ある朝目覚めた時に戦う相手を決められていた件 作:クォーターシェル
「アンゴルモアエネルギーだと?」
デストロン月面基地指令室ではアンゴルモアエネルギーの話題が出ていた。アンゴルモアエネルギーって確かビーストウォーズシリーズに出てたエネルギーのことだったよな。この地球に存在するのか。
その情報を持って来たサウンドウェーブが説明する。
「地球ノ地下深クニ存在シテイル高純度エネルギーダ。シカシ、サイバトロン達モ既ニ嗅ギツケテイルヨウダ」
「つまりサイバトロンから奪えってことか。保管している場所があるはずだろ?」
とスタースクリームは尋ねる。サウンドウェーブは
「地球ノオーストラリア大陸ノ乾燥地帯ニエネルギータンクガアル。ジャガー達ニ先行サセタガサイバトロンガ見張リニ付イテイル」
と答えた。メガトロンは
「ならば、そのエネルギーを奪いに行くぞ。肩慣らしにわしも出る」
と言った。スタースクリームは
「メガトロン様。基地の留守は誰に任せます?この俺ですか?」
と言う。メガトロンは
「いや、お前も来るのだスタースクリーム。留守の間はドレッドウイング達に任せる。いいなドレッドウイング」
と指示した。ドレッドウイングは
「はっ、お気を付けてメガトロン様」
と敬礼した。
「ではデストロン軍団、出撃するぞ!」
とメガトロンは宣言した。
◇ ◇ ◇
そうして俺達はアンゴルモアエネルギーを求めてスペースブリッジを使いオーストラリアに来た。しばらく進むと、偵察隊であるバリケード、フレンジー、ジャガーが待っていた。
「メガトロン様。復活おめでとうございます」
とバリケード達は跪く。メガトロンは
「うむ。それで、サイバトロンの様子はどうだ?」
と質問した。フレンジーが
「はい、サンダークラッシュの奴とその部下が見張りについています。後地球人の研究員もいる様です」
と答えた。
「サンダークラッシュがいるのか……メガトロン様。攻撃は一旦待った方が良いのでは……」
とスタースクリームが言う。サンダークラッシュはUK版トランスフォーマーの司令官で今世のサイバトロンでも明確な№2がいない中、数少ない司令官代理が務まる男とも言われている。その実力は確かなもので博識で実戦にも強く、俺の上位互換みたいとも言うべき能力を持っている。スタースクリームが警戒するのも無理はないだろう。メガトロンは
「スタースクリーム!この腰抜けめが!相手がサンダークラッシュだろうとコンボイだろうとすることは変わらん。アンゴルモアエネルギーを奪うのみだ!」
と怒った。そして俺達が目的地に着いた時だ。突如としてレーザー光線が発射された。俺は咄嵯にバリアを張り、何とか防いだ。
「ほう……。よく防げたな……」
とサンダークラッシュが感心した様に言った。
「くそっ!俺達が来るのが読まれてたのかよ!?」
と今回の襲撃メンバーの1人であるモホークが悪態をついた。
「メガトロン。お前たちにアンゴルモアエネルギーは渡さん!」
とサンダークラッシュは俺達に言った。その後ろにはホットロディマス、バルクヘッドといったサイバトロン戦士たちが構えている。
「ふん。サンダークラッシュ!手始めに貴様たちを片付けてくれるわ!デストロン軍団、アタッーク!!」
とメガトロンは指示した。
「やれ!サイバトロンをスクラップにしてやれ!」
「デストロン!八つ裂きにしてやるぜ!」
さあ、戦いだ!という声が聞こえたような気がした。両軍の乱闘が始まる。俺が相手をすることになったのはホットショットだった。ホットロディマスとは別人で容姿はマイクロン伝説のホットロッドに近い。
「さあこい!デストロン!」
と気合十分で殴りかかってくる。俺もメガトロン達の手前、手を抜くわけにはいかないのでラチェットから教わった軍医式格闘術で応戦する。
「ぐおっ!」
「まだまだ甘いな。ホットロディマスならもっと早く動けるぞ」
と言いながらパンチを打ち込む。すると
「舐めるなぁー!」
と怒り出した。しかし、やはりと言うべきか、戦闘能力はともかく実戦経験は浅い。冷静さを欠いているせいもあってか、攻撃は単調気味だ。
「どうした。動きが鈍っているぞ」
と言ってやったら
「うるさい!」
と怒鳴ってきた。まあいい。こっちも本気で行くぞ。
「それじゃ、そろそろ反撃させてもらうぞ」
と俺は言って、素早いフットワークで相手の懐に飛び込んだ。そして腹にパンチを入れる。
「うごぉっ!」
と苦しそうな声を上げた。
「もう終わりか?」
と挑発してやると
「まだだ!」
