ある朝目覚めた時に戦う相手を決められていた件 作:クォーターシェル
「アゲット……アゲットよ…」
俺を呼ぶ声がする。眼を開けてみると俺は何もない空間に居た。周りを見渡すとそこには何人かのトランスフォーマーらしき影が立っていた。
「あんたらが呼んだのか?」
その内の一人がゆっくりとうなずき、そして語り始めた。
「お前を呼んだのは我々だ。我々はプライマスによって創られた最初の13人と呼ばれるものだ。私はベクタープライムだ」
プライマス!?それに最初の13人だって!?俺は混乱していたが
「ベクタープライム殿、この場には13人もいない様に見受けられるが?」
と尋ねた。
「別世界の魂を持つ君なら察しているだろう。メガトロナス、リージ・マキシモといったものが離反している。この話題についてはこれで終わりだ」
ベクタープライムの返答に俺は驚いた。
「俺が転生者だということを知っているのですか!?」
俺は思わず叫んでしまった。
「君の魂がスパークとなりプロトフォームに導かれたのは我らが主プライマスのお陰だ」
とベクタープライムが答えた。
「でもなんで俺なんかを?俺なんてただの学生ですよ」
と言いかけた時にふと思った。もしかして俺は死んだのではないかと。それを聞こうとすると
「その辺りは案ずるな。今君の意識をここに転送しているだけだもう少しで物質世界に帰る。その前に君の使命について話しておこうとなってな」
そう言うとベクタープライムたちは俺の方を見た。
「単調直入に言うが君にはこの世界でのユニクロン復活阻止を手伝ってもらいたいのだ」
「ユ、ユニクロン!?」
ユニクロンと言えば惑星サイズのトランスフォーマー。邪悪の大ボスとして定番の存在である。自分も頭の片隅に留めていたが、本当にこの世界にも出てくるのか!?
「奴はこの世界に出現しようとしている。先の戦いで力の大半を失ったとはいえ危険であることに変わりはない。そこで私達はプライマスの力を使い、異世界からの来訪者である君に協力を要請することにした。もちろん対価は払わせてもらう」
確かに、普通だったら断るところだが、今の俺は死んでいるはずだし、ユニクロンがいる以上断るわけにはいかないだろう。
「分かりました。協力します」
俺が承諾すると
「感謝する」
とベクタープライムたちが頭を下げた。
「そういえばまだ名前を言ってなかったね。僕はプライマだ。よろしく頼むよ」
「アルケミストプライムだ。そういえば物質世界で活動しているアルファートリンにあったことはあるか?」
と二人のリーダー格と思われる二人が名乗った。
「ではそろそろ時間切れになる。また会えることを楽しみにしているぞ」
そう言い残し、俺の視界は再び真っ白になった。
◇ ◇ ◇
気がつくと俺は地上にいた。
「ここは……」
俺は起き上がると周りを確認した。そこは月面基地の医療室だった。
「確か俺は船の中にいてそれから……」
「おい、大丈夫か?」
そう言って俺に声をかけてきたのはサンダークラッカーだった。
「あぁ、なんとかな。それより他のみんなは?」
「お前さん以外は全員大丈夫だよ」
良かった……あの船は俺しかいなかったみたいだし、多分俺だけ別の場所に飛ばされたんだろうな。
「まぁとりあえず部屋に戻って休めよ」
そう言われると急に疲れが出てきた。
「そうだな。今日はゆっくり休むことにするか……」
「おう、それがいいぜ」
サンダークラッカーは俺の部屋まで付き添ってくれた。
「ありがとう、サンダークラッカー。じゃあお休み」
「あいよ、しっかり寝るんだぞ」
そう言って寝ようとして、もう一つ質問をした
「あの船のパイロットはどうなったんだ?」
するとサンダークラッカーが
「あいつは無事だ。今は他の船を借りられないかスタースクリームと交渉中だ。」
「多分足止めされるだろう他星に行くにしてもエネルギーがないからな。今はスペースブリッジが完成するまで待つしかないさ」
俺は再びベッドに入った。そして目を瞑るとすぐに眠りについた。……あのノイズメイズが足止め受けているのはいい展開なのか?あいつは確かプラネットXの出身でそのプラネットXがユニクロンの肉体だったという話もある。つまりあいつはユニクロンの手下だという可能性が高い…まさかとは思うがな。
次の日になり、俺はサンダークラッカーと一緒に食堂に来ていた。
「昨日のことはもう大丈夫なのか?」
「ああ、問題ない」
俺は朝食を食べながらそう答えた。
「それならよかった。ところでこれからのことなんだが」
サンダークラッカーは俺に話を切り出した
「まずはメガトロン様を起こすことだよな。セブンツールはなにか起こす手段を知らないか?」
