ある朝目覚めた時に戦う相手を決められていた件 作:クォーターシェル
「ふん、私のこと覚えていてくれているとは光栄だねぇ」
と彼女は返した。
「知り合いなのか?」
と聞くと
「ああ、こいつは俺とセイバートロン星で知り合ったことがあったな」
と答えた。
「懐かしいわよね、あの時はいろいろあったけどさぁ」
と彼女は言った。
「それで?お前は何をしに来た」
とレイザーソードは尋ねた。
「このエナージョンは私達にとっての第二の故郷だ。荒らされちゃ困るのさ」
と彼女が答えると
「ほう……こちらも一応この星の為に戦っているのだがな」
とレイザーソードは言った。
「あんたが戦うと逆に被害が広がる。まあそういうわけだから、ちょいと退いてくれないかい」
と彼女は言った。
「……この星のリーダーはお前だ。俺は一応退いておこう」
とレイザーソードは言うなりヘリコプターに変形してその場を立ち去った。……トリプルチェンジャーなのか?まあレイザーソードのことは一度置いておこう。今両軍とも武装したオムニコンに囲まれているという状況は変わっていない。戦闘こそ収まったが空気はぴりぴりしている。
「さて…あんた達の事だが、私達がサイバトロンとデストロンの戦争に嫌気が差してセイバートロン星を出ていったのは知ってるよなぁ…」
とエリアルはオムニコン達に話しかける。
「知っているべさ」
「当然だっべ」
とオムニコン達は口々に言い始めた。
「そうかい……なら話は早いねえ。あんたらにも分かるだろうけどもう戦争なんてうんざりするんだよ」
と彼女は続けた。
「でもさー。エリアルちゃん、戦争ってなかなか終わらないんだぜ?」
と1体のオムニコンが尋ねる。
「分かってるさ。こともあろうにお前たち両軍がこの星に押しかけてドンパチなんざやりやがって……」
とエリアルは俺達サイトロンメンバーとデストロンメンバーを見る。
「いやまあそれはそうなんだけどさ」
とスピードブレイカーが返す。
「わたし達だって好きでやってるんじゃなくて仕事なんだもん」
シャドウスクリームが言った。
「その通りだべ!」
と2体目のオムニコンが賛同する。
「仕事の大変さは分かっているつもりでアール」
とシグナルフレアが言う。
「デストロン軍団も結構大変なんだからねっ」
と俺が付け加えた。
「ふむ……とりあえずあんた達の事情はよく分かったよ。だけどね、やっぱりこれ以上好き勝手されるのも困るんでね、悪いが暫く拘束させて貰う」
と彼女は言った。
「くっ、どうしたらいいんだ……」
とスタースクリームが呟く。近くのマイスターは
「「郷に入っては郷に従え」って言葉がある」
とスタースクリームを嗜める。
「ふんっ……まあいい。この星のルールに従うとするか……」
とスタースクリームは吐き捨てるように言った。
◇ ◇ ◇
俺達は手持ちの武器を取り上げられたまま近くの集落に来た。物理的な拘束こそ受けていないものの多数のオムニコンに見張られたこの状況では下手な真似はできないだろう。
「よぉし、お前達。しばらくここで大人しくしていてくれるかい?」
と彼女は言った。
「むぅ……」
とスタースクリームが不機嫌そうに腕を組む。エリアルは
「まず聞いておくが、何をしにこの星にやって来たんだい?サイバトロンにデストロン?」
と尋ねてきた。
「地球という惑星にあるアンゴルモアエネルギーを君たちなら安全なエネルゴンに精製できるかもしれないと思ってきたんだ」
とマイスターが返しスタースクリームも
「俺達も概ね同じ目的だぜ」
と同意した。
「ふーん……なるほどね……しかし何でまたそんな事を……」
と彼女が首を傾げる。
「セイバートロン星の資源は枯渇の危機を迎えている」
と俺は説明した。
「そ、そうなのかい!?」
と彼女は驚く。
「ええ……ですから我々はこの星に居るオムニコン達に協力を求めたいんだ」
とマイスターは言った。
「セイバートロン星は私達の故郷だが……しかし、戦争に協力することになるんじゃないのかい?」
とエリアルは思案する。うーむ。スーパーリンクでもオムニコンが合流したのはサイバトロンとデストロンが和平した後の事だったようだしこのまま協力を得るのは難しいか?
