ある朝目覚めた時に戦う相手を決められていた件 作:クォーターシェル
流れ者のトランスフォーマー、ノイズメイズからオムニコンの住む惑星エナージョンの座標を手に入れたデストロンは、エナージョンへの出発準備をしていた。メガトロンはスタースクリームらをエナージョンに送り込む気だ。そのメンバーには俺も入っている。メガトロンが言う。
「良いかスタースクリーム。アンゴルモアエネルギーを安全に利用する為にオムニコン達を懐柔せねばならん。それが駄目なら力ずくでも連れてくるのだ」
「メガトロン様。連中はデストロンにもサイバトロンにも属さなかった所謂臆病者共ですぜ、武力で脅せばきっと従うでしょう」
とスタースクリームは答えた。メガトロンは
「そうだとよいがな」
と返した。そして俺は思う。エナージョンでは一体何が待ち受けているのか? それは誰にもわからない。オムニコンといえばスーパーリンクに登場したエネルゴンを扱うのに長けたトランスフォーマーの集団であるが、今世では両軍には加わらず、エナージョンに移民しているらしい。ノイズメイズはセイバートロン星へのスペースブリッジが起動するとさっさと行ってしまった。奴の動きも気になるが、奴を追う表向きの理由が思いつかなかった……仕方がない取りあえずエナージョンでの任務に集中しよう。出撃メンバーはシャドウスクリームやBBといった比較的理性的なデストロン兵士が行くようだ。俺達はスペースブリッジの前に立った。その時スタースクリームが言った。
「おいサウンドウェーブ。お前ちゃんとオムニコンの情報集めてんだろーな?」
「問題ナイ。データハ既ニアタッテイル」
とサウンドウェーブ。
「よしいい子だ。で?情報の中身は?」
「オムニコンハ何種類カノ同型ガ多数イル」
サウンドウェーブの情報をかみ砕いて説明するとこうだ。先ずオムニコンの種類だが主な種類はまずブラストアーム。セイバートロニアンの中でも小柄な方なオムニコン達だがその中でもブラストアーム型は腕力が強く、力仕事を担当している。次にエアグライド。この種類のオムニコンは飛行メカに変形し、主に運搬を担当している。その次にシグナルフレア。特殊作業を担当しており、レーダーによるエネルギー探知が得意だそうだ。そして、オムニコン達はエリアルという女性トランスフォーマーがリーダーであり、オムニコンのシンボルだそうな。ふむ、大体スーパーリンクと同じ設定か?スタースクリームは
「へっ、女に率いられるとは軟弱そうな連中だな」
と呟いた。俺達はオルトモードにトランスフォームすると行先をエナージョンに変更したスペースブリッジに飛び込んだ。
◇ ◇ ◇
スペースブリッジのゲートを抜けて、俺達が移動した先は荒れ地のような場所だった。遠くには山が見える。デモリッシャーは
「オムニコンの姿は見えんが…」
と辺りを見回す。スタースクリームは
「ノイズメイズの奴がペテン師じゃなきゃこの星にいるはずだ。サウンドウェーブ、探せ」
と言った。サウンドウェーブは
「コンドル、バズゾー。イジェークト」
と胸からカセットロンのコンドルとバズゾーを飛びださせた。
「任務、オムニコンノ捜索」
そのサウンドウェーブの指令を聞いたコンドルとバズゾーは上空に飛び立っていった。
暫くしてコンドルとバズゾーが戻ってきた。どうやらこの星の何処かにエネルゴンの反応があるらしい。
「こっちダ!」
そう言ってコンドルとバズゾーは離陸した。俺達はその後を追った。向かったのは山の方で、サウンドウェーブがゲットした情報によると。鉱山の麓に集落を作っているらしい。遠いのでオルトモードでも少し疲れるな……その時サウンドウェーブが
「止マレ」
と言った。俺達はその場で止まった。
「どうしたんだサウンドウェーブ」
と俺は彼に尋ねた。サウンドウェーブは何かの表示を見ながら
「邪魔者、トラブルノ種ガイル」
「ということは」
「サイバトロンダ……」
とサウンドウェーブは言った。「ほんとうかよ」と自分のゴーグルにつけた望遠機能で集落の様子を探ってみる。そこには…バンブルたちミニボットと呼ばれる小柄のサイバトロン戦士と同じくらいのサイズのトランスフォーマー達の所に何人かここでは異質な姿のトランスフォーマー達がいた。間違いなく俺の元同僚サイバトロン達だ。
◇ ◇ ◇
傭兵アルケイからエナージョンの座標を受け取ったサイバトロン。彼らもまたオムニコンを求めてマイスターを中心とするチームを編成し地球からエナージョンにワープした。彼らが見たのは平和に暮らすオムニコン達の姿であった。彼らはオムニコン達に攻撃する意思は無いことを伝える為、まずはエネルゴン採掘場に向かうことにした。マイスターはその場にいるオムニコンの1人ブラストアームに話しかけた。