「ある治療法はしっているんだが……」
それはアメコミにてファーストエイドが提唱した不安定なスパークに健康なスパークを接続して治療するジャンプスタートとという療法だ。
「どちらせにせよ専用の医術道具が必要になってくるんだ。この月面基地じゃだめだよセイバートロン星に行かなきゃ」
俺の言葉にサンダークラッカーは
「それもそうだな」
と納得していた。
「じゃあそろそろ行くとするか」
俺は立ち上がっていた。
「待てって、今すぐ出発するつもりか?」
「当たり前だ。早くしないと手遅れになるかもしれないだろ」
と俺が言うとサンダークラッカーは少し考えて
「よし分かった。お前さんのいう通りだな。今から出発するぞ」
と言った。俺はうなずき、荷物を纏めた。俺はスペースブリッジの元に向かった。そこではサンダーフーフが指揮を執っていた。
「おう。なんだおまえら、今スペースブリッジはアップグレードの途中だ。セイバートロン星に帰りたいならもうちょいまて」
とサンダーフーフが言った。俺は
「アップグレードはどれだけで終わる急いでいるんだ」
と言うと
「あと30秒くらいで完成する」
と答えた。カウントが始まり、俺はオルトモードに変形して待機する。3…2…1…カウントが終わりスペースブリッジのゲートが活性化すると俺はそこに飛び込んだ。俺の周りの景色は、過去に何度か足を運んだことのある施設に変わっていた。セイバートロン星のデストロン基地だ。レーザーウェーブが
「セブンツール、お前帰って来たのか」
と言った。
「あぁ、ちょっと事情があって帰ってきたんだ。病院から器具を借りたいんだが」
と聞くと
「あぁ、いいだろう。おい、誰か一緒に行ってやれ」
「分かりました。私が行きます」
そう言って現れたのはデストロンの軍医グリッドだった。
「では早速行こうじゃないか」
「ああ、頼むよ」
俺たちは移動を開始した。俺たちは診療所に到着した。そこにはリペアルームがあり、その中にはフルクラムがいた。
「よう。お前らもまたここに来たのかよ」
「久しぶりだな、フルクラム」
俺は挨拶をした。
「なんの用だい?」
「ちょっとある器具を取りに来ただけだ。心配すんなって、すぐに返すよ」
そう言って俺は目的の物を探し始めた。
「あった」
俺は目当てのものを見つけるとそれを体内に仕舞った
「これでいいか?」
「ああ、大丈夫だよ。それより君も大変だね」
そう言ってグリッドは去っていった。さて俺も月面基地に戻って昏睡状態のメガトロンの所に行かなければ。またもスペースブリッジを作動させ月面基地に戻ってきた。そこで俺を迎えてくれたのはスタースクリームだった。
「遅かったな、どうした?忘れもんでもしてきたのか?」
「いや違う。実はな……」
俺は今までの経緯を説明した。
「なるほどそういうわけか。まぁ頑張るんだな」
と言ってスタスクは俺の横を通り過ぎていった。そして俺、グレン、ノックアウトはジャンプスタートでメガトロンを復活させるべく、それぞれのスパークをメガトロンのスパークに接続し、エネルギーを送ることになった。
「ぐっ……」
俺達は苦しみながらも必死にエネルギーを送り続けた。そのおかげもあってかしばらくするとメガトロンは目を覚まし、
「ここはどこだ?」
と聞いた。
「ここは地球と呼ばれる惑星の衛星です」
「ほう、地球か」
とメガトロンは起き上がった。
「しかし何故わしはこんなところにいるのだ?」
「それはですね……」
俺はこれまでの経緯を説明すると、メガトロンはため息交じりにこう答えた。
「なるほど……それでわしは倒れていたと」
俺はうなずいた。
「確かにわしはコンボイと戦った記憶がある。奴め、なかなかやるではないか」
そう言ってメガトロンは笑みを浮かべた。
「だがな、わしはまだ負けたわけではないぞ!ここから逆転してみせる!」
「私も同じ気持ちですよ」
とグレンが言った。
「そうですね。我々には仲間がいます。負けることなどないでしょう」
と俺が言うと、メガトロンは大きくうなずいた
「よし、ならば行くとしよう。まずはこの基地を直接見て回りたい」
とメガトロンが言うと、俺は
「それなら任せてください」
とメガトロンを案内することにした。メガトロンを案内する途中、すれ違ったりその場に居合わせたデストロン兵士たちは驚く者もいれば敬礼する者もいた。そして指令室に入ると、
「げっ……!?メガトロン…!本当に起きたのか……!?」
とスタースクリームが指令席に座っていた。メガトロンはスタースクリームを見て、
「久しぶりだな。スタースクリーム。悪いがその席は譲ってもらうぞ、この場で誰が一番格上か分かっているな?」