と起き上がってきた。だが、それも想定内だ。今度は右フックを放つ。
「ぐうっ!」
と相手はよろめいた。俺はすかさず左アッパーを食らわせる。
「うげぇっ!」
と相手は倒れた。ノックアウトだ。俺は周囲の様子を見る。戦いはまだ続いている。
「ホットショット!」
ニトロゼウスと取っ組み合っているホットロディマスが心配そうに倒れたホットショットに向かって声を掛ける。ノックアウトしたとはいえ命には別状は無いが、戦闘中だし彼を安全な場所へ移動させることもできない。彼が死なないことを祈りつつ俺は戦闘を続ける。メガトロンはサンダークラッシュと戦っていた。
「サンダークラッシュ!貴様如きにこのメガトロンを倒すことはできぬわ!!」
とメガトロンは吠えるがサンダークラッシュは
「確かにこのまま続ければそうかもしれない。しかし敵は私だけではないぞ」
と返した。
「なに!?」
その時だ。
「お、おい。あれを見ろ!」
とスタースクリームが地平線の方を指さして言った。そっちを見ると、トレーラーを先頭にした車の集団がこちらに向かっているのが分かった。
「あ、あれは……」
「司令官だ!」
「コ、コンボイ!」
「やったぞ司令官が来たなら怖い物なしだ!」
そう、あれはどう見ても復活した我らがコンボイ司令官だ。メガトロンもそれを確認し、
「おのれ!増援を呼んでいたか!」
と悔しがる。サンダークラッシュは
「当たり前だ。既にお前が復活した情報を得た我々が警戒していないと思ったのか?」
と言った。このままコンボイたちが戦闘に加わればデストロンの不利は確実だろう。メガトロンはエネルギータンクの方向をちらりと見ると、
「くっ!撤退する!デストロン軍団撤退だ!」
とメガトロンは叫ぶ。こうして俺達は退却し、基地に戻った。
◇ ◇ ◇
デストロン軍団が去ったあと、サイバトロンは傷ついた仲間の応急手当やその他の事後処理に追われていた。
「ホットショット、大丈夫か?」
比較的無事だったホットロディマスがホットショットの手当をする。
「すまねえロディマス兄貴……」
とホットショットが言う。
「気にすんなって。それより、早く治療を受けようぜ」
と彼は言った。
「ああ、そうだな」
とホットショットが答えた。
「それにしてもコンボイ司令官が来てくれて助かったよ」
とホットロディマスが言っている最中、コンボイとサンダークラッシュが会話をしていた。
「サンダークラッシュ、よくやってくれた。デストロン軍団は退却していったよ」
「いえ、コンボイ司令官達の救援あってこそですそれに…」
会話にマイスターが割り込む。
「コンボイ指令。エネルギータンクを確認したところ少しだけですが中身が減っているみたいです」
「中身が?デストロンの仕業か?」
とコンボイが問うと、
「おそらくそうでしょう。ちらりとですが別方向に逃げるデストロンを見ました。ですが」
と話すサンダークラッシュに続けてこの場に居た科学者パーセプターが
「おそらく、デストロンたちがアンゴルモアエネルギーを利用するのに当分時間がかかるでしょう」
と言った。
「どういうことだパーセプター」
とコンボイ。パーセプターは説明する
「それは…」
◇ ◇ ◇
「オエーッ!!」
月面ではモホークが盛大に嘔吐していた。
「気分はどうだモホーク?」
と俺は彼の背中をさすっていた。
「最悪だ……。なんで俺がこんな目に遭わなければならねえんだ…」
と吐きながら答える。
「仕方ないだろう。よく調べてもいないエネルギーを味見とか言って摂取するお前が悪い。」
そう、バリケードら偵察隊に少量ながらくすねさせたアンゴルモアエネルギーをこいつはあろうことか盗み食いしたのだ。その結果がこれである。
「ちくしょうめ……」
「まぁいいじゃないか。そのうち治るって。ほら、ゲロも片付けたからさ」
と言って俺はバケツを差し出す。モホークはそれをひったくるように受け取ってまた胃液を吐き出し始めた。そして数秒後。やっと落ち着いた。モホークを病室に寝かせると俺も下士官の一員として会議室に向かった。
「アンゴルモアエネルギーが利用できないとはどういうことだ?」
と会議室でメガトロンは厳しい表情でサウンドウェーブに尋ねる。
「モホークヲ見レバ分カルヨウニ、我々ニトッテ強イ毒性ガアル。シカモエネルゴンニ精製シテモ我々ノ技術デハ毒性ヲ消セナイ」
「じゃあなんでサイバトロンの連中はこれを貯蔵してたんだ?」
スタースクリームが疑問を呈す。
◇ ◇ ◇
「申し訳ない司令官。このアンゴルモアエネルギーでセイバートロン星のエネルギー問題も解決すると思ったのですが……」
