あの娘なりにお前と仲良くなりたいと思っているのだろうよ」

「…そうか」

 

フッと柔らかい微笑みを浮かべるヒュンケル。

 

(こんな自分にそのように温かい感情を向けてくれるとは…)

 

ヒュンケルは手にした魂の貝殻を見つめて、自身の心が温かくなるのを感じた。

夜空を見上げ、決意を新たにする。

 

(きっと役に立ってみせる…

こんな自分にも心を傾けてくれる人間がいるのだから…)

 

 

 

「う〜ん、お酒も辛いものも酸っぱいものも好きじゃないのか…

もし好きだったら毒を混ぜても気づかれにくいと思ったんだけど…

気を抜くとかいう概念自体が無さそうだったし、お酒を口にしててもまったく隙が生まれなかったし…!

いっそマァムに化けて寝首を…

いやダメだ、それはさすがにマァムに悪い気がする…!

なんかこうスマートにさっくり殺せる方法無いかな〜…!?」

 

仲良くなりたいどころかヒュンケル抹殺のため情報収集をしていたドラ。

しかし360度隙の無いヒュンケルに頭を抱えた。

当のヒュンケルはドラに対して、マァムに続いて自分を気にかけてくれたという事実…

そのことにひどく満ちた気分でいることを知ったらどう思うであろうか。

きっと絶叫して嫌がるに違いない。

 

好意と殺意、同じ夜空の下で真逆の感情を持った二人が同時に星を見上げていた…

 




ヒュンケルに食べ物とお酒を持っていったマァムとポップを見たドラ。
「は!? 優しすぎない二人とも!? 何でそいつに優しくできるの!!?」
信じられないものを見る目で二人を見ていた…

----------------------------------------------------------------
兄弟子ルート解放キーアイテム『魂の貝殻』
やったねドラちゃん! 兄弟子ルートが解放されたよ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。