短めですがキリが良いのでアップします。
「…お前は、私の娘だ。
本当の名は…
ディーナ!!」
「………!!?」
バランの口から告げられた衝撃の事実に動揺を隠せないレオナとポップ。
ナバラとメルルは伝説に語られる
レオナとポップのそばではゴメちゃんがドラをただ心配そうに見つめていた。
「…娘!? ドラちゃんが…バランの…!?」
「てっ…てめえがドラの父親だってのか…!!?」
レオナとポップの言葉にだんだんと事実を飲み込んだらしいドラが口を開いた。
「娘…
バランが私の父親…、私がバランの娘…
えっ!? お父さんなの!!?
私の父親!? 本当に!? 嘘じゃない!!?
なぁんだ、それ早く言ってよもうっ!!
私の名前“ディーナ”っていうの? 可愛い響きだね!
わ~~~~! 会えて嬉しい!!」
ねっ、お父さん!!
と、言いながら満面の笑みでバランの手を取ったドラに全員が衝撃を受ける。
「ド、ドラちゃん…?」
「嘘だろうドラ…
お前、信じるのかよ…!? そいつが言ってること…!」
「え? だって額に私と同じ
事も無げに言い放ったドラの言葉にポップが、いや、この場にいる全員が二の句を継げられなかった。
ドラに手を取られたバランが膝を少し曲げ、大柄な体を屈めてドラに目線を合わせながらそっと語りかける。
「ディーナ…
人間のもとを離れ、私と一緒に来い。
我が軍門で、人間を滅ぼすために魔王軍に力添えをするのだ」
「魔王軍に力添えはしないけどお父さんとは一緒に行くね!
あっ、ちょっと待って!
ゴメちゃん、私の
「ピィ」
ゴメちゃんが地面に落ちていたドラの
「さっ、行こう!
みんな、ちょっとお父さんと話し合ってくるね!
すぐ戻るから! 心配しないでね!」
行ってきま~す…!
空中へと
そよそよと涼やかな風が吹き、湖には舞い降りた水鳥たちが優雅に
今起きた事が信じられず、夢だったのではないかと思うほど穏やかな景色が眼前に広がっている。
ただ一つ、この湖に来た時と違う点はドラとゴメちゃんがいなくなってしまったことだけだ。
アバンの使徒として一緒に旅をしてきた妹弟子があっさりと魔王軍の軍団長に付いて行ってしまった事実に、ポップは打ちのめされた。
体から力が抜け、自分の体が支えられない様子で膝から崩れ落ちる。
「嘘だろう…ドラ…
お前、俺たちを…裏切ったのかよ…!?
父親だからってあんなにあっさり…
う、うわあああぁぁぁッ…!!!」
「ポップさん…!」
「ドラちゃん、そんな…
ドラちゃんは魔王軍と戦う、アバンの使徒で…
『勇者』だったんじゃないの…!!?」
号泣するポップ…それを心苦しそうに見つめ肩に手を置いて寄り添うメルル。
ポップの慟哭につられてレオナの瞳からもポロポロと涙が溢れる。
ただ一人、ナバラだけが
どれだけそうしていたか…
悲痛な思いに打ちひしがれる面々に思いもよらぬ男の声がかかった。
「ポップ! それに貴方は…パプニカの王女、レオナ姫か!
どうした、一体何があったというのだ!?」
「きゃあっ!!」
「ま、ま、魔物…!?」
「クロコダインのおっさん…!?」
「クロコダイン…?! ドラちゃん達と一緒に戦ってくれた…
元軍団長の獣王、クロコダイン…!?」
「ポップ…なぜそんなに泣いている…
ドラの姿が見当たらぬが…?
何が起きたのだ…!?」
銅鑼声の主は鬼岩城偵察の旅から戻った獣王、クロコダインであった。
鬼岩城に起きた異常事態をいち早く知らせるべく駆けつけたクロコダインは、しかし目当てのドラの姿が見当たらないことに首を傾げた。
涙と鼻水を拭い、ポップが今しがた起こった事を説明する。
ドラが自身の出自を確かめに
超竜軍団の軍団長、バランが来襲したこと。
バランとドラが親子だったこと。
そして、ドラがバランと共に去って行ってしまったこと…
言いながらまた涙が堪えきれなくなったポップが悔しそうに話す。
「ドラのやつ…ずっと一緒に過ごしてきた俺たちや、デルムリン島にいる育ての親よりも…
会ったばっかりの父親を選んだんだ…!