「すまない。君は此処の住人かい?」
「そうだべ。あんた、見かけない顔だが誰だべ?」
「私はマイスター。仲間と共に旅をしててね、君たちのリーダーに会いたいんだが何処にいるか知らないかい?」
「エリアルなら今他の集落の方へ行っているべ。日没まで帰ってこないと思うべ」
それを聞いてオルトモードのビーチコンバーが
「ならば私達はここで待とう」
と言い出した。マイスターたちも賛成し、オムニコンの集落で待つことになった。ストロングアームが
「それにしても、ここはセイバートロン星や地球とは結構違うわね」
と言った。彼女は地球以外の異星に訪れるのは初めてなのだ。集落の建物を見たグラップルも
「確かにセイバートロンや地球とは違う建築様式だね」
と同意した。ドリフトが
「日没までまだ時間がありそうでござるな。ちょっとこの集落の周りを見て回って来ていいでござるかマイスター殿?」
とマイスターに尋ねた。マイスターは
「構わないが…気を付けてくれ。デストロンもこの惑星のことを知ったという情報がある。もしかしたら遭遇するかもしれない」
と答えた。
「承知したでござる。では行って来るでござる」
とドリフトは言った。そして彼は集落の外へと出て行った。それを見ていたマッハアラートは
「それにしてもエリアルはどんな方なのだろうな」
と呟いた。隣に居た彼の弟スピードブレイカーは
「女の人って話だしきっと綺麗なお姉さんだよ!」
と期待していた。2人の兄であるワイルドライドは
「まあリーダーをやっているんならエリータ・ワンの様な勇敢な女性なんだろう」
と言い
「ところでよお、鉱山の方を走って来ていいか?中々良さそうなデコボコ道がありそうだぜ」
と続けた。マッハアラートは
「それはやめとけ。作業員たちの迷惑になる」
と言った。そしてデストロンは……
◇ ◇ ◇
「ドリフトガ集落ヲデテ南ニ向カッタ」
「こっちの方向じゃなくて良かったわね。私達の存在がバレる所だったわ」
とサウンドウェーブとシャドウスクリームが言った。スタースクリームは
「裏切り者のドリフトが単独行動なら奴を消すチャンスだぜ」
と言った。俺は
「そんなことをしたらサイバトロンに気づかれますよ」
と言った。ドリフトが帰って来なければ流石に感づくだろう。俺の言葉にスタースクリームは
「チッ!面倒くせえな」
と舌打ちした。デモリッシャーが
「これからどうする?エリアルを待つのか?」
と尋ねてきた。スタースクリームは
「まあ、オムニコン共のリーダーを抑えたほうがいいだろうな。問題はサイバトロンだぜ奴らが先に来た以上少なくとも懐柔するという手段は取りにくくなった」
とぼやく。
「交渉決裂ノ場合ハ戦闘モ覚悟シナケレバナラナイ」
とサウンドウェーブが言う。俺達は作戦会議を続けた。しばらくするとドリフトが戻って来た。しかしなにかおかしいようだ。
「なんだ?随分急いでいるようだが……」
と俺は疑問を呈す。スラストが
「どうやら何かに追いかけられているようだぜ」
とドリフトの後方を指さす。そっちの方をみるとなんとスピノサウルスがドリフトを追っていた。スタースクリームは
「なんだありゃあ……現地の生命体か?」
と訝しげにそのスピノサウルスを見る。サウンドウェーブはセンサーを作動させると
「アレハ有機生命体デハナイデストロン反応ヲ出シテイル」
を分析した。デストロン反応ってことは俺達の仲間……?俺は逃げるドリフトを追うスピノサウルスの前に割り込んだ。スピノサウルスの動きが止まる。俺は
「俺はデストロン衛生兵長のセブンツール!お前は誰だ?」
とスピノサウルスに問いかけた。スピノサウルスはこちらに一瞥すると、
「デストロンがなぜデストロンの邪魔をする」
と話した。
「いや、そりゃあ俺たちもオムニコンを探しているからだよ」
と答えると
「オムニコンだと?」
とスピノサウルスが聞き返してきた。
「ああ、エナージョンという惑星にいるはずだが知らないか?」
と聞くと
「知らんな」
と答えた。
「そうか……あんたはこの星の住人じゃないんだな」
と言うと
「そうだ」
と答えた。
「よし、分かった。あんたには悪いがこのまま行かせてもらうぞ」
と言って集落に行ったドリフトの方へ行こうとすると
「待て、デストロン!」
と声がした。振り返るとそこには……人型に変形していたトランスフォーマーが立っていた。
「あんたはたしか…?」
