やっと文章を打てるまでPCの環境が復活しました…!(涙)
対峙する父と娘、両者剣を手にして文字通りの真剣勝負が始まる。
先に仕掛けたのはドラだった。
剣を構えるバランにドラが魔剣を振りかぶる。
「
「ふんっ!!」
杖代わりに振りかぶった魔剣から真空の刃が同時に幾重も放たれる。
ドラが最も得意とする呪文、
一発で決まるとはハナから思っていないドラは呪文を放った直後、
(チャンスは多分一度のみ、渾身の一撃をお見舞いするほかない!)
下を見ればバランも
ドラはさらに飛行速度を上げてバランを引き離しにかかるが、二人の距離は徐々に縮まっていく。
剣術を得手としているバランだが魔法が不得手というわけではないらしい。
戦闘経験豊富なバランにとって
猛スピードで上空へと上がっていくドラを変わらぬ速度で猛追する。
(私とバランでは戦闘の相性が悪すぎる…!
防御力も…! 一撃でも食らったら肉体が吹っ飛ぶ!
それなのに
唯一の救いは竜魔人化だけはしていない事か…竜魔人化されたらどうやっても勝ち目がない…!!)
滾滾と魔力を溜めながら逃げ続けるドラ。
このままの速度を保ちつつバランの集中力が途切れる瞬間に攻撃に転じようと考えていた矢先…
(『危ないッ!! 避けてぇ!!!』)
頭の中に響くディーナの絶叫に、何かを考える前に体が反応した。
魔力そのものを真横に放ち今いた空間から咄嗟に体を遠のける。
溜めていた魔力をほぼ全て放出してしまい、一瞬「しまった!」と思ったが次の瞬間その行動は大正解だったと思い知ることとなった。
「ギガブレイク!!」
「…ッ!!?」
幾筋もの稲妻の束がカッと目の前を通り過ぎた。
ドオォン…ッ!と雷鳴に似た音を響かせながら、バランの真魔剛竜剣から放たれた衝撃波が遠くに見える山の斜面をごっそりと穿つ。
(あと一瞬回避が遅れてたら黒焦げになってた…)
その姿を想像してドラの顔から血の気がザッと引いた。
青褪めながらも今度は攻撃を当てられぬよう直線に進むのではなく、くるくると旋回しつつ飛行して追随するバランから逃げ続ける。
(じっ…、実の娘にギガブレイク撃つってどういうつもりよッ!!?
信じられない…!
…信じられないけど、バランの考えがなんとなくわかったわ。
あの人、徹底的に私を痛めつけて生命力が弱りきったところにまた『共鳴』を使って記憶を消し飛ばす気ね…!
…ああそう!
そっちがその気なら、こっちだってやってやろうじゃない…!)
速度はそのままにくるりと体の向きを反転させてバランの方を向く。
再び剣を構えて攻撃を繰り出そうとしていたバランが少しだけ目を見開いた。
バランが攻撃態勢を取っていた事に顔をしかめるどころか、小さく「やった!」と呟いたドラはバランめがけて呪文を撃ち放った。
攻撃を繰り出そうとしている今がチャンスと、防御姿勢を取られる前に最大呪文を叩きつける。
「
…からのっ、
「ぐぅ…っ!!」
とてつもない爆発が巻き起こる。
爆発によって生じた爆炎と熱気がバランを焼き尽くさんばかりに濛々と巻き起こり、そこへ真空の刃が次々と放たれた。
爆炎によって視界がほぼ効かなくなったところに五月雨に真空の刃を浴びせる、非常に卑きょ…戦い慣れたドラの攻撃にさしものバランも追うのを止めて防御に集中するほかなかった。
「まだまだぁっ!!
「くっ…!! 生意気な…!」
灼熱の爆炎と研ぎ澄まされた真空刃に耐えていたバランに今度は凍てつく吹雪と氷の剣が襲い掛かる。
装備している肩鎧と手甲にビシリと大きな亀裂が入った。
「いい加減にしろディーナ!!
子供がこうまで親に抗うなど…
悪ふざけも大概にせよッ!!」
「親に黙って朝帰りするよりマシでしょ!!