何の抵抗もしないであっさり付いていっちまった…!!」
「ドラちゃん…アバンの使徒としての使命よりも…
本当の家族のほうが、やっぱり大切だったのかしら…?」
沈痛な面持ちでドラの気持ちを慮るレオナ。
ナバラとメルルはそんな二人を黙って見守る事しか出来なかった。
それまで目を瞑り、黙って耳を傾けていたクロコダインがゆっくりと大きな口を開いて話し始める。
「…ポップ。
お前とドラの…アバンの使徒の絆はそんな程度のヤワなものだったのか?
なぜドラを信じてやらんのだ…
ドラは…おそらくわざと無抵抗でバランに付き従ったのだ」
「…? どういうことだよ、おっさん…!?」
「超竜軍団軍団長のバランはそれだけ恐ろしい存在だということだ…
もしその場に俺とヒュンケルがいたとしても、バランと戦えば無傷ではすまないであろう。
悪いがドラの他にいたのがポップとレオナ姫だけでは、最悪全員死んでいた可能性もある。
ドラは自分の命よりも、みんなの無事を優先してあえてバランの手を取ったのだ」
「そんな…じゃあ、あれは演技だったってのか…!?」
「そんな…ドラちゃん…!!」
「思い出してみろ。地底魔城でヒュンケルと戦った時のことを…
あの娘は怪我をして動けない俺を見捨てず、お前とマァムを逃して自ら人質となったであろう。
そういう娘なのだ…ドラは」
「ああああっ…!! 俺、俺…っ!
あいつの事、疑っちまった…!!」
「ポップ…」
「ポップさん…」
両手で地面を叩き自分を責めるポップをレオナとメルルが止める。
クロコダインもそんなポップを諌め、口に手を当ててドラの状況について思案した。
「よせ、ポップ…自分を責めても何も始まらぬ。
バランとドラが親子だったというのであれば、今すぐ命を落とすということは無いであろうが…
しかし、どこへ行ったのかわからないでは手の打ちようが無いな…」
「…取り返しましょう!」
「姫さん…」
涙を拭いながらレオナが主張した。
「ドラちゃんをバランの手から奪還しましょう!
命をかけて私たちを守ってくれたドラちゃんをこのまま黙って見捨てることなんて出来ないわ…!!
何か手立てがあるはずよ…!」
「レオナ姫…」
「姫さん…
ああ、そうだな!
あんな甘えん坊、一人で戦わせるわけにはいかねぇもんな…!」
先ほどまでの項垂れた様子はどこへやら…
覇気を取り戻したポップがレオナの言葉に賛同した。
「取り戻そうぜ…!
あいつは魔王軍軍団長の娘じゃない…
俺の妹弟子…アバンの使徒、ドラだ!!」
一方、バランと一緒に
(お父さんの住んでるとこ、どんなところかなぁ~?♪)
無論、演技などではない…!
獣王クロコダイン
なぜ魔王軍にいたのかわからないほど清らかな心の持ち主。
ドラの行動はなんでも好意的に受け取る傾向にある。
ポップ
バルジ島で「自分は勇者じゃない」「家族と仲間と推しを守る」と発言したドラを知っているがまさかその『推し』がバランだとは思いもしていない。
原作で演技をして仲間の元を離れたのはポップであるが図らずもドラが同じ様な行動を取ったようになってしまった。
兄弟子としての自覚を日々成長させ、それに伴い心も強くなっている模様。
レオナ
魔王軍と戦う綺麗なドラしか知らない。
というかこの世界の人間は基本的に『勇者』に対するバイアスがかかり過ぎている傾向にある。
原作では勇者ダイ奪還を阻止したが今回は逆にドラ奪還に向けて動きだす。