「あんたらには悪いが、ここはあたしらの星だ。簡単にはうんと言えないねぇ」
とエリアルは答えた。
「うーん……そうだよね……」
とマイスターが苦笑いを浮かべる。
「それにさっきの話じゃあ、あんた達がセイバートロン星でエネルゴン不足に陥っているように聞こえるけど?」
と今度はエリアルの方から質問してきた。
「ああ、その通りだよ」
と俺は肯定した。
「それならなおさらセイバートロン星に帰った方がいいんじゃないのかねえ?」
と彼女は少し意地悪そうな笑みを見せる。
「それはできない」
と俺は答える。
「枯渇しかけたセイバートロン星は他の星のエネルギーをも加えないと再生しない」
と俺は続ける。
「だから他の星からもエネルギーを集めようという訳かい……」
とエリアルは納得してみせる。
「そういう事だ。勿論セイバートロン星のために協力してもらえるならその分報酬を出すつもりだ」
と俺は彼女に告げる。
「ふん……。まあ仕方ないね」
と彼女は肩をすくめた。
「おお!ありがとう!」
と俺は礼を言う。
「まあまあ、まだそうと決まったわけじゃない」
とエリアルは俺を宥める。
「とにかく地球の方で仕事を頼みたいんでオムニコン皆と来てくれないか?」
と俺が頼むと
「分かったよ」
と彼女は承諾してくれた。俺達はオムニコンの集落に戻った。
「ふう……」
とスタースクリームがため息をつく。
「お疲れ様、スタースクリーム」
「全くだぜ。まあ今回はおとなしくしていてやるさ」
と彼は返した。
「とりあえず今日はゆっくり休めばいい」
と俺が言うと
「そうさせて貰おうかね」
とスタースクリームは部屋から出ていった。
「さて、私もひと眠りするかな」
とマイスターが言う。
「無理をするなよ」
と俺が返すと
「分かっているとも」
と言って彼も部屋を出ていった。
◇ ◇ ◇
その頃、セイバートロン星にノイズメイズがスペースブリッジを介して来ていた。彼は辺りを見回すと
「ふう、やっと一息つけるぜ」
と呟いた。彼はセイバートロン星を調査していたものの、各地で起こっているサイバトロンとデストロンの戦いに辟易していた。
「まったく、どいつもこいつもはしゃぎやがって餓鬼じゃねえんだからよ」
とノイズメイズは独り言を続ける。
「しかし、『ベクターシグマ』へのルートはやっぱり隠されているか……ユニクロン様もなんでこんな廃れた惑星にこだわるのかね?別の星にしときゃあいいのに」
そう言うとノイズメイズは再び歩き出した。しばらく歩いていると、戦闘音が聞こえて来た。どうやらまたサイバトロンとデストロンの戦闘が行われているらしい。
「レッカーズ、アタック!」
という声が聞こえた。ノイズメイズは
「あの声…データによりゃレッカーズの隊長インパクターか。どっちにしろこの道は迂回した方がいいな」
と言いながら身を翻しその場を後にしようとしたその時だった。彼の目の前に現れたのはライダーを乗せた一台の紫色のバイクだった。もちろんトランスフォーマーである。
「ん……お前は…?」
とノイズメイズは言った。
「俺の名はダブルフェイス……プラネットXの出身と言えば分るだろう」
とダブルフェイスと名乗ったトランスフォーマーは答えた。
「ほう、『同郷』かい?俺はノイズメイズだ」
とノイズメイズも自己紹介をした。すると、ダブルフェイスは
「お前もセイバートロン星の偵察に来たのか」
「まぁね。色々調べたい事が山ほどあるんでね」
と言うとダブルフェイスは
「なるほど我らが主は俺一人では足りないと見える」
と言いながらオルトモードから人型に変形した。ノイズメイズはバイクに乗っていたライダー部分が頭部に合体したのを見て、
「……合体する意味あるのか?」
と尋ねた。ダブルフェイスは
「実を言うとな、俺はマイクロンの方が本体なんだ。この身体の大部分はフェイクに過ぎん」
と答えた。
「ほぉ、面白い構造しているんだねぇ……」
と感心しながらノイズメイズはダブルフェイスに銃口を向けた。
「おっと待て、戦う気はない」
と言ってダブルフェイスは両手を挙げた。
「何だと?どういうつもりだ?」
「俺達は仲間だろうそれに今は誰も見てないし戦う意味もない」
とダブルフェイスは言った。
「お前とは初対面だが、それもそうだな」
とノイズメイズも銃口を下げる。
「ところでアンタは何をしているんだ?」
「俺はセイバートロン星の秘密を調べる為にこの惑星の調査をしていたんだ。『ベクターシグマ』への道を探しているんだけどね」
とノイズメイズは答えた。