俺は脳内のデータベースからデストロンであるこの男の記憶がないか探すこの男の名前は確か
「レイザーソード…だよなたしか」
「…」
「名前が切っ掛けで段々思い出して来たぞ……」
「デストロンの幹部格の1人で」
「そこまで思い出せるのならいい…」
「ん?ちょっと待った。今なんて言った?幹部格とかなんとか言ってなかったか?」
「俺はデストロン軍団陸戦部隊隊長だ。そして今はこの星の平和を守る正義の使者だ」
と彼は胸を張って答えた。
「おいおい冗談きついぜ。アンタみたいな奴が正義の使者だって?」
スタースクリームが笑いながら突っ込む。
「ならば…試してみるか?」
と剣を構える。
「ちょっと待て、あんたは惑星調査で行方不明になってたはずだ。どうしてこんな所にいるんだ?」
と俺は尋ねた。レイザーソードは
「そうだな…まずそこから話しておこう」
と自分が行方不明になった経緯を語り始めた。かいつまむと、調査中惑星爆発によって起きたワープホールに飲まれ、こことは別の惑星に不時着した際にそこに居た現住生物から今のオルトモードを得てその惑星を後にし、この惑星エナージョンに流れ着き、エネルゴンが底をつきそうな所をオムニコン達に助けられたそうだ。
「なるほど事情はわかったけどよぉ」
とスタースクリームは呆れたように言った。
「それで結局のところどうするんだよ」
と尋ねると
「先ほどデッドロックに出会った。今はドリフトと名乗っているらしいが、お前たちがこの星の平穏を乱そうとするなら容赦はしないぞ」
と言った。シャドウスクリームは
「ちょっと待ちなさい、デッドロック……ドリフトはサイバトロンに寝返ったのよ。それに貴方、デストロンを裏切るつもり?私たちはメガトロン様の命令で来たのよ」
と叫ぶ。
「確かにそうかもしれない。だが、俺にも譲れないものがある」
とレイザーソードは言った。
「デストロンはどうやら俺がいなくなってから随分変わったようだな……残念だ……」
とつぶやくと
「どうする?戦うか?それとも退くか?」
と聞いてきた。
「俺達はオムニコンを見つけに来ただけだ。戦いに来たわけじゃねえ」
と答えるとレイザーソードは
「そうか……では俺はこれで失礼させてもらう」
と言った。その時である。
「デストロン!やっぱり来ていたか!」
とサイバトロン達が駆けつけてきた。ドリフトが仲間を呼んだようだ。
「サイバトロン…降りかかる火の粉は払うまでだ」
とレイザーソードは再び構える。ドリフトが
「気をつけろ、レイザーソードがいるでござる!」
と仲間に注意する。ストロングアームが
「一体何者なの!?」
と尋ねる。
「連携が苦手でござるが、凄まじく強いデストロン兵士でござる!」
とドリフトが返す。レイザーソードが再び切りかかってくる。
「貴様らに用はない!消えうせろ!!」
とレイザーソードは叫んだ。そしてデストロン軍団陸戦隊隊長としての腕を振るい、次々とサイバトロンデストロン関係なしに蹴散らしていく。くっなんて力だ……彼がセイバートロンに居た頃の噂を聞いたことがあるが、その攻撃力は近くにいる味方を巻き込むほどだったという。その力はどうやら健在のようだ。そんなこんなでマイスターとスタースクリームに銃口が向けられる。
「むうっ……」
「ま、待て俺達は味方だ!」
その時だ
「そこまでだ!全員武器を捨てな!」
と女性の声が響いた。辺りを見回すと俺達の周囲は多数の武装したオムニコンに囲まれていた。
「こっ今度は何だよー!」
とスピードブレイカーは狼狽える。
「この声は……」
とレイザーソードは剣銃を下す。マイスターは
「ここはこうした方がよさそうだ皆、武器を捨てるんだ」
とサイバトロンに呼びかけ。スタースクリームは
「くそっデストロン軍。武装解除だ!」
と命令した。
「ちぇっ、仕方ないわね」
とシャドウスクリームは言うとサウンドウェーブも
「ソウダナ。コレ以上被害ヲ出スノハ得策デハナイダロウ……」
と言いながらビームガンを手放す。この場のサイバトロン軍とデストロン軍。その両方が武器を捨てた。
「へえ…あんた達サイバトロンにデストロンだね……よく私達の庭を荒らしてくれたじゃないか」
とその場にバイクに変形すると思わしきピンク色の頭部の女性トランスフォーマーがオムニコンの壁を開けてやってきた。俺は
「むっ、まさか……貴女は!?」
と言う。
「ふぅん、久しぶりじゃないの、レイザーソード」
と彼女は言った。
「お前は確か……エリアルだったな」
とレイザーソードは答えた。
駄文閲覧ありがとうございました。感想等や読者投稿お待ちしてます。