この程度の火遊び、大目に見なさいよ!!」
勢い良く中指を立てながらドラがしゃあしゃあと言ってのける。
「この…! 減らず口をッ…!!」
ドラの反撃と減らず口に額に青筋を立てるバラン。
中指を立てるのがどういう意味かはわからないが、良い意味でない事だけは確かだと察して先ほど以上の速度でドラの猛追を再開した。
地上にいる面々は各々必死に身を守りながら二人の戦いを見上げていた。
上空では爆発と暴風、さらに吹雪や雷撃がでたらめな頻度で巻き起こりその度に大地が割れ山を削り木々を薙ぎ倒していく。
尋常ではない速度で上空を舞う二人の姿を誰もはっきりとは捉えられずにいた。
しかし遠目に見える光の軌跡を見るに、もの凄い速度で飛行して旋回しつつ時折ひらりと蝶のような動きで攻撃を避ける滑らかな軌跡はドラ。
直線的な線を描き、まるで雷光に姿を変えた
「なんちゅう凄まじい戦いだよ…」
「凄いわ、ドラちゃん…。バランの攻撃を全て躱してる!」
「ああ…しかし、このままではドラが不利だ。
見てみろ、ドラの魔法を受け続けているのにバランにはまったくダメージが通っておらん。
「ちっくしょうッ…!! 俺たちゃただ指を咥えて見てるだけしか出来ねえのかよ…!!」
「………」
悔しさから地面に手をつき土を握りしめるポップ。
加勢をしたくとも、二人の戦いははるか空の上。
ポップは魔法力が尽きているし、レオナの攻撃魔法が届く距離ではない。
クロコダインとヒュンケルも
仲間が死闘を繰り広げているのをただ黙って見ている事しか出来ないもどかしさに、全員が沈痛な面持ちになる。
そんな中、何やら考え込んでいたヒュンケルが口を開いた。
「俺にひとつ考えがある…。
クロコダイン、バランが地上近くまで来た時を見計らって『獣王会心撃』を撃てるか?」
「あ、ああ…可能だが…。しかし届くかどうかはわからんぞ。
よしんば当たったとしてもバランに通用するとは思えんが…?」
「『獣王会心撃』を放つのとピッタリ同じタイミングで俺の闘気を上乗せする。
二つ分の闘気のエネルギーが合わされば届くのではなかろうか…
当たりさえすればバランを倒すまではいかなくとも、ほんの少しでも奴の隙を生み出せるかもしれん。
その時にドラがバランに攻撃すればあるいは…」
「むぅ…」
顎に手を当て唸るクロコダイン。
二人分の闘気を合体させる…? そんな事が可能なのか…?
今までまったく考えもしなかった発想を受けて思案するが、実際に試した事も、試したという話すら聞いた事が無いのだ。
答えなど出るはずも無かった。
「頼むよおっさん! ヒュンケルが今言った事、試してみてくれねぇか!?」
「ポップ…」
「ポップ君…」
「なあ、頼むよ…! 俺で力になれる事があるなら何でも言ってくれ…!!
このままじゃ、ドラがバランに打ちのめされちまう…!
そしたら…今度こそ、俺たちの元に戻れねぇかもしれねえ…!!」
クロコダインのわずかな迷いを打ち消したのはポップだった。
自分では何も出来ない不甲斐なさを瞳に宿して、ほんの僅かな可能性に賭けてでもドラを取り戻したいという想いがひしひしと伝わってくる。
「よし、わかった! やってみようではないか!!」
「おっさん…!」
「クロコダイン…!
…チャンスは一度きりだ。バランが次に地上に近づいたタイミングで同時に放つぞ!」
「応!!」
上空で戦い続ける二人から決して目を離さず、ヒュンケルとクロコダインは集中して自身の闘気を体内で練り上げていく。
やがてそれはポップとレオナの目にも見えるほど、二人の体から淡い光となって溢れ出すまでに蓄積されていった。
クロコダインは戦斧を構えて、ヒュンケルは腕を十字に組み、必殺技の構えを取る。
ただじっと、その時が来るまで…
膨れ上がり、今にも体の外へ溢れ出ようとする闘気を押しとどめる二人の額にじわりと汗が滲む。
勝負は一瞬…
バランが地上に近づいた、その時を待つ…!
「クロコダイン!! 今だッ!!!」
「応ッ!!!」
「獣王会心撃!!!!」
「グランドクルス!!!」
放たれた二人分の闘気が合わさり、ドラめがけて剣を振り下ろそうとしていたバランに命中した。
「ぐおぉ…ッ!!?」
「…!
ヒュンケルとクロコダインの攻撃を横からくらい、バランが態勢を崩す。
その隙を見逃さずにドラは大爆発を引き起こす呪文を放った。
地上近くで放たれた
「ゲホッ…ゲホッ…!」
「やった…! ヒュンケルとおっさんの必殺技がバランに命中した!!
おまけにドラのでたらめな威力の魔法をくらったらいくらバランの奴でもひとたまりもねぇだろ!!
ざまぁみやがれ…!!」
「油断するな、ポップ!
まだバランを倒したとは限らんのだぞ!!」
「くっ…、土煙で何も見えん…!
どうなったのだバランは…! ドラは…?! 」
状況を伺う事が出来ずに狼狽える4人に、砂塵の中からドラの声が降りかかった。
しかしそれは…
「みんな無事!?
一体何しに来たのよ!?
危ないじゃないの!!!」
…それは仲間が駆けつけてくれた歓喜でも、バランに一太刀浴びせた事を労う声でもありはしなかった。
使っていたノートパソコンの基盤がショートし、データが全て飛びました。
記憶が戻らない相棒に縋って泣き喚くポップの心情を思い知らされるという、別にしたくもないリンクをしてしまった作者です…
結局新しいPCを購入するはめになりましたが、不幸中の幸いで旧PCのデータは全てバックアップ済み。
たいしたデータは残ってませんでしたが、辞書に登録していた「ダイの大冒険」関連の単語が全て吹っ飛んだのは痛い…!(ついでに懐も痛い)
新しいPCの環境設定と少し間が開いてしまった創作の感を取り戻すのに四苦八苦している昨今です;