「ベクターシグマ……この星の中心部にあるとされるスーパーコンピューターにしてプライマスの頭脳か」
とダブルフェイスは腕を組みながら話を聞く。
「ああ、その通りさ。俺はそれを調べに行きたかったんだが……なかなか見つからん」
とノイズメイズは答える。
「ふむ、なら俺と一緒に行かないか?実は俺もそのベクターシグマを探していたところだったのだ」
とダブルフェイスは提案した。
「へぇ、そりゃ好都合だ」
とノイズメイズは快く承諾した。こうして、2体のトランスフォーマーは共に行動する事にした。
◇ ◇ ◇
だれに言ってるのかは知らないが、ところ変わってここは惑星エナージョン。オムニコン達の協力を得られそうな俺達は昨日に引き続きエリアルとの交渉を続けることにする。
「まずそのアンゴルモアエネルギーってのは見たことがないから分からないけど精製を引き受ける以上こっちもそのエネルギーは貰うよ。そうだねぇ……精製できたエネルギーの10パーセントは私らによこしな」
と彼女は言ってきた。
「10パーセント……ちょっと高くねえか?」
とスタースクリームは不満を言う。
「文句があるのかい?あんたらがエネルギーを持って来てくれないなら私は協力しないよ」
とエリアルは言う。
「ちっ分かったよ」
とスタースクリームは諦めた。
「あとは……そうだねぇ、地球に滞在する以上私らオムニコンの仮住まいを用意して欲しいね」
とエリアルは付け加えた。
「それはいいが……住む場所はどうするんだ?」
と俺は尋ねる。マイスターは
「国連の人たちにサイバトロンの居住地を設けてもらっている。取りあえずそこに住んでもらうことになるだろうね」
と答えた。エリアルは
「それに、あとこの星にいるレイザーソードをあんたらに引き取って欲しいね」
と言ってきた。
「レイザーソードを?あいつ自分の意思でこの星にいるとか言ってなかったか?」
とスラストが疑問を呈す。
「確かに一宿一飯の恩だとか言ってこの星に居座っているけど正直私らとしては持て余しているんだよ。あいつが必要な程の事態もそうないしね」
とエリアルは返す。
「なるほどなぁ」
とマッハアラートが言う。
「じゃあ決まりだ。レイザーソードは俺達が預かる」
と俺は言った。するとエリアルは
「話が分かるじゃないか、えーっと……」
と言った。
「ア…セブンツールだ」
と俺は答えた。
「最後に私らがやるのはあくまでエネルゴン精製だよ。それ以外は関わる気がないから戦争はそちらでやってな」
とエリアルは話を閉めた。
「話はまとまったようだな」
と声が聞こえてきた。
「レイザーソード?居たのでござるか?」
とドリフトが言った。
「まあ途中から話を聞いていた……エリアル、俺に去って欲しいのか?」
とレイザーソードは尋ねた。
「そうだね、正直言ってあんたの武力はこの星には合わない。あんたはデストロンに戻るべきだよ」
とエリアルは答えた。
「そうか……お前達の力になれなくて残念だ」
と言うと彼はその場を後にした。
「さて、話が決まったところで早速作業に取り掛かるとするかね。連れていくオムニコンを選ばないといけないし」
とエリアルは言い残して部屋から出て行った。
「いや~良かった良かった!これでアンゴルモアエネルギーを安全に扱えるな!」
とスピードブレイカーは嬉しそうに言った。マッハアラートは
「いや、油断するなデストロンとの戦争は終わってないし今も奴らは大人しくしているが、いつ牙を向いてくるか分からないぞ」
と弟を嗜める。ワイルドライドは
「取りあえずこの事を地球のコンボイ司令官に報告しにいこうぜ。なあマイスター」
と言った。スラストは小声で
「おい、結局オムニコンはサイバトロンの所に行くらしいしどうすんだ?このままじゃメガトロン様にどやされるぞ……」
と言った。俺達デストロンは小声で話し合う。シャドウスクリームは
「取りあえずオムニコンが地球に来るなら精製されたアンゴルモアエネルギーを奪うチャンスもあるはずだわ。今は場を荒らさないでおきましょう」
と言う。スタースクリームは
「俺は納得いかないぜ。だがこの場でオムニコンを敵にまわしたら元子もないか…」
と言った。そして
「よし、オムニコンが地球に滞在する間はおとなしくしていよう。ただ隙があればいつでも奪い取る準備はしておくんだ。いいな」
と言い全員は了解した。こうしてひとまずは戦いは終わりオムニコン達は地球に向かうことになったのだ。
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