とサンダークラッシュがコンボイに謝る。
「気にするなサンダークラッシュ。しかし本当に毒性を消すことはできないのか?」
サンダークラッシュの代わりにパーセプターが答える。
「難しいですね……こんなエネルギーは見たことがない……しかしこんなエネルギーでも無害に精製できそうな連中を知ってはいるんですが……」
「なに!?知っているのか?」
とコンボイは尋ねる。
「はい…オムニコンという者達なのですが……」
◇ ◇ ◇
「オムニコンだと…?」
とメガトロンはサウンドウェーブに聞き返す。
「ハイ。オムニコンハエネルゴン精製ニ長ケタ種族。彼等ナラアンゴルモアエネルギーヲ無害ニデキル可能性ガアル」
「そのオムニコンは何処にいるんだ?」
とゲルシャークが尋ねた。
「分カラナイ」
◇ ◇ ◇
パーセプターが話を続ける。
「なにせ、中立派としてセイバートロン星を出ていったきり音信不通なんです……」
「連絡方法はあるか?」
とコンボイ。
「ありません」
とパーセプターは答えた。
「そうか……」
その時だ。
「司令官!こちらに近づいてくる反応があります!」
とバンブルが会話に入ってきた。
「なにっ!デストロンか?」
とコンボイは尋ねる。バンブルは
「いいえ。反応はサイトロンとデストロンどちらでもないし、1体だけなんです」
と言う。そしてブラッドレッドの大型の車がコンボイたちの元に来た。
「トランスフォームゥ!」
とそのトランスフォーマーは人型に変形する。
「よお、コンボイィ。久しぶりだなぁ…」
とそのトランスフォーマー、アルケイは言った。
◇ ◇ ◇
「ちょっと待ったー!俺も混ぜてくれ!」
と、会議室に入ってきたのはノイズメイズだ。こいつこのタイミングでなんだ……?
「貴様はなんだ?」
とメガトロンが尋ねる。
「俺はノイズメイズ。宇宙の流れ者ですよメガトロン殿」
とノイズメイズは答える。
「それが何の用だ?つまらん事だったらつまみ出すぞ」
とメガトロンは言う。会議の内容が内容だけに内心苛立っているようだ。ノイズメイズは飄々と
「そこで会議を立ち聞きしてたんだが、耳寄りな情報を持っているんだ」
と言った。
◇ ◇ ◇
「オムニコンの居場所を知っているだと!?」
とコンボイは驚いた。アルケイは
「本当だぁ。連中が移住した惑星の座標データがあるぅ。取引しないかぁ?相応のエネルゴンは貰うがぁ」
と言った。サンダークラッシュはアルケイを一瞥すると
「コンボイ司令官。この取引は我々サイバトロンの大いなる失敗になるかもしれんぞ。この男、アルケイはある意味ではデストロンより信頼ならない男だ」
「私も同感だね。両軍に雇われてやったのが戦火拡大!ゼータ派の議員を暗殺したのも君の噂にあるよ」
とマイスター。
「しかし、せっかくのぉ。アンゴルモアエネルギーィ……棄てとくのはあんまりじゃあないかぁ…!」
「分かった」
とコンボイ。ピクリとアルケイが反応する。
「「司令官!?」」
サンダークラッシュ達が動揺するが、コンボイは
「私はアンゴルモアエネルギーのコントロールの是非がセイバートロン星に関わってくると思っている」
「ならぁ…取引成立だぁ。俺にエネルゴンをよこせぇ…」
◇ ◇ ◇
「というわけで、オムニコン達が何処に住んでるのかデータがあるんだ。それと引き換えにスペースブリッジで俺をセイバートロン星に送ってくれっていい話」
そう嘯くノイズメイズに俺は警戒する。今両軍が睨みあっていてエネルギーも少ない。セイバートロン星にになんの用だろう…?もし彼がユニクロンの手先だった場合。嫌ーな予感がするのだが。
「まずはそのデータを改める!サウンドウェーブ!」
サウンドウェーブによってデータが解析された。そして
「プログラムハ正規ノ物ト確認。特ニ異常ハナイ」
「ふん。いいだろうその情報を買おうノイズメイズとやら」
「ありがとうございまーす♪じゃあスペースブリッジの方行くんで」
とノイズメイズは小躍りして。会議室を出ていった。一体何だったんだ。
◇ ◇ ◇
その場を後にしたアルケイを尻目にコンボイたちはこの後のことを考えていた。
「コンボイ指令…良かったのですか」
とバンブル。コンボイは
「これがセイバートロン星再生の道と思っているバンブル」
「ここがオムニコンの移住した…」
◇ ◇ ◇
「これがオムニコンどものいる」
◇ ◇ ◇
「「惑星エナージョン」」
駄文閲覧ありがとうございました。感想。読者投稿お待ちしております。
名称の補足
ジャガー=ラヴィッジ