と言った。
「えぇもちろん分かっておりますとも。あなたこそ立場を理解していらっしゃらないようだ」
とスタースクリームは不敵な笑みを浮かべた。そして席を立った。
「ふんっ、相変わらず生意気な奴だ。まぁよい。後々たっぷり可愛がってやろう」
と言って指令席に座る。そして
「セブンツール。基地内の回線をオンにしろ」
と命令する。俺は指令室にいたデストロン兵士達と共にその通りにした。そしてメガトロンは基地内に呼びかける。
「余は破壊大帝メガトロンである。我が勇猛なるデストロン兵士達よ、地球に流れ着き、余が眠りについていた間、留守をしていて大儀であった。余が聞いたところ、この地球には豊富なエネルギーが眠っていると聞く。なんとしてもこの星からエネルギーを奪い取り、セイバートロン星に栄光を取り戻すのだ!」
とメガトロンは宣言した。
「そうだ!俺たちの故郷を守るんだ!」
「正義のために戦うぜ!」
兵士の一人が叫ぶと、次々と歓声が上がった。その様子を見たメガトロンは満足そうな表情をして、
「では作戦開始だ!総員準備せよ!!」
と叫んだ。
「了解!!」
とデストロン兵士達は答えた。やはり心なしかスタースクリームが仕切っていた頃とは気合が違うようだ。さて、メガトロンが復活した事をいち早くサイバトロンに知らせねば……
◇ ◇ ◇
ここは地球のとある山中に建設されたサイバトロン基地。基地内は先ほどのデストロン基地同様俄かに活気づいていた。総司令官であるコンボイが帰ってきたのだ。その報告を受けたのはバンブルだった。彼は早速司令官室に走っていき、ドアをノックしてから入っていった。
「失礼します」
そう言って入ってみると、そこにはコンボイとマイスターの姿があった。
「おお、バンブルか」
「おかえりなさいませ、コンボイ司令官。調子はどうですか?」
とバンブルはコンボイを慮った。それも無理はないだろうメガトロン同様コンボイも少し前まで機能停止状態にあったのだから。
「ああ問題ないよ。心配をかけたな」
コンボイは微笑んで答えた。
「ところで君はメガトロンの居場所を知っているかい?」
とマイスターが尋ねた。
「はい、知っていますよ。その情報が送られてきて、ちょうど今からここに行こうと思っていたんです」
とバンブルは答えた。
「そうか、それじゃあ一緒に報告を読もうか」
とコンボイは立ち上がった。
「はい」
とバンブルは答え、二人は部屋を出ていった。入れ替わりに指令室に入ってきたのはプロールだ。プロールは部屋に入るなりマイスターに
「スパイからのメッセージが届いたぞ『メガトロンが復活した』そうだ」
と言った。マイスターは
「やっぱりね……」
と言って苦笑いを浮かべた。
「で、場所はどこなんだ?」
とプロールが尋ねると、
「月だよ」
と答えた。デストロンが月面基地を構えているのは周知の事実であった。
「よし、すぐに向かうぞ」
とプロールは言った。
「ああ、頼むよ」
とマイスターは答えた。デストロン基地の詳しい場所は分かっていないが、プロールはすぐさま突き止めるだろう。その時だ。
『プロ―ル。サンダークラッシュからの通信です』
と通信システムから通信が入った相手はサイバトロンの幹部格の一人サンダークラッシュだ。
「こちらプロール。何かあったのか?サンダークラッシュ」
「アンゴルモアエネルギーのことなのだが……」
とサンダークラッシュは切り出した。
「何?まさかまたどこかの星に眠るというのか?」
「その通りだ。実はつい最近になって新たな発見をした。それが……」
「待ってくれ!新しいエネルギーだと!?それは本当なのか!?」
とコンボイが会話に割り込んできた。
「ええ。かなり貴重なものですよ。今はエネルギー貯蔵庫に保管していますが、この基地のエネルギータンクに詰め込んでおけば一ヶ月はもつでしょう」
とサンダークラッシュは説明した。
「そいつはすごいな……。早速使わせてもらおう。すぐに基地に戻るんだ」
とコンボイは指示を出した。
「分かりました。では基地に戻り次第連絡を入れます」
とサンダークラッシュは言い、通信が切れた。
「よし、私達も急ごう」
とコンボイは言うと、三機のトランスフォーマー達は出動していった。
◇ ◇ ◇
「くそっ!事故るしデストロン基地で足止め喰らうしついてねー…」
「よおぉ…!あんたから戦争の臭いがするぜぇ。俺と組まないかぁ?」
「あん?なんだお前、サイバトロンでもデストロンでもなさそうだが中立派ってやつか?」
「違うなあぁ。俺はアルケイィ。傭兵だあぁ…!」
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